内と外をつなげる「結び」が大事。

現在の事業が、このまま何も変化することなく
10年後もあり続けるということは考えられません。
ですから、事業内容というものは、常に変化させていく必要があります。
その変わりゆく「内と外」をつなぎ合わせたもの。
これが次なる事業領域です。

「事業領域」はどのように定めるか。

まず「事業」というものについて考えたいと思います。
どんなビジネスであっても、
それを提供しようとする自分がいて、
それを求める消費者がいれば、
それは事業として成立します。

この自分(=内)と消費者(=外)がつながりさえすれば
ビジネスはできあがりますから、
それ自体は難しいことでもなんでもありません。

しかしたった一つの商品を、それを求めるたった一人に届けたところで、
それは儲かる事業でもありませんし、
当然継続できるものでもありません。

提供する商品は広く社会が求めるものである必要があり、また
その商品の品質は一定水準以上のものである必要があります。

ですから「外」、つまり外部環境を考えるときには
「社会経済」「業界」「消費者・生活者」の視点で
社会がいったいどのようなことを求めているのか、考える必要があり、
「内」、つまり内部環境を考えるときには、
その事業が自社にとっての強みを活かせる領域であって、かつ、
その事業自体、自分自身がしたいものでなくてはなりません。

この
「強みをいかせること」と「したいこと」が
「シーズ」、つまり自らの中に宿る種であり、
「社会が求めていること」が
「ニーズ」、つまり社会に必要とされているものです。

これらシーズとニーズがきちんと合わさったところに、
その会社にとって適切と考えられる事業領域が定められるのです。

変化に備えて事業領域を動かす。

この「内」と「外」、つまり「シーズ」と「ニーズ」を結びつけるだけであれば、
それはそれほど難しいことではありません。

問題は、この両者は常に動いている、ということです。

当人が望むと望まざるとに関わらず、
外部環境というものは変化していきます。
そして、その環境が変化しきってしまったら、
もうそれは後の祭り。

「さあ、今からどうするか考えよう」
と動き出したところで、時すでに遅しです。

「求められるもの」は同じところにとどまることはなく、
常にゆっくり(ときどき急に)動き続けています。

さらにはシーズである「できること」「したいこと」も
少しずつ動いています。
これまで出来なかったことが、
経験と研究を重ねることで出来るようになっていたり、
外部から情報や刺激を受ける中で
新たな「したいこと」が生まれていることも充分にあります。

このように動いている「外」と「内」とを
常に結び続けていないといかんのです。

だからこそ、外部環境と内部環境は、
少なくとも年に1回はゼロベースで見直し、
それがちゃんと結ばれているか確認し、
結びつきが弱くなってきているように感じるのであれば、
これをちゃんと結びなおさなければいけません。

つまり、事業領域を少しずつ変化させなければいけないのです。

難しいながらも、未来予測を行う

将来を見通すことのできる人間は
この世にはいません。
めちゃ優秀な「本物の」占い師であっても、
世界・社会のすべてが見通せるわけではありません。

ただ、だからといって、
将来世の中がどのように変化していくのか、
それを考えないわけにはいかないのです。

特に中長期の試験研究を必要とするような事業の場合、
その研究開発が終わったころには次の世の中に移っており、
すでに必要としないものとなっている可能性もあります。

そこまでのものでないにしても、
事業の大きな方向性を考えるにあたって、
今後世の中がどのように変化していくのかを見定めることは、
絶対的に必要なことなのです。

ですから、これからまだ10年以上のスパンで
事業を継続する必要がある経営者にとっては、
未来予測は必要不可欠ということになります。

そんな意味で日々新聞を読むこと、ニュースを見ることは大切です。
一般的なマスコミには盛大に偏りがありますが、
新聞なら日本経済新聞、TVならNHK。一部批判はありますが、その他民法に比べると、相当にましです。あと、テレビ東京のWBS。
このあたりはチェックしておきましょう。

そしてネットから得られる情報もバカにはできません。
場合によっては、新聞やTVよりも早く、正確であることすらあります。
その正確性を見極める能力が問われますが。

これらの情報をただなんとなく頭に入れるのではなく、
その情報を見聞きしたときに、
「・・・ということは、どうなるのか」と仮説を立てるようにしましょう。
これを習慣化することで、
一見自社とはなんの関りもなさそうに思える情報が、
近い将来自社にどのように関わってくるのか、
それを読み解く能力を磨くことができるようになっていくと思います。

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