【バックナンバー】損益計画の作り方

今日はいろいろ力尽きましたので(笑)、
二日続けてになりますが、バックナンバーでお届けします。
数値計画を作る上での基本、損益計画の作り方について。

--- 以下、2021/10/04の記事より ---

経営計画を作る過程で、損益計画を作ることは当然のことながら必須です。
ただ、「経営計画」という名で損益計画だけを作る方もいらっしゃいますが、
それはただの数字遊びになっているケースが多く、また、
利益を出すことが最終目標になっているという意味で
経営の在り方としても大きな問題があります。

経営計画の在り方の話しはいったん置いておくとしまして
今回は、損益計画を作るときの注意点をお話したいと思います。

利益から逆算する

よく損益計画を考える場合、
売上から考えていくケースが多いかと思います。
これ、ずいぶん昔から発信し続けているのですが、
最初に売り上げから作っていくと、
①売上はこれだけ
②粗利率これくらいだから粗利益はこれくらい
③固定費はこれくらい
④だから経常利益はこれくらい
という風に、算出される経常利益はあくまで
「売り上げを元にした結果」
として出てきます。
経常利益が「成り行き」で求められてしまうのです。

ここで考えていただきたいのは、会社にとって必要なのは
売上か利益かどちらでしょう、
ということです。
ここで「売上」と答えてしまう人は、相当危ないです(笑)。
もちろん利益ですよね。

その必要な利益の計画が
「意志」ではなく「成り行き」で生み出されることに
違和感を覚えていただきたいのです。
ですからまず最初に考えるべきは、
「自分が出したい利益」
「必要な利益」
です。
そこから逆算して考えるようにしましょう。

まずは自分にとっての「必要な利益」を決めてください。
「必要な利益」の具体的な算出方法については、
また長い話しとなりますので改めて、となりますが、
当面は返済しなければいけない金額などから
自分なりに決定いただけたらと思います。

固定費は具体的に。

固定費を考えるときに、勘定科目ごとに
「昨年これくらいだったから、今期もこれくらい」
ということになっていませんか?

固定費は売り上げに関係なく発生する経費です。
これは増やすのは簡単ですが、
一度増えてしまったものを減らすのは非常に労力がいります。
そして固定費が増えてしまうと、
利益を出すために必要な粗利益は増えてしまいますから、
より利益を出すのが困難になってきます。

そんな意味で、
 固定費を抑える
 固定費をコントロールする
ということは極めて大切です。

だからこそ固定費は
「昨年と比べてこれくらい」ではなく
意志を持ってコントロールしましょう。

昨年の固定費の内容をしっかり眺めて、
「本当にこの経費は必要なのか」
「この経費はもっと減らすことはできないのか」
という視点で積極的に減らすべきものを減らしていきましょう。

そのうえで今期の事業計画にしたがって必要となる固定費もあるでしょうから、
それをちゃんと加算していきます。

そう考えると、そもそも論として
「今期はこんな経営をしていこう」
という事業計画ができていないと、損益計画も作れないことがわかりますね。
そうなんです。ちゃんとした損益計画を作成するためには、
「今期はこんなことをテーマに経営を行って、具体的にこんなことをしていこう」
という事業計画がないと話しにならないのです。

どんな仕事でどれだけの粗利を?

必要な粗利益が出てきたら、
「どんな仕事を」「どれだけ行う」ことで
どれだけの粗利益を出すことを目指すのか、
それを計画しなければなりません。

それを具体的に考えていくと、
その粗利益を出すために今のリソースだけで十分なのか
ということを考えるようになります。

今の会社組織の在り方で考えたときに、
どんな仕事をどれだけ行うことが可能なのか。
そして果たしてそれで必要な粗利益を稼ぐことができるのか。

もし今の経営資源でそれができない、ということになると、
人を雇用したり、設備投資を行ったり、
ということになりますから、固定費が動きます。
そしてその固定費をもとに再度必要な粗利益を計算して・・
という感じで適正な状態を探っていきます。

こんな感じで、損益計画は一発では決まらないのが普通です。
損益計算書の中だけでも全体最適の考え方は必要ですから、
これが最適な状態となるように試行錯誤を繰り返すこととなります。

本当はここにさらに貸借対照表計画が絡み合ってきますから、
一発で「できた!」となることは、まずありません。
そうして、
今の組織と今のリソースで、
これだけの仕事をこれだけやることで、これだけの粗利を出す!
というものができあがります。

粗利益が出れば、あとはそれぞれの仕事の種類(=売上の種類)ごとに
粗利率を想定して割り戻せば必要な売上高が出てきます。
そしてその売り上げを達成するための行動目標に落とし込んでいきます。
ここでその行動目標に無理が出てくると、また損益計画に影響が・・
などということも当然あります。

いずれにしても、こうして最終的に行動計画までできあがると、
「こういった行動をすることで、この売り上げがこれだけあがって、これだけの利益が出てくるんだ」
という納得感のある損益計画になります。

そしてその後の目標管理としては、
売上高を目標にしてこれを達成したとしても、
粗利率が崩れてしまうと全然利益が達成できなくなります。
ですから計画ができあがった後は売上でなく
粗利益が達成できているかを追いかけていくようにマネジメントしましょう。

もちろん固定費のコントロールも必要なのは
いうまでもないことかと思います。


ちゃんとした損益計画を作成して、
ぜひとも成り行き経営から脱出しましょう。

そして本当に管理すべきはその「金額」ではなく、
行動目標として定めた「行動量」と「その精度」
ですからね。

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