リスクに向き合う、リスクに備える。

経営にリスクはつきもの。今日はそんな、経営に関わるリスクについて。

経営に「あぶない!」はつきもの。

リスクは「起きるもの」と考える

経営を行っている以上、そこには大小さまざまなリスクが
必ずつきまとってきます。
皆さんは、そんなリスクについて、
深く踏み込んで考えたことがあるでしょうか?

日々の事業を運営している実務の中で発生する可能性のあるリスク、
取引先との関係や、商品についてのリスク、
人事や組織に関わるリスク、
経営者自身に関するリスク、
いろんな角度から眺めてみることで、様々なリスクが顕在化してきます。

そして実現した場合に、
会社にちょっとしたダメージを与えるだけのリスクもあれば、
一撃で存亡の危機に関わるようなリスクもあります。

前者は、もし発生しても大打撃に至らないので、
つい放置してしまいがち。
そして後者は、考えるだけで恐ろしく、その対処の手段もハードルが高いので
目を逸らしがち。

いずれにしてもリスクに対して準備のできていない会社が多いように思います。

そして特に後者について、
「そんなことは、まぁ起こらないよ」
と楽観的に考えてしまいます。
しかし、危機管理の観点からはこれは絶対にNGの発想です。

危機管理の原則は
「悲観的に考え、楽観的に行動する」
です。

「きっと起こらない」
ではなく、
「必ず起きる」
と考えることがまず大前提なのです。

考えるだけでなく、ちゃんと行動する

危機管理を考えるうえでは、
まずは、会社内に大小どのようなリスクが潜んでいるかということを
洗い出すことからスタートです。

来期の計画を考えるタイミングなどがいい機会になると思いますので、
ぜひ一度、自社の抱えているリスクを
徹底的に洗い出していただきたいと思います。

挙げ始めるとどんどん上がってきますので、
どんどん気持ちがブルーになってきますが、
これは放置しておくと大変なことになる可能性のある「問題」ですので、
ここはぜひ真正面から向き合ってください。

そして、リスクとして洗い出すことができたら、
大切なのはそれに対して
「行動を起こす」
ということです。

もう10年以上前の話ですが、ある経営者に、
「〇〇が起こってしまったら、どうするんですか?」
と問いかけたところ、
「そうなったらしょうがないから、それはもう、いいねん」
とおっしゃられました。

『いやいや、そこは放置したらあかんやろ』
とも思ったのですが、
顧問先でもありませんでしたし、
それ以上突っ込むとその経営者を大勢の前で追い詰めてしまいそうな空気感になったので、
それは言わずに、そこで話しはやめました。

しかし、せっかくリスクに気が付いているわけですから、
これを放置するのは良くないですよね。

放置するということは、そのリスクに気が付いていないのと同じことですから、
可能性のあるリスクとして顕在化した以上、
そのリスクをいかにして排除するのか、
それに対してどのように対応するのか、
実際に行動に移しましょう。

先の経営者になげかけたリスクのように、
発生してしまったらもう、どうしようもないリスクもあるだろうと思います。
しかしその場合でも、
その後にどのようにフォローするかということを考えておくだけでも、
実際に発生してしまったときに冷静に対処できるようになる分、
十分に意味があることだろうと思います。

リスクを取らないことによるリスク

これまでお話ししてきたのは、
「受動的なリスク」です。
しかし経営には
「能動的なリスク」
というものもあります。

何か新しい事業を起こす、などというのは、その典型でしょう。

事業は今ある形で放置しておくと、どんどんと陳腐化していってしまいますから、
自ら仕掛けて変化・進化していく必要があります。

しかし、変化や進化には、必ずリスクが伴います。
そのときそのリスクを受け入れて実行するか、
リスクを恐れて実行しないまたは控えめに行うか、
経営者は、そんな選択肢に迫られます。

このリスクを最小にしようとすればするほど、
変化・進化は小さなものとなってしまいます。
場合によってはリスクを取ることを恐れすぎるあまり、
「結果として何も変化していない」
ということになる可能性もあります。

しかしこの「変化しない」ということは、
それ自体がリスクなのです。

先ほどお話しした通り、
変化しないことは現状維持ではなく陳腐化であり、退化なわけですから。

ですから経営者である以上、
経営を維持発展させていくために、
経営者自身の意思決定により、一定のリスクを負う必要が出てきますし、
このような能動的なリスクを負うことで、
何もしないリスクを回避することができるのです。

もちろんそのリスクに対して無防備で実行すればいい、
ということではありません。

そのリスクが実現したときには最悪どのような事態に陥るのか。
それは自社が耐えられるものなのか。
どんな状態に至った段階でどのような行動を起こすのか。
そのためにどんな準備をしておくのか。

こういった危機管理は、能動的なリスクに対しても同様に必要です。

受動的なものであれ能動的なものであれ、
まずはどのようなリスクが想定されるのか、
リストアップしましょう。
そしてそれに対して優先順位をつけ、
順番に確実に対処・行動することが大切です。

目を背け続けても、
リスクはその場からいなくなるわけではなく、
ずっとついて回るものですから。

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