仕事を断る勇気

業種にもよりますが、私の仕事のように、
主に労働集約型で付加価値追求型の仕事を提供する仕事の場合、
仕事を断る勇気がとても大切になります。
なぜ、敢えて仕事を断る必要があるのか、その理由を整理してみました。

この後、「バケツ、もとうか?」とききましたが、断られました。

ミスマッチは、お互い不幸

継続的な仕事であれ、単発提供の仕事であれ、
提供する側の提供したい商品・サービスが、特徴的なもの・ニッチなものであるほど、
それを提供する側の提供したいものと顧客の受けたいものの「ズレ」が
ある程度、生じます。

私の場合であれば、経営計画の策定支援や、
経営全体に関する社外相談役としてのコンサル、
ということが提供したいサービスなわけですが、
相手がそれを求めていない、ということであれば、
相手にとってそれは価値がないわけです。

相手がこちらの価値を認めていないのに、
仕事を続けるのは非常にストレスです。
相手が不満なことはなんとなく伝わりますが、
それに対してどうしようもないからです。
何とかしようがあることも、もちろんありますが、
それに合わせていくと業務範囲が拡大して特徴のない会社になってしまいます。
豚骨ラーメンを求めているお客さんが間違って、
塩ラーメンしか作っていない店に入ったみたいなものです。
塩ラーメン以外の〇〇ラーメンが欲しいと言われて、その要望にいちいち答えていると
どんどんおかしなことになっていきます。

私の仕事のように、一度契約でつながってしまうと、
なかなか双方別れを切り出すのが難しい業界では
特にそれを注意しなければいけません。
この関係を継続することは互いにストレスでしかありませんから、
できるだけ早い段階で、少なくともビジネス上の関係は断ち切った方が良いのです。

そしてこのようなミスマッチを生み出さないために、
自社が何を考え、どのようなサービスを提供しようとしているのかを
事前に強く発信しておく必要があります。
このブログは、その役割も持たせて運営しています。

苦手な仕事をするのはよくない。

これはどんな仕事・会社でもそうなのですが、
事業を行うには、自身のもっている「強み」で勝負する必要があります。
なぜかというと、自身にとっての「強み」の部分でしか、強い付加価値が生まれないため、
顧客に「選ばれる理由」が明確になっていかないからです。

付加価値低めの大量消費型では
小零細企業は大資本に太刀打ちできません。
ですから小零細企業はニッチで付加価値の高い事業で
勝負していく必要があります。
そこに投入できる人的資本もとても少ないですから、
あれやこれややっていると、全てが価値の低いものとなっていきます。
だから、苦手な仕事をやっている場合ではないのです。

そして苦手な仕事は、通常「きらいな仕事」であることが多いと思います。
基本、きらい。だから苦手なのです。
そんな事業は伸びることはありませんし、
その仕事を積み重ねても自身につながりません。

ですから、自社にとって苦手な分野の仕事が来たら、
それは前項でいうところのミスマッチでもあり、
自社だけでなく顧客も不幸になりますから、
断る勇気が必要なんだと思うのです。

もちろん、やってみなければ得意か苦手かわからない仕事もあるかと思います。
新しい仕事が舞い込んだときにこれを
「新しい事業の柱を増やすチャンス!」ととらえて、
手を出してみるのもありでしょう。
しかし、それが自社の強みが活きない、自社が伸ばすべき仕事ではないと判断したら、
即座にやめましょう。

やりたくない仕事に、時間を奪われない。

私は小零細企業の場合、
「経営者自身やその会社の「やりたいこと」で顧客に喜んでもらってこそ」
だと思っています。
やりたくない仕事で顧客からお金をもらっても、
前項の苦手なことと同じで、将来につながりません。

きらいな仕事が苦手になりがちだということの裏返しで、
やりたい仕事であるからこそ、仕事として磨き上げることができますし、
それを追求していくことで、極まっていき、
そこに独自性が生まれ、高まっていきます。
やりたくない仕事をやっていても、続きませんし、
続いたとしても、次第に心が枯れていきます。

自分の強みであって、
やりたいことであって、
もちろんそれを求める顧客のいる仕事。
これこそが本来自社の極めるべき事業領域です。
事業領域が明確になれば、そこからブレることなく、
その世界を極め続けて、独自性を際立たせていきましょう。
そこに大いなる付加価値が生まれ、
収益性と確実性が備わっていきます。
そして安定感のある企業として成長していくのだろうと思います。

経営者にとっても自身の会社にとっても、
時間は有限です。
「時は金なり」といいますが、
一度失ったお金は取り戻せるかもしれませんが、
一度失った時間は決して二度と戻ってきません。
そんな意味で「時は金なんかとは比べ物にならないほど貴重なもの」です。

そんな大切な時間を、
やりたくないことに投入するのではなく、
やりたい仕事に投入し、
独自性と付加価値を高めて、顧客に喜んでいただく。
これが経済的にも精神的にも、最高の仕事なんじゃないかと思います。

今日は大晦日。
特に年末と関係のある記事にはなりませんでしたが(笑)、
良いお年をお迎えくださいませ。

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