一番になる必要はあるのか。

よく、自己啓発系の情報収集をしていると、
「一番になれ」というようなことがでてきます。
使い古されているフレーズだとはではありますが、
やはり今でも大切だろうと思います。

一番になる必要はあるのか。

私が独立する前、勤務時代に、
当時所属していた事務所の所長から、
「一番を目指さなければいけない」
と言われました。
今から20年以上前の話しです。

「日本で一番大きい山は富士山だけれど、二番目は知ってるか?」
と尋ねられました。
まずほとんどの人が知りません。
そして、
「二番目は誰にも覚えてもらえない。だから一番でないといけない」
という説明。

今では使い古されて、多くの人が知っているこの流れですが、
当時それを初めて聞いたときは、
「おお、なるほど、本当にその通りだ」
と激しく納得したことを覚えています。

今では一般的なフレーズになり過ぎて、
コンサルが企業研修などでこれを用いると、
二番目に高い山の名前を準備して知っていたり、
「なぜ二番ではいけないのですか?それでもやっていけますよね」
と噛みついて来られたりするようです(笑)

しかし、この
「二番目に高い山を知ってますか?」
というフレーズが
どれほど使い古されたものであったとしても、
その本質は変わりません。

やはり事業をやる以上、存在を覚えてもらってなんぼです。
「この業界で日本で二番目に歴史がある会社です」は、
一番にくらべたインパクトが格段に弱いですし、
「一番じゃないんじゃん」
となってしまうでしょう。

その昔、事業仕分けと称して
「二番じゃダメなんですか」と叫んでいた政治家がいましたが、
それを聴きながら、
「いいわけないやろ」と突っ込んでいました。

一番になるのは難しい。

それではどうやって一番になるのか。
これがなかなか難しいところです。

実際、ほとんどの業界・事業において先駆者はいてますから、
一番になるにはそれを追い抜かなければいけません。

そして事業である以上相手もプロとして頑張ってますから、
それを追い抜こう、ということを考えていると、
それはそれはストイックな話しに行きついてしまいます。

そして、それを経営者や上司が部下に押し付け続けると、
いっきにブラックな様相を呈してくるわけです。

おそらく「一番になる」というところに
抵抗を感じて噛みついてくる人たちは
そんなこ認識を持っているのだろうと思います。

私も今さら
「日本で最大の税理士事務所になる」
というのはまずありえないです。
目指したくもないですし。

「日本で一番の品質を目指す」
というのも無理でしょうね。
そもそも「品質」ってなんだ?
ということでもありますが。

「一番になる」
というと、規模感や相当の特別感がないと
不可能であるように思えますし、
相当人生をかけて取り組まないと
辿り着けないように感じられてしまいます。

ただそんな「広い世界」で
一番になる必要はないのです。

一番になれる場所を探す。

一番になる目的、それは
「存在を際立たせること」であり、
「自分たちの会社が選ばれる理由を作ること」ですから、
そんな壮大なことを考える必要はありません。

自分達なら、
どの世界であれば一番になれるのだろう?
と考えて、
一番になれる領域を絞り込んでいけばよいのです。

たとえば地域性ですが、
日本一ではなく、
都道府県イチ、市町村イチでもいいでしょう。

そしてそこに別の要素を掛け合わせると、
もっと容易になります。
〇〇市で最も〇〇のできる(〇〇な)〇〇、
という形です。

それを、自社の特徴が現れる場面や、
自社の得意なこと、強みであることに
収斂していくのです。

私でしたら、
奈良県下で1年近くも毎年ブログを更新している税理士は
おそらくいないと思われます。
いたとしても、
多分、税務のことや世間話のようなブログになっているでしょうから、
これだけ経営のことメインで平均2000字を超えるような形で
書き続けている人は絶対にいないでしょう。

奈良にそんな税理士・コンサルがいるということ自体が
まだまだ世の中に知れ渡っていませんから
現状、力を発揮していない「一番」ですが、
これを3年5年と続けているうちに、
大きな力を発揮してくれるだろうと思っています。

このような「一番」であるということが、
大きな発信力へとつながります。
そして昨日・一昨日の「錯覚資産」でもお話ししましたが、
「一番」であることが、錯覚資産として
会社や事業全体の信用や価値を高めてくれるのです。
もちろん「錯覚」のままではいけませんが。

二番では全くダメというわけではありませんが、
一番に比べると、
たとえその差がわずかなものであったとしても、
外部への発信に与える影響力は全く異なります。

自分たちは、どんな特徴を持っているのか。
どんな強みを持っているのか。
どんな土俵で闘おうというのか。
自分が一番になれる場所を定めて、
それを徹底的に磨き上げていただけたらと思います。

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