コラボは関わる人が多すぎない方がいい。

複数の事業者がタッグを組んで、
一つの事業に取り組むという事例があります。
昔からありますが、最近さらに増えているように思います。
お互いの得意分野を集結できる一方、
関わる人間は、できるだけ少ない方がいいとも思います。

たくさん集まることで力が削がれることがあります。(虫嫌いな人は拡大しないことをおすすめします)

コラボのメリット

近年の事業規模のあり方は、大きく二極化の方向に動いています。
つまり
徹底的に大きな企業となって寡占化していくか、
小さな組織または一人事業を展開して、
徹底的に鋭く尖がって、ニッチなところに入り込み、
ファンを形成していくか、
という方向性です。

小零細企業は当然この後者の方を歩むことになっていくわけですが、
規模が小さいと切っ先を鋭くすることはできても、
独自で出来ることの幅は非常に狭いものとなります。

そこでそのような尖った存在同士が
自身の強みを持ち寄って一つのプロジェクトを立ち上げることで、
自分たちだけでは成し得なかったような事業を
カタチにすることができるのです。

コラボの現実

このように、
自社だけでは到底実現できなかったことを
可能にすることができる事業間連携ですが、
正直これまでいろんなものを見てきましたし、
いろんなものに関わってきたこともありますが、
残念ながらこれらが実際にとてもうまく稼働し、
大きな成果をあげられたかというと、
そのほとんどがそうではありません。

ほとんで成果をあげることなく、
フェイドアウト、または空中分解をしてしまっているケースが
多いのが現実です。

なぜこんな結果となってしまうのか、
その理由はおよそ次の通りです

1.船、山を登る

「船頭多ければ、船山を登る」
ということわざがあります。

集まる人や会社の能力が高ければ、
もちろん連携して作り上げることができるものも
クオリティの高い革新的なものが生まれる余地があるのですが、
基本的にそこに集まってくるのは、
普段、一国一城の主ばかり。

しかも日頃から独自性をもってこだわりの強い商品を作り出し、
提供しているような会社です。
ですから、このような主張の強い会社が集まって、
その中で明確なリーダーが生まれなかったり、
定まっていなかったりすると、
それぞれの主張がぶつかり合い、
事業が一つの方向へと向かっていかないのです。

どんな組織でも、
そこに優秀な人間が集まればそれで強くなるわけではありません。
「一匹のライオンに率いられた100匹の羊」の例の通りです。

誰が旗振り役となって、その場をコントロールするのか。
それが明確になっている必要がありますし、
その人にはこのクセの強い人たちをまとめ上げる能力が求められるのです。

2.責任の所在が不明確

会社の中で事業を立ち上げる際には、
必ずその事業・プロジェクトの責任者を定めるところから
はじまります。

小零細企業においては、人的資産が乏しいこともあり、
多くの場合その役割を経営者自身が担うことになるでしょう。

となれば、その責任の所在は極めて明確です。

これが前に進まなかったり、
成果をあげられない場合には、
その責任の所在はどこにあるかというと、
100%、その責任者です。

ですからその責任者の指示のもと、
プロジェクトは紆余曲折を経ながらも、
きっちりと前へ進んでいきます。

これが複数の事業者の集合体だと、
そうは行かない場合があります。
それぞれ自分の会社のことであれば
当然のようにしっかりと責任を持って事業を進めていくはずなのに、
とりあえず集まって、漠然と事業を進めていくと、
その事業自体の責任の所在がはっきりしません。

というか基本的に、みんな責任を取りたがりません。

みんなが集まることで強みを集積し、
それによって収益性の高い事業を作り上げよう、ということですから、
それぞれの事業者は少なくとも責任を持つべきものは自分の領域だけであって、
全体の成果が上がらないときの責任など
自分には関係のないことだと思っているからです。

責任の所在がはっきりしない組織は、
いわば「無責任組織」ですから、
こんな組織の事業がうまくいくわけはないのです。

3.責任を果たさない人がいる

上記のように、全体の組織の責任を取りたがらないのはまだしも、
自分自身の責任すら果たさない人が中には出てきたりします。

こういった事業間連携組織を構築するときに良くないのが、
とにかくいろんな人を巻き込みたがることです。

動いてくれる人は一人でも多い方がいい、とばかりに、
とにかくなんとなく仲の良い経営者に声をかけてみたりします。

また、その連携事業自体は、
話で聞くと非常に魅力的に聞こえることが多いですから、
そこに自ら首を突っ込みたがる人も意外と多くいるものです。

そうやっていろんな人が首を突っ込んだ結果、
責任の所在どころか、
それぞれの役割すら十分に果たさない人が出てきます。

基本的にはそれぞれの自社の本業が大切に思ってたりしますから、
そちらの方が忙しい人などは、
あからさまに連携事業の仕事を後回しにしてきます。

連携事業であってもこれはついでの仕事ではなく、
本業の一部ですからそのような考えはナンセンスです。

ただ現実としては、
そこに関わる人を厳選しないと、
そのような責任感の欠如した人が紛れてきますので、
それをきっかけに事業が進まなくなり、
フェイドアウトする、ということが、ままあるのです。

3.発案者のモチベーションが下がる

上記のようなことが起こってくると、
最初にこの事業を立ち上げた少数の中心人物が、
徐々に自分たちの思い描いていたような事業を
運営・展開することが難しくなってきます。

そりゃ、
いろんな人がマウント取ってくるわ、
いろんな人が自己主張ばかりしてくるわ、
いろんな人が文句ばっかり言うわ、
あげく、与えた仕事をやってこない人がいるわ、
という状態でしたら、
最初の熱い思いや使命感がなえてしまうのも当然の結果かと。

少人数で行う!

これらの問題は、結論としては、
多くの人が関わり過ぎていることから生じます。

ですから最初にスタートを切った3人程度の
志高いメンバーだけで出来るだけ運営するのがベストです。

それ以外の協力者を仰ぐのであれば、
その協力者をこの事業体の中に取り込むのではなく、
あくまで「外部協力者」としての関係にとどめ、
内部の運営などには関わらないような形で進めていくことが
のぞましいと考えます。

それでも多くの人を巻き込むということであれば、
そこには明確かつ強力なリーダーシップをもった
責任者、リーダーの存在が必須です。

そんな場合でも、
共に事業を行う人・事業者は厳選しましょう。

「何をするか、よりも誰とするか」

誰でも彼でも巻き込むのではなく、
本当にこの事業を進めるのに必要であり、
各自の役割を責任感を持って果たしてくれる人と一緒に
事業を進めていくことが大切なのです。

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