親子は、ケンカするもの。

親と子は、その距離が近いからこそ、
ちょっとしたことで互いに意固地になります。
小零細企業だと親子が同じ会社に入っていることも多いですから、
そんな場面に、わりとよく出くわします。

「行くぞ」といっても動かない。親子ゲンカの種。

なぜ親子はケンカするのか

もちろんそんな会社ばかりではありませんが、
親子が同じ会社で働いている場合、双方ともいい大人であるにもかかわらず、
会社内でバトルが繰り広げられることがあります。
ハタから見てる私としては、
『どうせやるにしても、社員さんが見てるし、影でやってくださいよ』
と思うこともしばしば。
とはいいつつも、普段は温厚な私ですが、
この年になって親にいろいろ指摘をされると「イラッ」としてしまいます。
まだまだ人間出来ていないです。

なぜ親と子は、ケンカをするのでしょう?
世の中にはいろんな人間関係がありますが、
「親と子」というのはその中で際立って特殊な関係ですよね。
それ以外の関係は自分の意志で切ることはできますが、
親子となるとそれは非常に難しいものがあります。
もし切ることができるとしても、
親子であるという事実を変えることはできません。

そして子は、生まれたときから親の庇護下にあって、
幼くて一人では何もできないところから、親の手によって育てられていきます。
そうやって子供が成長していく過程を絶え間なくずっと見ているため、
きっと親からすると自分の子については
「大人」と「子供」の境界線がとてもあいまいなんでしょう。
親から見ると、いくつになっても
自分の子は「子供」なのです。

その思いから「良かれ」と思って言っていることに、
少なからず「子ども扱い」の空気感が混じってしまいます。
ただ、当然「子」はいつまでも子供ではありません。
大人になってからは、べつに反抗期でなくとも
親からの指摘に「子ども扱い」の空気を感じ取ると、
本能的に反発してしまいます。
だからこそ、これを回避するためにはどちらかが、
「より大人」になる必要があります。

親は子供を子供扱いせず、「見守る」という姿勢を崩さず、
余計な口を挟まないこと。
伝えるべきことがあったら他の社員と接するのと同じように、
1対1の大人同士としての対話であることを
強く意識することが大切であると思います。

また「子」の方も親から、仕事上のことで
指摘をされたりアドバイスを受けたときに、
そこに「子ども扱い」の空気感を感じ取ったとしても、一呼吸おいて
「冷静に意見を受け止める」ことが必要です。

社員の目の前での親子けんかは、結構見苦しいものです。
その見苦しさを客観的に理解して、
お互い少しだけ大人になって歩み寄り、
少なくとも社員さんの目の前でけんかはしないようにしましょう。

仲介者が必要な場合も。

とは言っても親子同士。
距離が近い分お互いの意見のぶつけ合いも
遠慮のないものとなってしまいます。
そこでどちらか一方でも感情的になってしまうと、
その議論はあらぬ方向に進んでしまいます。

親が経営者、子が経営幹部で承継者、という場合には、
この二人による「幹部会議」が行われる場面は相当に多いものと思われます。
そんな場でその都度感情的になり、その都度ぶつかっていると、
会議はいつまでたっても建設的な形で成立しません。

親は子に対し「あいつはまだまだや」と言い、
子は親に対し「あいつは何にもわかってない」
などと言う関係性になっている会社を少なからず見かけます。
しかしそれぞれから別々によく話しを聞いてみると、
双方ともちゃんと会社のことを考えて話しをしており、
「細かい相違はあれど、方向的には一緒じゃん」
と感じることも多いものです。

結局お互い、
「なんか、腹立つ」
という感情的な、しょうもない話しです(笑)。

こういうときには、間に仲介者が必要だろうと思います。
私もよく、その役割を果たすことがあります。
二人で経営会議をする場に私が入って、
ファシリテーターとしての役割を果たします。
他人が間にいるだけで、感情的なものが表に出てくるのは
相当少なくなりますし、
もし感情的なものが顔を出したり話しが横道に逸れそうなときには
間に割って入って調整します。

そうやってちゃんと結論を出して、
その内容を確認して終わる、というだけで、
しっかりと経営も前に進んでいきますし、
経営者の「承継」の場としても価値のあるものになります。

顧問税理士がそういう適性のある人であれば、
仲介者として入ってもらうのはおそらく税理士が一番フィットするかと思います。
そうでなければコーチング技術をもった
信頼できるコンサルに入ってもらうのも悪くないと思います。

次世代の意見を取り入れることで
経営を革新的なものにすることができますし、
これを継続していくことが、
円滑な事業承継へとつながります。

まぁ私が関われるのは一か月に一回だけですから
それ以外の日は衝突を繰り返して、また一か月後を迎えるわけで、
なかなか前に進んでいかないことも多いですけど・・。

親子だからこそうまくいく

そうは言っても、親子だからこその絆、
というものも無視できません。
よく「うちの父親は・・」という愚痴を聞くことも多いのですが、
『そうは言っても、最後は手伝ってくれるんだから、素直に感謝しましょうよ』
とも思います。

会社が大変な状況になって、
夜遅くまで仕事をしなければいけない、
無理をしないといけない、
そんなときに最後まで見放さず協力してくれるのは、
家族です。
社員さんはその前に見放して去っていくかもしれませんが、
家族は結局最後の最後まで一緒に支えてくれます。
もちろん、そうでない人もいますが、どちらかというとそれは例外かと。

親子だからこその、お互いの複雑な心情と人間関係の中で、
素直になれないこともあります。
だから、もっと互いに感謝の気持ちをもって、
互いを尊重しあうことを意識するというのが大切なんじゃないかなぁ、
と思います。
誰よりも身近だからこそ、そういった思いは
「言わなくてもわかっているだろう」
で終わらせてしまっては、いかんのです。
日常の中で、今さら感謝の思いを伝えることが照れくさいのであれば、
月に一度、環境の違う場所でゆっくり食事をする機会でももって、
改めて感謝の言葉を投げかける、ということも大切だろうと思います。

想いは、カタチにしなければ伝わりません。

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