好きなことを仕事にするか。

「好きなことを仕事にした方がいい」
という人と
「好きなことは仕事にせず、趣味でおいといた方がいい」
という人がいます。
今日は好きなことを仕事にすることの是非について。

好きですが、仕事にしようとは一切思いません。

基本的には、好きなことを。

私個人的には、
好きなことを仕事にすることは賛成です。

「好きこそものの上手なれ」
ということわざがありますし、論語にも
「これを知る者、これを好む者に如かず。これを好む者、これを楽しむ者に如かず」
という言葉があります。

人間好きだからこそ上達し、
好きだからこそ、そうでない人よりも
その道を極めていくことができます。

経営や事業という視点で見たときに、
ほとんどの産業は成熟しまくっています。

そんな意味で、普通のことを普通にやっているだけでは、
顧客に選んでもらうことはできません。

どんな業界であれ、そこに「独自性」というものが備わってこそ、
その事業は事業として成立します。

ですから事業を考えるときに、
「好きなこと」「やりたいこと」という要素は
とても大切だと考えます。

「好き」のレベルとセンスによる

しかし、「好き」にもいろんなレベルがあります。
この「好き」のレベルが中途半端だと、
それを仕事にするとえらいことになります。

例えば私、ドラム演奏が趣味ですが、
それを極めるために毎日練習するとかできるかというと、
きっとそこまでするのは嫌だろうと思います。

このレベルの「好き」なものは、
結局その程度の好きでしかありませんので、
前述の「好きこそものの~」や「これを楽しむ者~」
には、あてはまってきません。

また好きというレベルとは別に、
「ずっとやっていてもつらくない」
とか
「息をするようにすることができる」
ということも大切です。
続けられるかどうか、というのは、
それがどれほど好きであるか、というレベルとは、
また別のところにあるように思います。

結局は、仕事として続けていて
ほっといてもいろんな工夫もできるし、
四六時中考えていても苦痛じゃないし、
その中でつらいことがあってもそれほど気にならない。
そんなものだからこそ「仕事」や「事業」にできます。

そうでない「好き」を仕事にしてしまうと、
そのうち嫌いになってしまって、
自分から趣味が一つ消えてしまうので、
それはそのまま趣味として置いとくのがいいと思います。

私は音楽であったり日曜大工であったり、料理であったり釣りであったりと、
多趣味な人間ですが
それらはほとんど「趣味」のまま置いとかれてます。

結局いまやっている仕事の方が楽しかったりもするので、
その趣味は最近結構手つかずになってしまっています。

センスも大切!

あと、センスの有無も大切です。

どれだけ好きでも、それは必ずしも上達するとは限りません。
だいたい好きなものは
自分に向いてから好きになるということが多いですが、
そうでない場合も往々にしてあるかと思います。
「下手のよこ好き」という言葉がある通りです。

事業として成立するには、その商品・サービスの成果物が
価値あるものでないといけませんから、
いくら好きでもセンスのないものは、
まったく事業として成立しません。

わかりやすい例としては、
デザインがどれほど好きでも
デザインセンスのない人はデザイナーになってはいかんと思うのです。

もちろんそれぞれの自由意志ですから止めることはしませんが、
全くオススメできるものでもありません。

そこのところは、自分で客観的に判断して見定めることが必要です。

「嫌い」を仕事にしない

そしてもう一つは「嫌い」を仕事にしないことです。

「嫌いなこと、仕事にするやつ、おらんやろ」
と思われるかもしれませんが、
案外そうでもありません。

事業ということになると、好き嫌いだけではなく、
そこに「儲かるか儲からないか」という要素が入り込んできます。
そして「儲かる」というのはとても魅力的なものですから、
「儲かる」と感じるだけで、とても魅力的な事業に思えるのです。

しかしいざやってみると、とてもつらい。
それは、その仕事内容が嫌いだから、
またはその仕事が向いていないからです。

継続していてつらいものは、先ほどお話ししたように、
その事業内容を深めて独自性を生み出すにいたるまで
やり抜くことはできませんから、
嫌いなことは仕事にしないようにしましょう。

一瞬魅力的に感じて一度やってみて、
「あ、これは自分には向いてないわ」と感じたら、
その事業には手を出さない、
または完全に外注に丸投げする、
ということを考えるべきだと思います。

社内で他の人にお願いする、という手段もあります。
何事も適材適所。
それを喜んでやってくれるのであれば、
それは組織であることのメリットの一つですので、
面白いと思います。

いずれにしても「嫌いなもの」というのは
だいたいが自分にそのセンスがないものであることが多いものです。
嫌いなものは続けていてつらいですし、
結局センスのないものは事業になりえませんから、
それを仕事にするのはぜひやめましょう。

もっと自社の強みを活かせるもの、
会社として喜んで取り組めるもの、
きっとあるんじゃないかと思います。

事業領域というのは、
「求められるもの」
「できること」
「やりたいこと」
の接点に生まれるものであるということを、
強く意識して自社の事業領域を定義しましょうね。

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