経営者の6つの仕事 Part②

今日は、昨日の続きです。
経営者は、「経営」をしましょう、ということで、
ところでその「経営」ってなに?というお話しです。

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環境整備

「環境整備」と聞くと、設備を整えたりするイメージがありますが、
何も物質的なことだけを指すわけではありません。
そして環境整備にも、
経営側が全社員に協力を求めて行うものと、
社員のために行うものがあります。

まず前者は、いわゆる「5S活動」などがこれにあたります。
5S活動とはいわずもがなですが、
整理・整頓・清掃・清潔・しつけ
ですね。
それぞれがどんな意味を持っているかということも大切ですが、
いったんそれはおいとくとしまして、
これらは社内が働きやすい場になるように、
経営者が社員に求めていくものです。

整理整頓・・などというと、口うるさいように感じるかもしれませんが、
それが実現されると結果として仕事がしやすい環境が整い、
それが会社全体の「働きやすさ」につながっていきます。

ただあんまり厳しくし過ぎると、
本当に口うるさい状態になってしまうので要注意です。
日々負荷がかかるのは社員さんですから、
なぜこれをやらなければいけないか、ということを
ちゃんと経営者から噛んで含んで伝えていかないといけないところです。
ちなみに「5S」はあくまで一例ですからね。

そしてもう一つは、社員さんのために行うもの、つまり
「自由を与える」「安心を与える」
といったようなものです。

どのようにすれば、社員さんが最も力を発揮できる環境とすることができるか、
ということを実現する、ということです。

ライフネット生命の創業者である出口治明氏が、
ライフネット生命の社長時代にこんなことをおっしゃってました。
「経営者の仕事は、社員が明日も来たくなるような会社をつくること」

まさにこれが、
経営者の取り組むべき環境整備だろうと思います。

いったん常識などは取り払って、
どうしたら社員さんが喜んでベストパフォーマンスを発揮できるのか、
それを考えて実行していきましょう。

資産化

皆さんも「経営資源」という言葉を聞いたことがあると思います。
いわゆる、「ヒト・モノ・カネ・情報」ですね。
私の師匠である故・池田重樹氏はさらにここに
「文化風土」「ノウハウ」「時間」を加えて、
7つの経営資源として定義していました。

これら経営資源はそのまま放置していても、
これは単なる資源に過ぎません。
資源が資源のままでは何にも生み出さないので、
これを「資産」に変換する必要があります。

「ヒト」はそのままであればただの人ですが、
これを適切に育成し、適切に配置し、
能力を発揮して会社の利益に貢献できる状態にもっていってこそ、
資産化された状態と言えます。

それ以外も全て同じことです。
それらをどのように活用すれば、
会社の利益に貢献し、さらなる資産を生み出してくれるのか。
これを計画し実現していくことが経営者の仕事です。

特に小零細企業においては、
そもそもの経営資源が大企業に比べて乏しいですから、
経営者の腕の見せ所です。

ただ基本的に、モノ・カネ・情報は規模がものをいいますから、
これらでは勝負が難しいでしょう。

小零細の勝負ポイントは、「ヒト」、そして「文化風土」だろうと思います。
社員一人一人に経営者の思いをダイレクトに伝えることができるのが、
小零細企業の圧倒的な強みです。
ヒトの資産化を通して、独自性ある魅力的な企業を作っていくのが、
小零細企業の生きる道であろうと思います。

定義

言葉を定義し、共通言語を作る、というのがこの「定義」です。
これができていない会社が極めて多い。

同じ言葉でもその解釈は様々です。
先ほどの5Sに含まれる「清潔」という言葉一つとっても、
どういった状態を清潔と呼ぶのか、
定義づけがされていないと、それぞれの成果がまちまちになってきます。

どんな言葉でもその解釈やレベルは様々ですから、
その会社内で使用する言葉の定義づけがきちんとされていないと、
コミュニケーションが成立しないのです。

先日、最近行きつけになった居酒屋のマスターから、
「こんな片田舎の、小さい居酒屋ですけど、これから成功することってできるもんですかね?」
と質問されました。
これに対して私は、
「マスターにとっての「成功」って、どういう状態をもって成功と呼ぶんですかね?」
と尋ねました。
結果、現状である程度、成功できているということがわかりました(笑)。

この「成功」という言葉一つでも、
その捉え方が違えば会話は成立しませんし、
先ほどのケースだと、この定義を共有していなければ、
全然期待とは違うアドバイスをしてしまうことになっていただろうと思います。

同じようなことが会社内でも起こってませんか?
ということです。
定義づけだけでも語り始めるとエライことになりますので、
今日は概論ということで、この程度でとどめておきます。

いずれにしてもこの「定義づけ」、
非常に面倒くさい話しですが、
経営者がやらんとだれもやってくれるものではありません。

会社内で大切にしている言葉から順番に、
ぜひ深く考えてみて、
それぞれの言葉の定義を定めていっていただけたらと思います。

さて前回と合わせて、
これら6つが経営者の仕事であり、かつ経営者にしかできない仕事です。

小零細企業、特に創業間もない会社は、
経営者が現場の最前線で大活躍してなんぼ、ということはよくわかっています。
それでもその経営者のやっていることが「経営」である以上、
これらの仕事はやっていかないといけないことだろうと思います。

まずはできるところから。
優先順位をつけて少しずつ取り組んで行きましょう。
いっきにいろいろ実現しようとすると全て中途半端になってしまいますから、
ゆっくりでも結構ですので
一つ一つ着実に歩みを進めていただけたらと思います。

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