「極端」に学ぶ、その2~宇宙開発

何日か前に、「極端」に学ぶということで、
医療現場についてお話しさせていただきました。
その第二回目。今回は宇宙開発です。

植松電機。

私はもちろん宇宙開発に関わっているわけでもありませんし、
その一端に触れたわけでもありませんから、
今回は他の方のおっしゃってることの引用となります。
私なりに感銘をうけたので。

北海道の赤平市に、植松電機という会社があります。
このブログでも取り上げたことがあると思いますが。
本業は、ユンボの先につけるマグネットアタッチメントの製造・開発です。

それと同時に、宇宙開発をもう20年くらい前から行っています。

既存の宇宙開発機関は「前例」を大切にするから前に進まない。
だからうちの会社が安価に衛星を打ち上げられるようになって、
打ち上げまくって前例を作りまくるんだー。

といったようなことを、
楽しそうにお話しされてました。

この方が、宇宙開発を手掛けながら経営をしていく中で、
宇宙開発から学んだこと、ということで3つ紹介されてましたので、
それを引用させていただきます。

15年先を見て開発する

これは、目の前のことだけ考えて、小手先だけの開発をするな、
ということです。

裏を返すと、15年先まで通用する技術を開発せよ、
ということですね。

数十年前の言葉ですから、
技術開発の流れと時代の変遷がとてつもなく速い昨今では、
もっと期間は短くなるだろうと思います。

しかしいずれにしても大切なことは、
目先にとらわれず、
何年も先でも通用する、本質的な部分にうったえかける開発をしましょう、
ということです。

会社の商品だってそうですよね。
もちろん外部環境・市場環境は変わりますから、
その時々の環境に適合した商品を生み出さなければなりません。

しかしその商品の根底に息づく基本設計や設計思想は、
流行に流されるものではなく、
時代の変遷に耐えうる本質的なものである必要があるのだろうと思います。

ベストセラーよりもロングセラー。

これが会社の象徴となり、ブランドを支えてくれるのです。

相手と同じ土俵に乗るな

これはどんなビジネスでもそうですよね。
逆に、宇宙開発でもこの思考をもっているんだ、
という感じがします。

特に小零細企業においては、
この思考は大切です。
「同じ土俵にあがる」ということは、
競合と全く同じ事業領域でたたかう、ということです。

商品に差異は生まれにくいですから、
価格競争にまっしぐらです。

特に、相手方が先にその土俵の上にすでに上がっているのであれば、
自身は後発組ということになりますから、
開発に手間と時間がかかりませんが、
それは相手の得意なエリアかもしれないのです。

相手の得意な土俵のうえで、新参者としてたたかう。
ふつう勝てるとは思えないですよね。
もし簡単に稼ぐことができるとするならば、
それは産業障壁が低いということを意味しますから、
いずれ他にもわんさといろんな会社が参入してきて、
一気に焦土と化します。

だからこそ、同じような商品を扱うにしても、
そこは自社なりの独自性のある世界を展開しましょう。

競合他社が気になる気持ちはわかりますが、
競合は競合、自分は自分。

自分の立ち位置が明確になって、
それが競合と異なるのであれば、
すでにその相手は競合ではありませんし、
まったく気にもならなくなります。

武人の蛮用に耐える。

これは、
「荒っぽい人が乱暴に扱っても壊れないように作りましょう」
ということです。

植松電機の社長もおっしゃってました。
どれだけ頑丈なものを作っても、
それでもなお、壊してくる人がいる(笑)、と。

だからあらゆることを想定して、
どんな使い方をされても壊れないように
製造しているそうです。

これはモノづくりの切り口ですが、
経営という視点で考えるならば、
「あらゆることを想定して、何が起きてもゆるがないだけの準備をしておく」
ということでしょうか。

私の座右の銘である
「ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む」
の國中均さん、
彼もはやぶさの研究者ということで、
もろ宇宙開発に関わっている人ですが、
彼はこんなことも言っています。

「こんなこともあろうかと」

はやぶさ1号の奇跡の帰還も、國中さんが
「こんなこともあろうかと」考えて、
自己判断で取り付けた機構が最後に機能したことで実現したそうです。

経営者は会社をつぶすわけにはいけませんから、
あらゆることを想定してリスクヘッジしておく必要があろうかと思います。
どれだけ可能性が低かろうと、
それ一発で会社が吹っ飛ぶようなことなのであれば、
それはちゃんとケアしておかなければいけないですよね。

以上、植松電機の社長の言葉より、
宇宙開発から学べることでした。

企業経営は利益を出すことが大前提ですから、
宇宙開発を前提に考えられたことをそのまま実現することは、
オーバースペックなのかもしれません。

しかしその考え方の基本的な部分は
きっとそのまま取り入れることで
活かすことのできるものなのだろうと思います。

多少オーバースペック気味に採用し、
強靭な会社をつくりあげていきましょう!

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