ニセモノがどんどん本物に近づく時代

AIと量子コンピュータの進化で、
おそらくいわゆるVR・メタバースといった仮想空間が、
どんどん実物に近づいていくことでしょう。
そんなニセモノが本物に近づいていく現在~未来について、私の考えるところを。
あくまで私の勝手な想定で、実際どうなるかは誰にもわかりませんので、
あしからず。

ニセモノがホンモノに。

現在すでにメタバース空間というものはどんどん広がりを見せており、
その大きさ・緻密さは等比級数的に進化して、
おそらく最終的には、
仮想空間が実物と見分けが付かないレベルに、
到達するのだろうと思います。

少なくとも、両社の見分けがつくとしても、
仮想でも遜色ないというところまでは、
10年とかいうレベルなんじゃないかな、と思っています。

あまりメジャーな存在ではないですが、
内閣府の発表している「ムーンショット目標」
というものがあります。
今から3年ほど前に設定されたものです。

その中での目標設定として、

2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。

2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。

内閣府「ムーンショット目標1」より

とされています。
身体・時間空間・脳の制約からの解放を目指しているのです。

例示されているのは、例えば自分は家にいながらにして、
アバターが旅に出たり(立場が逆なんじゃないかとも思いますがw)とか、
複数のアバターを操作することで実際に同時間に複数の仕事に就くことができたり・・
まぁ、すごい時代が到来しますよ。

本物が価値を失う。

本物がニセモノに置き換わっていくということは、
本物がその価値を徐々に失う、奪われる、ということを意味します。

これは本当に、あらゆる業界で起きてくる現象でしょうね。
ですので、中途半端な「リアル」というのは、
そのレベルが低いものから順にニセモノに置き換えられ、
その存在意義がなくなっていくのだろうと思います。
あらゆる体験がメタバースに呑み込まれていくわけですから、
当然ですよね。

脳はAIに置き換わり、身体はロボットに置き換わる。
もちろんそれによって生まれる夢のような世界もあるわけですが、
これは、産業革命ですからね。
実際に事業をしている経営者としては、
これほどの世の中の急激な変化についていけるのかという
大きな問題があります。

そんな時代が到来したときの、
自社の仕事を想像してみてください。
「うちの仕事は〇〇だから大丈夫」という固定概念を一度捨て去って、
あらゆる可能性のもと、
今の自社の存在が不要となることをイメージしてみましょう。

例えば服を売っている会社でも、
「人間、服は着ないとどうしようもないから、問題ないでしょ」
という思考にとどめるのではなく、
「自分は自宅にいてアバターが仕事をするなら、服はいらなくなるだろ」
という発想です。
実際仮想空間であれば、どんな服でも自由に仮想空間内で着られますから。

本物が価値を失う、というのは、そういうことなのだろうと思います。

本物が本物としての価値を高めていく。

そんなことを考えると、
なかなか悲観的な未来ばかり思い描いてしまうわけですが、
私の考えるところは、
ニセモノはやはりどこまでいっても所詮ニセモノなんだろうな、
ということ。

ニセモノが限りなく本物に近づく中で、
ただ本物にしか生み出せない本物の力、というものは
残ると思うのです。

つくっているものが「本物」であるスーパー職人の世界においては、
ニセモノはどれだけ本物に近づいたとしても、
その体験は「アクティビティ」に過ぎず、
「本物」に触れたことにはなりません。

淘汰されるのはあくまで「中途半端な」本物。
しかし本物の一部が淘汰される中で、
本物中の本物がわかる人の中で価値が生まれ、
それを提供するものに恐ろしい価値がつくことに
なるんじゃないかと思います。

例えば、本物の日本刀をメタバース空間で鑑賞し、
その重さやある程度の質感まではVRを通して感じることができるとしても、
その日本刀の持つ妖艶さや究極の刃物としての恐ろしさみたいなものは
伝わってこないんじゃないかと思うのです。

この例は少し極端であるとしても、
「本物」の仕事・「本物」の体験・「本物」の人間関係、
そういったものは人が人である以上残り続けるでしょう。

さて今、自分の行っている仕事に、
そういった要素は残されているでしょうか?
もしそれが感じられないのであれば、
そういったものを再構築していくことも
必要なんじゃないかと思います。

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