神は細部に宿るので、漬物が大切。

世の中には「こだわりのお店」「こだわりの商品」というものがたくさんあります。
その中でもちゃんとしていないものについては、
「いやいや、これは見せかけだろう」と、気になってしまいます。

「漬物」に現れる、こだわり

最近に始まったことではありませんが、
「こだわりのお店」を自称してくるところが結構あります。
自称までしてこなくとも、
「こだわってますよ!」とか
「価値の高いものを届けますよ」ということが
空気感から伝わってきたりします。

しかし、そのこだわりが、本物のこだわりなのか。
それが問われていますし、
それは顧客には案外簡単に見抜かれてしまいます。

和食のお店や仕出しなどでよく体験するのが、
タイトルにもあげている「お漬物」です。
途中までとても美味しくても、
これがちゃんとしてないと、
とてもガッカリさせられる気分になります。

それは本当にこだわりか

それではそのお店は、なぜそんなことになってしまうのでしょう?
それはおそらく、
『本当はそこまでのこだわりがない』
ということなのだろうと思います。

なんとなく適当にこだわってそうに見せようとすると、
穴が空きます。
先ほどの和食のお店の例で言うと、
目立つところで顧客に「こだわってますよ!」と見えるようにするることだけしか考えてないから
細部にまで行き届かないんです。

それが「漬物」です。

「メインの部分はちゃんと作りこんだもの(またはそのように見えるもの)にしたので、
 それ以外はどうでもいいや」
という気持ちが見え隠れします。

そこまでのことを思っていないとしても、
少なくとも
「隅々まで行き届いたものを顧客に提供する」
という気持ちが欠けていることは否定できないだろうと思います。

正直、町の定食屋に、そこまでのことは求めません。
なぜならある程度安くて美味しいものを提供することが目的で、
顧客へのホスピタリティとか、隅々までの心配りを求めるものではありませんから。

それでもメインのものが美味しくて、しかもお漬物まで美味しかったら、
「これは、本当に美味しいものを顧客に届けようと、心から思っているのだな」
と感じます。

本当にこだわりが顧客に届くのは、結局は、
「ちゃんとしたものをお客様に届けたい」
という心遣いであったり、
顧客の事をそこまで考えていなかったとしても、
「そこまで徹底して突き詰めないと気持ち悪い」
という経営者の性質によるものであったりするのです。

こういった心遣いや感性を持ち合わせていないと、
相手が
「これはスキがないなぁ」
と感じられるものにはならないのです。

神は細部に宿る

スティーブジョブズの有名な逸話ですが、
Appleで、ある商品開発をしているとき、
その製品の電子基板の配線がキレイでなかったそうです。

ジョブズがそれをみて、
「なんだこの美しくない基盤は。やり直せ」
といいました。
当然技術者は反発します。
「こんなところ、最後は隠れるんだから誰も見てやしませんよ」と。

しかしそれに対してジョブズはこう言ったそうです。
「誰も見ていないかもしれないが、オレは見てるんだ」

それぞれのセリフの精度は別にしまして、
だいたいこんな話しだったと思います。

で、その結果どんなことになったかというと、
基盤の配線がシンプルになったことで、故障率が大幅に低下したらしい。

こんな目に見えないところにまで気を配っているから、
Appleの商品はあれほどまでに美しいのでしょう。
その美しさが表面上のものだけではないということと、
表面上のものでないからこそ実際に美しさが伝わる、ということが
とてもよくわかる逸話です。

Apple製品のデザインを模倣したメーカーもたくさん出てきましたが、
どれもあからさまに「劣化コピー」です。
デザインどうこうという前に、こういった
「細部への行き届き」
という部分で大きく間違えているのではないかと思います。

旅館とかでも、
いい旅館ほどお客さんに見えないバックヤードがキレイに整っていると言います。

「どうせみえないからいいや」
「こんな細かいところはいいや」
表面だけ繕っても、その気持ちが形をなして表ににじみ出てくるのです。

『神は細部に宿る』
本物の商品・サービスを届けたいのであれば、
心にとどめておきたい言葉です。

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