「ブラックジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~」

今日は久しぶりにマンガレビュー。
最近新たに読み始めたマンガがなかったため、
久しぶりになりました。
いつもは、自身にとっての学びになるようなマンガを選ぶのですが、
今回は何も得るものはありません(笑)。

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私と手塚治虫

プロフィールに書いているとおり、
私は手塚治虫の大ファンです。
誰もが知っているものから、誰も知らないようなマニアックなものまで、
手塚治虫のマンガが山のように自宅にあります。

最初の出会いは、小学5年生のとき。
友人の家で読んだ「ジャングル大帝」がきっかけです。
ただ面白いだけでなく、そこに壮大なテーマを盛り込んでいるところに
当時子供ながらに引き込まれました。

そしてそれが日本としては戦後間もない昭和25年に連載が始まったものだと知って、
驚愕しました。
それからというもの、中学以降、
本屋で手塚治虫の本を見つけるたびに購入するという、はまりっぷり。

当時、講談社の「手塚治虫漫画全集」が廃版になっており、
昔の作品を入手することが困難でした。
今は多くの作品が文庫版やらkindleやら様々な形で読むことができるので、
いい時代になったものです。

でもやはり、手塚治虫の作品は、
今でもちゃんとリアルな本として持っておきたいなと思っており、
「漫画全集」は「文庫全集」として復刻しているので、
そのうちこっそり大人買いするかもしれません。

B.J.作成秘話について

さて、表題の本についてですが、
通常「〇〇秘話」というと、
どのようにしてその作品が生まれた、とか、
その作品の中での神回がどんな着想から描かれたのか、とか、
そういった内容になるのが一般的かと思います。

しかしこの本は違います。
ブラックジャックをはじめとする、当時の作品が、
どれほど過酷な職場の中から生み出されたのか、
ということが延々と描かれます(笑)

そしてそんな過酷(という言葉で表現するには全く足りないほどに、過酷)
な現場からあれほどの作品を生み出していた、手塚治虫の天才性について、
これでもか、というくらいに描かれています。

これほどまでに手塚治虫の顔が汚く描かれているマンガは
見たことがありません(笑)。
汚いながらも、そこには作者なりの手塚治虫に対する愛が感じられるから、
私としては問題ないのですが。

ただ、そのように汚く描かれているからこそ、
手塚治虫の持っている裏側の顔であったり、
天才ならではの異常性みたいなものが、
めちゃ伝わってきます。
そして笑えます。

かつて手塚治虫に関わってきた様々な人々にインタビューをして、
その内容が回顧される形で描かれているのですが、
今だからこそ笑えるのだろういうレベルで、
凄惨ですw。

締め切りの近い原稿を着手せずアメリカに旅立ち、
もちろんネットもFAXもない時代に
国際電話でコマ割り、背景を指示して仕上げていく逸話は
驚愕します。

人を、振り回さない。

今回、このマンガを読んで、
スティーブ・ジョブズの伝記を思い出しました。

ジョブズの伝記も読んでみると、そこには感動よりも、
「ジョブズ、鬼やな。こんな人の下では働けんな」
という思いが先立ちます。
そして
「自分の会社はこんな会社にはしたくないな」と(笑)。

手塚治虫もジョブズも天才だからこそ、
周囲はその天才性についていけません。

しかし彼らの熱量でもって、周囲を巻き込み、
素晴らしい作品・商品が生み出されます。

結果としてこれほどのものが生まれたことに対しては
本当にすごいことだと思いますし、
それを享受している我々としては
ある意味感謝でしかないわけですが、
それでもやはり、こんな会社を作ってはいかんな、
と思います。

そして、今は時代が違いますから、
どれだけTopが天才であろうと、
そこについていけないと、人はどんどんやめていき、
結果としてそのTopの思いは実現されません。

本人としては、自分は普通の人と思っているかもしれませんが、
人と違う感性を持っている人は、
「自分は人と違うのだな」
という自覚を持つ必要があるだろうと思います。

そしてそのうえで、
ちゃんとみんながついてこれるようコントロールをするのが、
経営者の務めだろうと思います。

もしそれが億劫である、と感じるのであれば、
自分のことをちゃんと理解し、
現場をコントロールしてくれる優秀な右腕を、
なんとしても確保するべきでしょう。

そしてその右腕には、
常に自分(経営者)の方を見て仕事をしてもらうよう、
意思疎通をしっかりと行うことが超重要です。

そうしてその右腕が、
経営者自身の持つ特殊な感性を現場に落とし込み続けることができれば、
独自性の強い、素晴らしい会社ができあがっていくだろうと思います。

例に挙げるまでもないと思いますが、
ホンダ技研でいうところの藤沢武夫であり、
ソニーでいうところの盛田昭夫です。

これほどの会社でない、社員数名の小零細企業であったとしても、
経営者の感性が特異であるならば、
No.2の存在は必須です。

そんな人が社内に確保できないのであれば、
残念ながら経営者自身がちゃんと自分の考えていることを整理し、
直接社員さんに伝える努力をしましょう。

社員さんにとって、あなたは宇宙人です。
宇宙語は地球人には理解できません。
この前提に立って、
社員さんとの意思疎通を図っていただけたらと思います。

経営の話しをするつもりはなかったのに、
結局経営の話しをしてしまいました(笑)。

「ブラックジャック創作秘話」、特にオススメということでもないですが、
興味を持たれた方には、めちゃ面白いと思います。

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