大量の顧客より、最良の顧客を。

経営を行っていくにあたって、
「顧客を定義する」というのはとても大切なことです。
私なりに考える、その理由などをお話しします。

牛骨ラーメンを食べたいときは、ここ。

なぜ顧客を定義する必要があるのか

当社は顧客を「小零細企業」に絞っています。
この「小零細企業」という言葉は一般的に存在する言葉ではありません。
私なりに「これが私の顧客だ」と
しっくりくるラインがこれだったのです。
これはあくまで当社の顧客定義の最も概要的な部分を
一言で表現しているだけで、
実際の定義となると、もっと細かく存在します。
このあたりについては、また別のブログでお話しできればと思います。
いずれにしても顧客を定義することで、
経営していくうえでのいろんな方向性がグッと定まりますし、
それを追求していくことで顧客満足度も会社の幸福度も高まります。

経営がぶれないために

当社の事業領域は、
自分の強みであったり、
心の底から自分がやりたいことか、
ということをベースに考えてきたものです。
経営計画や、M&Aや、ブランディングやセミナー事業など、
そうやって導き出されてきたものです。
そして経営をしている中で、
もちろん同業他社の動向は定期的にチェックしていますし、
チェックせずともいろんな形で情報として入ってきます。

するとどうしても目移りしてしまいます。
「あ、こんな仕事してるんだ、面白そうだなぁ」とか、
「お客さんの役に立ちそうだなぁ」とか
「儲かりそうだなぁ」とか(笑)。
こういった誘惑はとても魅力的で、
「自分にもできるなぁ」と考えると思わず手を出したくなります。

しかしこれが間違いの第一歩です。
特にうちのような超小規模でやっている事務所は、
あれもこれも手を出すことはできません。
それをやっていると、一つ一つの事業が薄まっていき、
必然的に顧客満足度の低い商品がたくさんできあがっている、
という状態になってしまいます。
いわゆる「器用貧乏」というやつです。
私は生来からして「器用貧乏」の傾向がある人なので、
ここは要注意です。

我々の業界に関わらず、
正しく収益性を高めて生き残っていくためには、
「独自性」というものが必要です。
そして時間は有限ですから、独自性を高めていくためには、
「絞り込む」必要があります。
いろんなことに手を出して、薄めていっている場合ではないのです。

まわりからの情報が入ってくると、
どうしても隣の芝は青く見えます。
そしてそれに振り回されてしまうわけですけれど、
ここで考えなければならないことは、
「青い芝は、青い芝であることを維持するための努力が必要」
ということです。
隣の青い芝は、そのお隣さんの不断の努力によって
作り上げられたものなのです。
青い芝に見えて飛びついても、
その程度の覚悟で青い状態を維持できるとは思えません。
それよりも、
今自社がやらねばならないこと、やりたいことを、
どこにも負けない青い芝に育てるべく、
力を注いでいくべきだろうと思います。

ミスマッチが起きないために

特に私のように顧客と深くつながる必要のある業界の場合、
「ミスマッチをおこさない」ことはとても大切です。
もともと「信用できる知り合いの税理士」というのが
周囲にいないことが多いのだろうと思いますが、
これまでにもいろんなご紹介をいただいています。

しかし、税理士やコンサルにもそれぞれ特徴があり、
専門性の高いことを取り扱っているほど、
その提供するサービスの幅は狭いのが一般的です。
ラーメン屋にもいろんなラーメン屋があるように、
税理士事務所・会計事務所にもいろんな事務所があるのです。
そしてその「事務所サイド」が自身のターゲットや理想の顧客の定義をしていないと、
「うちは豚骨ラーメン屋なのに、間違って塩ラーメンを食べたい人がやってくる」
という状態になってしまいます。
当然のように、その顧客のニーズに応えることはできません。
こちらが得意としていない仕事であったり、
好きでない仕事(もっと言えば、嫌いな仕事)を提供することは、
極めて非効率でかつ極めてストレスがかかります。
あげく、あまり喜んでもらえなかったりします。
それはもちろん私の実力不足なのでしょうが、
それ以前にうちの事務所が引き受けてはいけない仕事なのです。

大量の顧客より、最良の顧客を。

自身の経営のブレ、心のブレを最小限にとどめるために、
ターゲットを定めることは最低限必要です。
そして顧客満足度を高めていくためには、
自身の「理想とする顧客像」を明確にする必要があります。

自社の商品やサービスを磨き上げる方向性として、
この「理想とする顧客」を徹底して喜ばせることをテーマにすると
ブレも少なく、間違いも少なくなります。
そして
「自分の提供したいこと」を
「自分が提供したい相手」に届けることができるので、
事業として抜群に楽しいものとなります。
前述のとおりミスマッチが起こると、
こちらがしんどいばかりか、満足度がさがり、
そんな顧客が自社のリピーターとなることはありません。
それどころか、マイナスなことを発信してまわる可能性もあります。

amazonの商品レビューなど見ていても、
とても評価の低い人のレビューを読んでみると、
「いや、そもそもあなた、この商品選んじゃダメでしょ」
ということがたまにあります。
お互い不幸ですよね。
こうして新しい顧客が増えて離れて、を繰り返すことはマイナス要素も多く、
極めて非効率でもあります。

逆にこれがちゃんと、自社の届けたい人に届くようになれば、
提供する側もとても気持ちの良いものです。
ちゃんとマッチした商品サービスを気持ちよく提供されているわけですから、
顧客満足度も必然的に高まるでしょう。
そしてそうして「ファン」といういう域まで達してくれたお客さんは、
正しく自社の商品を喜んでくださる顧客を引き連れてきてくれるはずです。

先ほどの「来ては別れる」という顧客との関係では、
大量の顧客接点はあれど、それは全く蓄積されていきません。
しかし、正しくマッチングされた顧客は蓄積され、
着実にその輪を広げていくことができます。

大量の顧客より、最良の顧客を。
自社にとっての最良の顧客とはどういった顧客でしょう。
この部分だけ取り上げると
顧客を選別する会社側のエゴのように見えてしまうかもしれませんが、
自社の顧客がそんな理想的な関係性の顧客だけで満たされたら、
お互いにとってそれほど幸せなことはありませんよね。

自社と顧客との幸せ空間を作り上げるために、とても大切なことだろうと思います。

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