小零細企業にはたくさんの強みがありますが、
たくさんの弱みもあります。
小零細だからこそのリスクも考えられます。
そこから目を逸らさないことは、とても大切です。
放置していい弱みは、捨てる。
皆さんも自社のSWOT分析をされたことがあるだろうと思います。
もし「私はしたことがない」ということでしたら、
ぜひ一度はしてみてください。
というか、最低でも年に一度はしていただきたいと思います。
会社の事業領域を考えるときにも、
経営方針を定めるときにも、
SWOT分析を行うことは、その思考の基本となります。
今回はSWOTのお話しがメインではないので、
SWOT分析をよくご存じない方は、各自ご自身で調べてみてください。
その中の「W(Weakness)」。
つまり「弱み」ですね。
これが今回のテーマです。
今会社が抱えている弱みを、とにかくたくさん書き出すことが
分析のために求められることですが、
「弱み」は大きく2つにわけられます。
それは「Action」と「No Action」
つまりその弱みについて、手を打つか手を打たないか、
です。
弱みを外部環境に照らして考えたときに、
その弱みが、そのまま放置していても大きな問題にならない場合は、
それは放置していてもいいものです。
SWOT分析はむしろ強みにいかに集中するかということが
大切です。
事業の独自性は強みによってしか生まれませんから。
ですから、放置していてもOKな弱みは、
何も手を付けない、つまり
「捨てる」
ということになります。
弱みはとても気になりますから、
このまま放置しておくのもなんだか気持ち悪く感じる場合もあります。
しかし、放置して差し支えないものに、
大切な経営資源を投入するわけにはいきません。
だからこそここは、
「捨てる勇気」をもつこと。
何かを拾うためには、何かを捨てなければならないのです。
放置してはいけない弱み
しかし逆に、
「これはそのまま放置しておくと大変なことになる」
という弱みもあります。
企業の存亡にかかわる、とか、
人命に影響を及ぼす、とか、
そういったレベルのもの。
そこまでのものではないにしても、
取り返しのつかない類のものも、これに当たります。
先ほどの、「放置しても差し支えない弱み」とは逆で、
こういった強烈な弱みについては、
人は結構、目を逸らしがちになります。
そもそもそれほど大きな弱みで、簡単に解決できるようでしたら
早々に解決しているはず。
したがって、こういった弱みは、
そもそも解決することが困難なものが多いのです。
だからこそ、「見なかったこと」にしてしまうのでしょう。
しかし、これこそ、
本当に向き合わなければいけない弱みです。
そのまま放置しておくと、
それが実現したときには、
会社が吹き飛んでしまったり、
誰かの命が危ぶまれたり、
超巨大なクレームを生み出したり、
ということになってしまうからです。
リスクと向き合う
また、「弱み」とは少し違うかもしれませんが、
存亡に関わるリスクが考えられる場合には、
弱みと同様、これらと向き合う必要があります。
経営計画を考える際にも、とても重要な要素です。
どのようなリスクがあるかということを明らかにし、
それに対してどのような手を打つのか。
それに対してどのような準備をするのか。
それらを計画に組み込んでおかなければ、
なかなか手を付けられるようなものではないからです。
私の場合、最悪のリスクは私の死亡です。
税理士という仕事は、税理士という一個人に依存するところがあります。
税理士法人にしているとはいえ、私に万一のことがあった場合には、
顧客の多くが離れていってしまうかもしれません。
ですから私にとっての最大のリスクヘッジは、
私がいなくても維持できる収益源を確保すること、です。
そしてその準備を少しずつ行っているところです。
このように、
時間がかかってでもなんとかできる可能性のあるリスクについては、
常にその解決のためのアンテナを張って、
計画的になんとかしていきましょう。
しかし皆さんのリスクの中には、
実際に発生してしまったら、絶対にどうしようもない、
ということもあるでしょう。
たとえばお客様からお預かりしている大切な品物が
火事で燃えてしまう、とか。
これは取り返しがつくようなものではありません。
こういったものは、
もちろんそんなことが発生しないために万全の体制を取ることがまず前提ですが、
実際にそれが発生したときに、どのような対処をするのか、
ということを明確にし、備えておくことです。
どうしようもないことは、どうしようもない。
どれだけ自分が気を付けていても、隣からの延焼ということもあり得ますから。
だから、そうなったときに、
焦らず正しい対処ができるように、
備えておくのです。
それくらいのことしかできませんが、
逆にそれがあることで救われることもあります。
弱み・リスクに対しては、まずは目を背けないこと。
そしてしっかりと向き合ったうえで、
その解決策を着実に実行し、
その対応策を準備しておきましょう。
そのような備えがないようでしたら、
ぜひ来期の経営計画に向けて、
現状の弱みとリスクのリストアップから始めていただけたらと
思います。