家族問題は、会社問題。

同族企業において、家族の問題は、会社の問題と直結します。

車の両輪。

私がいつも経営者の方に、
経営者の思考領域として経営者の考えるべきことをお話しするとき、
故 池田重樹氏が提唱したLDSS(Life Design Support System)に則り、
以下の6項目に区分してお伝えしています。

1.ビジネスシナリオ
2.マーケティング&セールス
3.人事組織
4.財務
5.ライフプラン
6.リスクマネジメント

このうち、「5.ライフプラン」に若干の違和感を覚えるかもしれません。
なぜならこれは、経営者個人の問題だからです。
大企業であれば、会社のガバナンスに
社長の人生や生活が入り込んでくる余地はありません。

しかし、中小零細企業であれば、そうはいきません。

中小零細企業のほとんどは、同族企業です。
同族企業ということは、程度の差はあれど、
その企業には経営者のファミリービジネスとしての要素を
含んでくることになります。

「うちは会社と個人、明確にわけているよ」
とおっしゃる方もおられます。
そして本当にこれを
明確かつ厳格に区分されておられる方もおられます。

しかし株主はそのほとんどが自分または自分の親族。
そうなると、家族・親族は完全に無関係とはいえないのです。

そして大企業であれば、現社長に何かあれば、
すぐに他の人が置き換わることが可能です。
しかし中小零細企業では、そうはいきません。

そんな意味でも小さい会社ほど、
経営者の人生は会社に大きく影響を及ぼしますし、
会社の状況は経営者個人及び親族の人生に大きな影響を与えます。

だからこそ私は常々、
「小零細企業の会社経営と家庭経営は、車の両輪」
とお伝えしているのです。

家族を大切にするがゆえに。

経営者・社長も人ですから、
他の誰よりも自分の家族が大切ですし、
良好な家族関係を
だからこそ、それが会社に悪影響を与えてしまうことがあります。
社長が不倫をしていたり、
社長とその次世代が会社に入っているが、極端に仲が悪かったり、
同じく社長が社内にいる自分の子に、気を遣って経営判断をしたり、
そのパターンは本当に様々です。
しかしいずれも、共通しているのは、
結果としてそれが会社に思わしくない影響を与えてしまっているということ。
最近読んだ、Number(スポーツ雑誌)の記事に、
野球の助っ人外国人のスカウトをしていた方のお話しが掲載されていました。
そのスカウト曰く、
「女性関係に問題を抱えている人は絶対にダメ」
とのこと。
やはり、仕事と家庭は、車の両輪なのです。

会社を大切にする。

野球選手であれば、それはその人本人だけの問題ですが
(もちろんチームにとっても良くないですが)、
会社の経営者ともなると話しが変わってきます。

経営者は自分の家族だけでなく、
どれほど小さな組織であったとしても、
会社をいかに良い組織にするか、ということを
考えなければなりません。

経営者は、
自分以外の人生を背負ってしまっているのです。

経営者が自身の家族関係・家族問題を会社に持ち込んで、
それによって他の社員さんたちが巻き込まれてしまって
良いはずはありません。

ですから経営者は
自身の家族との関係がどのようなものであろうと、
それが会社の成長を妨げるものであってはいかんのです。

どちら側に一方的に問題がある、
ということもあるでしょうし、
両方に問題があるということもあるでしょう。
個人的には後者の方が多いと思いますが。

それを解決するためには、
どちらかが身を引かなければいけないことも
あるかもしれません。
双方が大人になって、
仕事の場にその関係を持ち込まないというのがベストですが。

しかしいずれにしても、
会社が経営者の家族問題に振り回されていいことはありません。
もしそんな問題が自社の組織内に存在するのであれば、
双方が冷静になり、
双方が過度の気を遣うことはやめ、
ときには一方が心を鬼にして、
この状況を打破しましょう。

経営者家族だけでどうしても難しいという場合には、
第三者(コンサルや税理士等)がその間に入って
アドバイス・コントロールしてもらうことも必要かもしれません。

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