経営理念は変えていいのか?

経営理念については、
「変えてはならない」という人と、
「変わってもいい」という人がいます。
ちなみに私は後者です。
もちろん頻繁に変えるものではありませんが。

某ラーメン屋のカウンター

経営理念とはどういうものか

これを読んでくださってる経営者さんの会社、
きっと経営理念がある方も多いんじゃないかと思います。

それではそもそも経営理念とはどういったものかというと、
それはその会社の存在意義のようなものです。

自分の会社は、なぜ存在するのか、なんのために存在するのか。
それを明文化して明らかにしたものです。

その役割は、
その発信する方向別に基本的に私は3つあると思っています。

一つは社内に向けて。
私たちはこんなことを実現・実行するために
こんな思いでやっていくんだよ、
ということを明らかにして、
全社的な方向性を定めていくことです。

二つ目は、社外に向けて。
うちの会社は社会に対して
こういった価値を提供するため存在するのですよ、
だからこんな商品・サービスを通してそれを実現しようとしてるんですよ、
ということを社会に向けて発信して、
その提供する商品やサービスの意味合いを届けることです。

そして三つ目は、経営者自身にむけて。
うちの会社は、こんなことを大切にして、
だからこそこういったことを行っていくんだ、
ということを自らに戒めるためです。
経営者も人間ですから迷いも生じますし、
ふと目先の利益に取り付かれたりしてしまうものです。
おかしな方向に進みそうになったときに、戻ってくる場所。
それが経営理念です。

経営理念は経営の基軸

そう考えると、会社の経営というものは全て、
この経営理念の上にのっかってできあがっています。

いつもこのブログで書いている、
経営者の6つの仕事の最初のものである、
「存在の理由」
です。

これを経営者が明確にしないことには、はじまりません。
特に20年以上前とはことなり、人々や社員が、
「意味」というものを考えるようになり、
いろんなものにたいする「意味づけ」というものに
価値を見いだしてきた昨今では、
より重要度が増しています。

変える?変えない?

経営理念にはいろんなものがあります。
適当に作ったものは適当につくったものらしく、
当たり障りのない美しいだけの言葉でできあがったものばかりですが、
経営者が本気で考えたものほど、
「なぜ私たちはこの仕事をするのか」
「この仕事を通してしゃかいにどのような価値を提供するのか」
ということがハッキリしていますから、
理念を読めばどんな事業内容なのか、というのがわかるものも
たくさんあります。

しかし、これまた20年前であればそれでよかったわけです。
今は、時代の変化も激しく、新たに生まれる仕事、失われる仕事、
という事業構造の変化も、めちゃ早い。

そんな中、今やっている事業に取り付かれて、
それを永遠に変えないというのは
リスクでしかありませんから、
必然的に、社会の変化に合わせて、
もっと柔軟に事業内容を変化させることが求められます。

何度がドラスティックな事業構造の変化があったことで、
昔とは事業内容が全く異なるなんてことも普通にあるでしょう。

それなのに、経営理念がそのままで良いのでしょうか?
それではいかんですよね。

事業領域が大きく変われば、自然と
経営理念も変わるものだと
私は考えています。

ですからそのような大きな変化をしてきた会社は、
一度経営理念を見直していただく必要があるんじゃないかと思います。

でも変わらないに越したことはない。

経営理念を見直すときには、
また経営者自身が自分の人生観や哲学まで掘り下げて、
考え直すことになるのですが、
案外こういった部分は変わっていないものだろうと思いますし、
この部分こそ、ころころ変わるべきではありません。

それは柔軟、というよりもブレブレ、ということですから。

そしてそういった根本的な部分というものは、
案外どんな事業に対しても共通のものとして
通用することが多いだろうと思います。

経営理念を変える必要が出てくるのは、
理念の中で事業領域が語られており、
その事業領域が時代にそぐわないものになったとき。

そしてそれが今後もまた変わっていく可能性が
あることはわかっているのであれば、
次に作る経営理念には事業領域までは踏み込まず、
その一歩手前のやや抽象的な言葉として
表現されるところで止めておくことも一つだろうと思います。

今後本当に頻繁に事業領域が変化することもあり得ますから、
その都度理念を変えていると、
あたかも時代に振り回されてブレているように思われてしまいます。

であれば広い事業領域を内包するような言葉で作ってしまうのも
一つ手段かと思います。

具体性に乏しいと感じられるのであれば、
その理念がどのようなことを意味するのか、
それをしっかりと文書で説明できる状態にしておくことが必要です。

そうすると事業領域が変わったときには、
その「解釈」を変更するだけで済むようになりますからね。

いずれにしても、経営理念は、
その会社の存在意義を明らかにする、
極めて大切なものです。
そこに一定の柔軟性は持たせつつも、
迷ったとき、ブレそうになったときに、
元の場所に帰ってくるためのものとして、
経営者自身にとっての不変の真理、のようなものを
表現するものであって欲しいものです。

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