生涯、やりたいことをやる。

今やっている仕事を好きになる(好きな部分・方法を見つける、好きだと思い込む)ことも、
必要だと思います。
特に若いうちには。
しかし、基本は、自分が好きなことをやり続けることが大切だと思っています。

田中久重。童門冬二の歴史小説は経営視点で描かれるので好きです。

東洋のエジソン、田中久重

私の好きな歴史上の人物で、
田中久重という方がおられます。
江戸時代末期から明治時代に活躍した発明家です。

からくり人形の新しい仕掛けを次々と発明し、
「からくり儀右衛門」と呼ばれます
(「儀右衛門」は久重の幼名)。

その後、佐賀藩に取り立てられ、
国産初の蒸気機関車を製造したり、
軍事面においても反射炉を改良し大砲製造したりと
様々な方面で活躍されます。

70歳過ぎにして国に請われて上京し、輸入品を超える電信機を開発。
その注文がどんどん舞い込むようになると、その工場をあっさり人にゆだねます。
そして「自分のすきな開発で生み出した技術を世に問いたい」と、
自分の工場(田中製造所)を立ち上げます。
ちなみにこの田中製造所がが後の東芝へとつながり、
東芝は田中製造所の創業をもって自社の創業日としているそうです。

好きなことを追求する

なぜ私が田中久重のことが大好きかというと、
普通、自分が作った事業が軌道にのると、
そこに固執しますよね。
ところがこの人は、とにかく発明をすることが好きで、
その軌道にのった事業ををすっぱりと手放してしまって、
さらに自分が楽しめる世界へとのめり込んでいきます。

この、何物にもとらわれず、自分の「好き」を追求する考え方と行動が
個人的に大好きなのです。

それが技術職であろうがなんだろうが、
こんな風にして自分の好きなことを追求することで
人の役に立って、生きていきたいなぁと。

かつては「一つの事業に集中し、やり抜く」ということが
美徳であったように思います。
その精神を否定するつもりはありませんが、
やはりその時その時で
「自分が本当にやりたいことは何なのだろうなぁ」
ということに対してきっちりと自分と向き合い、
それを死ぬまでやりつづけることが大切だなと、私は思うのです。

もちろんこれは、
物事を中途半端に投げてしまう、ということではありません。
ちゃんと徹底して形にし、それが軌道に乗っているからこそ、
次の新しいものにチャレンジする。
この精神を忘れずにいたいものです。

小零細企業だからこそ。

こんなことは、我々が小零細企業の経営者だからこそできることです
(このブログの読者の大半が、小零細企業の経営者という前提ですw)。

これがある程度大きい組織になってしまったり、
他の資本が入って経営に口を挟むようになってくると、
経営者が「こんなことをやりたい!」となっても
なかなか難しいだろうと思います。

そんな意味で、自分のやりたい事業を一生やりつづける、ということは、
小零細企業または一人事業者だけに与えられた特権だと思うのです。

せっかくそんな特権が与えられているわけですから、
これを活かさないともったいないですよね。

それが事業の成長につながるはず。

超少人数で事業されていて、
それでもいろんな人に気を遣って、
だんだん事業のあり方が窮屈になっていってるなと感じている方。
そして、特にコロナからこっち、
思うように売り上げが上がらなくて、
とにかく収益を確保するために、
いつもまにか自分の思いと違う形の事業になってしまい、不本意に感じている方。

いろんな状況におかれている方おられると思います。

もちろん事業存続のために
今の収益を確保することは絶対的に必要ですが、
自分で事業を始めたからには、
最初に自分がやりたかった姿というものがあるはずです。

それを今一度思い出していただいて、
その世界を追求することを一方では求め続けていただきたいと思います。
結果としてはその方が、事業としては深まっていきますし、
独自性をとがらせることができます。
そしてそれが最終的に、事業の成長につながるのだと思うのです。

タイトルとURLをコピーしました