社員さんの「したいこと」を実現する。

社員さんの声を、経営に反映させることができるのは、
小零細企業の大きな強みです。
これを活かさない手はないと、思っています。

最近こどもたちが、やりたくて始めたインラインスケート。

大企業では、社員の声は経営者に届かない

大企業では社員さんから見た経営者までの距離は、
遥か彼方にあります。
社員一人一人の声や、やりたいことが、経営者の耳に届くことは、
ほぼありません。
そういう社内体制を構築している会社もあるかもしれませんが、ごく少数でしょう。

私たち、小零細企業では、
経営者と社員さんの距離が非常に近いところにあります。
これは小零細企業にとって、非常に大きな強みです。
モチベーションの高い社員さんほど、
「会社の中で、こんなことをしてみたい」とか、
「この会社の中であれば、こんなことができるのに」
といった想いやアイデアをもっています。
それが会社の理念や方針から考えて「アリ」なものであれば、
ぜひその実現に向けて取り組める仕組みを、会社内に構築したいものです。

それが実現できれば
社員さんのモチベーションは間違いなく高まりますし、
人生豊かになりますし、
それが会社の事業(またはその一部)として確立すれば、
会社の収益にもつながります。

社員さんの「したいこと」をくみ取る方法

以前このブログで、『ビジネスシナリオ』の話しに触れました。
 そのブログはこちら
ビジネスシナリオは、会社の
 「今やること」
 「今後やること」を
事業領域というレベルで描き切るものです。
事業の一番根っこの部分です。

その、会社が手掛けていくべき事業領域は、
「社会が求めること」
「会社のできること・強み」
「会社のやりたいこと」
の3つの接点から生まれます。
そして、この「やりたいこと」については、
まず経営者のやりたいことであることは大切なのですが、
ここに社員さんを巻き込むのです。

そのためには、まず社員さんに、
このビジネスシナリオの構造を理解してもらう必要があります。
「求めること」「できること」も一緒に議論するのもいいですが、
少しハードルの高いことでもありますし、
時間もかかることですから、
この2点は経営者の方である程度用意しておくというのもいいでしょう。
そのうえで、純粋に社員さんが、
「自社」という器を使って
どんなことがやってみたいかを挙げてもらいます。

会社の雰囲気と社員さんのキャラにもよりますが、
「じゃあ、順番に意見をお願いします」
といっても遠慮も働き、
なかなかアイデアが出てくるものではありません。
こんな場合は「KJ法」。
全員にふせんを配って、ある程度の時間を取って、
ふせんに自由な思いを書いてもらいましょう。
このとき「最低でも何枚」と最低限のアイデアの数を指定しましょう。
ムリにでもアイデアを出してもらうことが大切ですから。
これなら人前で発表するのが苦手な人のアイデアも
くみ取ることが可能となります。
KJ法については、ググっていただくと普通に出てきますので、
そちらを参照ください。

そして、そうやって出てきたアイデアを
否定しないことが大切です。
自由な発想を好きなように表現できる場を、
経営者自身が担保してあげましょう。
経営者自身でファシリテートできないような場合には、
外部コンサルの活用も一つの手段です。
私が顧問先の会議に入って、経営者に替わってこういったことを行うこともよくあります。

すべてが実現されるわけではないことを知ってもらう

実際にやっていただくとわかりますが、
今できていないけどやらなければならない極めて現実的なものから、
思わぬ突飛なアイデアまで、
いろんなものが飛び出してきて、非常に面白いです。

中には、「こんな会社にしたい」という漠然とした思いが
あがってくることもありますが、
それはそれで「今は事業領域を考える時間だから」と切り捨てることなく、
ちゃんとその意見はくみ取っておいて、
「そういった会社にするには何が必要か」ということを考える時間を
別に確保するのがベターです。

こうして出てきたいろんな「したいこと」を
「求めること」と「できること」に沿って、
それが自社の事業領域として取り組むべきか議論して判断し、
それをどのような順序で実現していくのか、優先順位をたてます。
ここで大切なことは、
最終的に決定するのは経営者の責任のもとで行うことです。
いろんな社員さんの意見をくみ取ることはとても大切ですが、
それをすべてそのまま受け入れるわけにはいきません。
 ○会社の理念や方針に照らして、どう考えても違うもの・取り入れてはいけないもの
 ○会社の強みや能力から考えて、どう考えても不可能なもの
こういったものは現実的ではありません。

そして、今は着手できないが将来実現できることについてはちゃんと、
「今はできないけど、いついつくらいにやっていこう」
ということを宣言し、
実現できないことや手を付けないことについては、
「これこれ、こういう理由で、それはできない」
ということをしっかりと説明することが必要です。

これをちゃんと説明するためには、
まず経営者が自社の理念・方針を明確にもっており、
しっかりと環境分析・社内分析ができている必要があります。
でないと説得力ある形で社員さんに説明できませんよね。

結局は、収益性と効率性。

しかし、こういった社員さんの「したいこと」を実行するには、
結局社内の収益性と効率性が
ある程度高いことが大前提となってまいります。

今でも会社に必要な利益を全員で遅くまで残業して
ようやく作り出せている会社が、社員さんに、
「その『したいこと』、面白いから、やってみよう!」
と言ったところで、
「それ、いつやるの!?」
ということにしかなりません。

難しいことかもしれませんが、
現実的な取り組みの中で、
まずは会社の収益性と効率性を少しずつでもいいので高めていきましょう。
そうやって稼ぐべき収益を全員でさっさと稼ぐことができれば、
残った時間はみんなで好き放題に
将来に向けたことをやっていけばいいのだろうと思うのです。

そうやってみんなで作り上げていったものが
会社の将来のメシの種になってくれば素敵ですよね。

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