一つのことを極めることと、マイナーチェンジ。

経営や事業を行っていく中で、
「一つのことを極める」ということはとても大事なことです。
そしてマイナーチェンジを繰り返していくこともまた、同じくらい大事なことです。

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一つのことを極める

近所に、本当に特別な日に、時々訪れる
高級なステーキ屋さんがあります。
その店のマスターは40年以上ステーキを焼き続け、
その店も間違いなく20年以上何も変わらずそこに佇んでいます。
もう一か月半ほど前になりますが、
今回5年ぶりくらいに訪れました。
そこで提供される食事は、5年前と一見何も変わりません。
しかし改めてその所作と細やかさとおいしさに感動しました。

とにかく、マスターとその助手さんの所作が一つ一つ丁寧で、
無駄がなくて、美しいのです。
助手さんも比較的年配のおじさんで、
おそらく何十年という期間、マスターと一緒にこの店で働いてきて、
マスターとお客の動きを見て、
次に何が求められるのかを察知することができるのです。
何も言われずともキビキビと次の準備を
見えるところ見えないところで行っている様が、
とても心地よいです。

もちろん食事のおいしさまで含めて、このお店は
「ステーキのコースをお客様に提供する」
ということにおいて、一つの極致に辿り着いているなと感じました。

人間、一つのことを極めるのは難しい。
本当に、とても難しいことです。
つい他のことに目移りもしてしまいます。
ただ、一つのことを継続し続け、
誰もできないくらいに継続し続け、
一つの極みの境地に達することで、
その人やその会社なりの独自性が生まれてきます。
私が今、こうしてブログを続けているのも、それが一つの目的です。
一年くらい続けたらまずは一段階。
三年くらい続いたら、何かが開花するんじゃないかと期待しつつ続けています。

そしてただ継続するだけでなく、
とにかく、一つのことを掘り下げていく。
どんどんと掘り下げていく。
するとその毎日の同じことの中にも気づきがあり、
それを積み重ねていくことで、
その道が極まっていくんじゃないかと思います。

ちなみに私が極めていこうとしているのは別に「ブログ道」とかではなく、
「ほかとはちょっと違う視点でものごとを見つめて、それを表現・アウトプットする力」
です。

マイナーチェンジをする

一つの事をずっと継続し、提供していくことはとても大切です。
しかしもしこれが一つの極致に辿り着いているとしても、
その後少しずつ変化させていくことも必要です。

人間には必ず「飽き」があります。
「飽き」とは、「慣れる」ということです。
人間にとってこの「慣れる」=「飽きる」ということは、
周辺環境に適応していくという、人間に本来的に備わっている、めちゃ重要な能力です。
しかし人間にこの「飽きる」という能力が備わっている以上、
我々事業を提供する側は、少しずつ変化し、
バージョンアップを施していく必要があります。

あのカップヌードルだって、
同じような味でいて実は少しずつ味の変化を繰り返している、というのは
有名な話しです。
だからこそ、今ある姿を少しだけ変化させ続けるのです。

次々と思い付きで、新しいことを始めると、
どんどんとわけのわからないものになっていってしまいます。
そうではなく、
今あるものを、消費者の潜在的・顕在的ニーズに対応するためには、
どのように変化させる必要があるのか、ということを
考え、実行していくことが大切です。

そうしていくうちに、どんどんと事業が洗練されていきます。
「一つのことを極める」とは
ある地点に到達したらそれで終わりでなく、
このように少しずつ変化し続けることこそが
「極める」ということなのだろうと思います。

極めていくべき道の将来を見据える

ただ、その歩んでいる道の将来性を考えることは
とても大事です。
どれほど自分が極めきった事業・技術であっても、
多くの仕事は時代の流れと共に消えゆく運命にあります。
いくら極めていこうとも、
必要でなくなれば、それは求められなくなります。

「少数だけれども残る世界」ももちろんありますが、
その世界で生き残るには相当の覚悟が必要ですので、
一般的にはあまりオススメしません。

極めていくことと、変化を嫌うことは別次元のお話しです。
今の事業を極めつつ、
同時に世の中の変化を見据えて変化する柔軟性が必要なのです。

10年後、自身の業界はどのようになっているのでしょうか?
これは常に考えておきましょう。
少なくとも1年に一回は、これを考える機会をつくることが必要です。
通常は、次年度の経営計画を策定する準備段階が、
この機会になろうかと思います。
そして冷静な目で見つめて、10年後に
「この仕事、ないぞ!」
と考えるならば、勇気を持って軸足を動かすことが
経営者に必ず求められるのです。

極めた道があるのなら、そこに強みは必ず存在します。
その強みが軸足であると考えれば、
いろいろと別の進むべき道はあるはずです。
そんな意味で、極めた道があるからこそ、
自由であると思うのです。
その業界が危機的状況となる前に、
できるだけ早い段階で準備をしましょう。
遅れてしまうと、間に合わない場合もありますし、
焦りから正常な判断ができなくなることも考えられます。

道を極めつつ、常に将来を見据える。
それが会社の、経営者の生き残る道です。

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