バランスを取るということ。

よく、○○と□□の両輪という言い方をしますよね。
経営者の考える「両輪」について考えたいと思います。

近所の公園のシーソー。

「両輪」とは何か

そもそも「両輪」とはどのような意味なのでしょう?
両方ともがあって初めてうまくいくとか、
それぞれが互いに関係しあって補完関係にある
とかいう意味でつかわれることが多いのですが、忘れられがちなのが、
「バランス」がとれていないとダメってことです。
両輪というのは前後の両輪ではなく左右の両輪ですから、
片方が大きくて片方が小さかったらまっすぐ走らない。
そして真っ直ぐ走らないと、当然事故るわけです。
会社置き換えたら、極端かもしれませんが、
最悪倒産、ということです。

論語とそろばん

両輪としてあげられるものにどんなものがあるでしょうか。
まず最初に思いうかげるのが、
右手に論語、左手にそろばん。
今大河ドラマでやっています(全く見てないですが)、
渋沢栄一の言葉ですね。
両方あるけどバランスの悪い人、いませんか?
両方重要とかいいながら、
気が付いたら道徳については口ばっかりで金勘定ばかりしていませんか?
それって実は非常にけち臭いことですよね。
でも気を付けないとうっかりやってしまうんですよ。
そんな経営者本当に多いですよ。
だから信用をなくすのです。
社員も
「社長は結局金のことばっかりや」
「言ってることとやってることが違う」
ということになってしまうのです。

本当はちゃんと社員のことを考えたい・考えているつもりでも、
経営に余裕がなく結果として社員に対して何もできず、
売上ばかり追いかけてしまう結果となっている経営者もおられます。
そのような状態に追い込まれていることは
本当に大変なことであることは重々承知のうえでお伝えしますが、
社員さんから見たら同じこと(のよう)です。
経営者としてはすごく腑に落ちないところです。
「こんなに考えてやってるのに、なぜわかってもらえない!」
ってなってしまいます。
しかし結局目に見える形で何もしてあげられていないし、
ケアもしてあげれていないし、
将来像も語っていないし、
語っていたとしても社員さんにとってそれが実現できる想像が全くできない。
結果、社員さんの心は離れていきます。
「論語」の部分には、それに沿った行動と実体が伴って初めて、
「論語」が備わっている状態であるといえるのでしょうね。

商品力<営業力

マーケティングの部分で考えられる「バランス」は、
「商品力(技術力)」と「営業力(販売力)」でしょうか。
技術力や商品力がないのに営業力だけあると、
それは未熟な商品の押し売りになります。
会社のブランディングを考えるときにもこれはとても重要なポイントです。
ブランディングというのは自社の商品の価値を
その価値が正しく伝わる形や言葉にして、
この発信を繰り返すことで発信力を高め、企業価値を高めていく作業です。
したがって、そもそも商品力がない状態でのブランディングは
まさに商品力の「見せかけ」です。
実際に価値のないものに価値があるように見せかけているわけですから、
その見せかけに騙されて購入したお客様の落胆ぶりやこれいかに、
ということです。
信用を積み重ねることはできませんから、正確にはブランディングとは呼びませんが。
ですからブランディングをするにも、そこには商品力・技術力といった、
『まずそもそも、ちゃんとした商品』
であることが大切です。
品質の低い商品をブランディングすることは間違いですし、
成立もしませんし、お客様も自社も不幸になります。
ですからブランディングのためにはまず、
それに見合った商品がある、商品を作る、ということが大前提となります。

商品力>販売力

逆に商品力はやたら高いのに、販売力が全くないという会社も散見されます。
私が仕事をしている中では、こっちの方が多いように思います。
目についてしまうだけかもしれませんが。
良い商品・良いサービスがあればそれで売れる、
というのは間違いです。
とても良い商品や良いサービスを提供しているけれども売れていない、
という会社が本当にたくさんあります。
良い商品を作っているのに、経営者自身の自己肯定感が低くて、
「うちの商品なんかたいしたことないよ」といって全く発信せず、
自信がないから当然価格も安くでしか設定できていない、結果儲かっていない、
という会社に出会うと、非常にもったいない思いがします。
商品力・技術力を磨くことは前提でもありますのでもちろん大切です。
ただそこにばかり注力して、
販売に全く目が向けられていない、
広報に手が付けられていない、
というのは問題です。
その存在を誰にも知ってもらえなければ、誰にも売れないのです。
結果、失礼ですがそれは自己満足の世界となってしまいます。
そんな方は商品力を磨くことはほどほどに、ちゃんとそれを広報しましょう。
自分の商品に自信が持てなかったり、
客観的にレベルを認識できない方は
まわりの人の意見を聞いてみましょう。
そして多くの人に広めるに足ると思えたら、積極的に発信しましょう。
今の時代、発信の仕方には事欠きませんので。

このように経営の局面では「バランス」をとることがとても大切です。
「両輪」だけならまだいいのですが、5つくらいの車輪をバランスよく
回していく必要があります。
経営全体は大きく分けて
・ビジネスシナリオ
・商品、マーケティング
・人事組織
・財務
・ライフプランとリスクマネジメント
から構成されます。
これらがバランスよく成立してこそ会社は成長していきます。
このブログで頻繁に出てくることばですが、
部分最適ではなく、全体最適。
全体バランスを意識しながら日々の経営に取り組みましょう。

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