組織とヒトの、優先順位。

組織内において、組織とヒトはどちらが優先されるべきでしょう?
結論から言うと、それは組織です。
今日はそんな当たり前の組織論について。

人は積み重なると組織になりますが、おにぎりは積み重なってもおにぎり。

ヒトの価値観を完全に合わせることはできない。

ヒトと組織、人情や業務上の都合で考えると、ヒトの方を優先してしまいがちです。
せっかく会社に入って育ってきた社員、
どうしてもやめてほしくないですよね。
だからヒトに合わせてしまうことがあります。

でもこれは経営者のエゴでもあり、
それを続けていくと会社がブレブレで、あらぬ方向に行ってしまいます。

「社員全員の価値観を統一して、同じ方向に進もう!」
という言葉をよく聞きます。
しかし人はみんな、違う価値観をもっています。
ですから社員全員の価値観を引き出して、
それを尊重して全てを統一させる、というのは
そもそも無理なはなしなのです。

社長のもつ価値観のすべてと共通の価値観を、社員全員がもっているということができたら、
それは会社というよりも究極の宗教団体です。
逆にすべての社員の価値観に合わせよう、というのは、
価値観があっているのではなく、単なる八方美人にすぎません。

ですから「価値観を合わせる」ということを考えるときには、
価値観をどのレベルで合わせるのか、
ということが大切になります。

全員の価値観には違うところがあるとは言っても、
必ず共通認識として持てるレベル、
人として当たり前に共有できる価値観は必ずあります。

誰だってピリピリした職場より、穏やかな職場の方がいいでしょう。
誰だって強制的な労働時間は長いより短い方がいいでしょう。
誰だって人を陥れようとする組織よりみんなで成長する組織の方がいいでしょう。
きっとみんなそうだろうと思います(ごくまれに違う人もいるでしょうが)。

こういった一番根っこの部分の価値観を共有すれば、
それでいいんじゃないかと思います。
そしてその中で、
「うちの会社はこういったことを大切にしてるんだ」、
ということを皆が理解納得していれば、
それでいいんじゃないかと思います。

逆にいろんな価値観がそこに存在するからこそ、そこに多様性がうまれ、
多様性があるからこそ、そこに化学反応が生じて、
イノベーションが生み出されるのです。

組織は、時間を超える。

ヒトの時間は有限です。
誰にでも死は訪れますし、
そもそもその前に定年で退職するでしょう。
定年がない会社でも、老化で
「もう無理」という瞬間はあるでしょう。

しかし組織は違います。
組織は複数の人で構成されていますから、
正しく世代交代を行っていくことができれば、
永続していくことも可能なのです。

そういう意味で組織には、
生物学的な意味合いでの「寿命」というものは存在しません。
つまり組織は人の有限な時間の枠外にあります。

これが組織の最もすぐれた部分の一つだろうと思います。
人を優先することで組織が継続できなくなるようなことがあってはいけません。
組織の存続は、人一人よりも大切なのです。

組織はヒトより優先される。

そんな意味で、組織はヒトよりも優先されます。
会社が同じ方向に進む必要がある以上、
会社で決まっているルールに対して、
「私はその価値観ではありませんから、従えません」
というわけにはいきません。

もちろんだから強制的に従わせるということではなく、
丁寧な説明が必要ではありますが。

そして組織である以上、これは経営者にとっても同じことです。
組織ができてしまった以上、
経営者もその組織に属する一員でしかありません。
役割が「経営者」ということなだけです。

だから組織のルールを決めた以上、経営者もそのルールに従う必要があるのです。
もし経営者がただ自分一人の思い通りとしたいのであれば、
それはその経営者一代で終わる組織になるでしょうし、
そんな人は組織を作っちゃいかんと思います。

裏を返せば、一人で事業を運営することを否定するわけではありません。
というか、そういう事業も間違いなくありです。

すべての事業が組織である必要もありませんし、
すべての事業や組織が永続する必要もないのです。
そうやって自分一人の思いで事業をやっていくということは、
そういうもの(永続し得ないもの)であると理解さえしていれば、
それで問題ないのだろうと思います。

自分一人の思い通りとしたいのに、永続性を願おうとするから、
ややこしいことになるんです。
その両者は矛盾しているのです。

ですから、組織を作ってそれを永続的なものとしていきたいのであれば、
経営者自身も含めて組織は人よりも優先され、
組織が人を凌駕するということを肝に銘じておきましょう。

それがどうしてもイヤ、ということであれば、
自分一人で事業を行う、もしくは
同世代の少人数で事業を行うということを考えれば良いのです。
ただしその場合でも、
どのように会社を終了させていくか、ということは意識しておきましょう。
「はい、やめた!明日からこの会社はありません!」
では方々が大迷惑です。
どのようにすればスムーズに事業を終えていけるのか、
そのイメージを持っておくことも大切なのだろうと思います。

タイトルとURLをコピーしました