【バックナンバー】金額ではなく行動量を管理する。

先日、「売り上げがあがる根拠」というお話しをさせていただきました。
その中で「行動量」という部分に着目して深掘りした過去ブログがありますので、
今日はバックナンバーより、ということで、そのブログをご紹介します。

--- 以下、2021/10/05の記事より(一部改訂) ---

経営計画を、売上や利益という数字までにとどめてしまうと、
数字達成することがノルマとなってしまいます。
これを突き詰めていくと、あっという間にブラック企業のできあがりです。
本来経営計画で最終的に計画として立てなければいけないものは何なのか。
またその管理についてお話しします。

数字管理は意味がない。

皆さんの会社には、経営計画がありますでしょうか?
もちろん業種によっては外部要因に振り回されすぎて、経営計画に意味はない、
ということもあるかもしれません。

しかしそれでも企業を成長させていくためには
経営計画が必要だと考えます。

中期的にどのような企業になることをイメージし、
そのために今期どのようなことをテーマにおいて活動していくのか、
ということが大切であると考えるからです。

ですから現在経営計画がない会社(個人事業含む)は
ぜひとも経営計画を策定していただきたいところです。

しかし経営計画作成初心者によくあることですが、
最終的な計画の到達点を損益(主に売上)としてしまうことです。
「こんな経営計画ができました。みなさん頑張ってこの売上目標を到達しましょう」
ということです。

もしくは売上金額でないとしても、
「契約件数」を目標としてしまうことも同じことです。

そこには何の具体性もありません。
それを目標とされたところで、社員の皆さんは「どうやって??」
ということになろうかと思います。

「そこから考えるのが営業の仕事だ」というのも理解できなくはないですが、
そうすると売り上げが営業社員の能力に依存することになりまし、
それぞれの営業社員が会社の望まない方針で契約を取ってきたりするようになります。

ですから計画で落とし込むのは最終的には
『その売上(契約)を達成するための行動』
である必要があるのです。

また売上はこちらの意志だけではどうしようもないものです。
相手方(お客様)あってのものですから。

そんな中「売上」を目標としてしまうと、
その手段を問わなくなっていきます。
押し売りをする人や、おかしな抱き合わせ販売を押し付けてくる人が出てきます。

結構な大企業でも(大企業だからこそ、というべきか)、
期日までの契約をなんとしてでも獲得するため
相手が納得していない状態で無理やり早急にねじ込もうとしている人がたまにいます。
それがその会社とお客様との正しい関係性のありかた、とは到底思えませんよね。

そんな売られ方をしたら、
二度とその会社やお店からは物を買おうと思いません。

計画は行動量で計画をする

売上や契約を目標としないということであれば、
なにを目標とした計画をたてるのでしょう?
それは、「行動計画」です。

『これだけの売り上げや契約をとるためには、どういった行動が必要になってくるのか』
ということです。
これは具体的な「売り込み」ということだけではなく、
「そこに向けてどのような広告をどれだけ打つのか」
「どのような販売促進活動を展開するのか」
今時そこには、SNSへの発信などもそれに含まれてくるでしょう。

計画として必要になった売り上げをあげるために、
どのような活動をどれだけ行う必要があるのか。
そのような計画をたてることが必要なのです。

計画というのは、すべて「仮説」です。
あくまで仮説ですので、それが実現されるとはかぎりません。

『この売り上げをたてるためには、これだけの行動が必要である』
という仮説をたて、結果実現されなければ、
それは売り上げ計画に問題があったのではなく、
『その売り上げをあげるための行動計画という「仮説」に問題があった』
ということになります。

だからこそ、その後追いかけるべきことは
「どれだけ売り上げが取れたか」
ではなく、
その根源である
「決めた行動計画がどの程度実践されたのか」
「行動計画の質はどうだったのか」
ということになります。

また、この行動計画は、経営者からのトップダウンではなく、
その内容と量を含めて、
できるだけ社員に考えてもらうことにしましょう。

トップダウンでは自分が定めた目標ではありませんから、
そこへの責任感とモチベーションが備わりにくいものとなりがちです。
そして社員からあがってきた行動計画を丸のみするのではなく
その内容を精査し、その社員と一緒にブラッシュアップしていくのです。

それが「管理者」の仕事であると考えます。

行動計画を管理する

計画達成に向けて管理すべき重要指標を
「KPI(Key Performance Indicator)」
といいます。
このKPIを売上金額や契約件数などと定めている会社があったりしますが
これまで述べてきたことから、
売上をKPIとすることはふさわしくないということがおわかりいただけたと思います。
というか、それはもはやKPIでも何でもありません。

できるだけそこからドリルダウンして、
「仮説としての行動量」をKPIに定めるのです。

数字の達成を意識することはいいことですが、
前述のように期限までに無理にねじ込むような行動を起こして達成してしまっても、
それは逆に原因の本質を包み隠してしまうことにつながります。

達成されてしまうと、
『その行動量で売上が達成できた』ということになり、
仮説が正しかったということになってしまいますので、
「じゃあ次はこうしてみよう」という反省・改善が生まれにくくなるのです。

だから無理に数字を達成することは、顧客関係だけでなく、
社内管理的にも実はよろしくないことであることがわかります。

そして行動管理の現場についてですが、
たとえ目標が売り上げ目標でなく行動目標であったとしても、
いきなりこれらの実数値を会議の場にさらされてしまうと、
それは達成できていない人の吊るし上げとなってしまいます。

目的は社員をつるし上げることではなく、
より目標達成に近づいてもらうことであるはずですから、
全体会議の前に管理者との間で1体1で話し合う時間をつくりましょう。

そしてその中で、
「なぜ達成できなかったのか」
「達成がそもそも無理な目標であったのなら、どのように改善するのか。」
そういったことを穏やかに議論して納得のいく形で再構築していくのです。
全体会議はそれらを発表して全体の調整を行う場である、
という風に考えるべきかと思います。

納得感のある行動計画はとても大切です。
でもやっぱりあくまでそれは仮説ですので、
その計画によって目標通りの売り上げは、多くの場合達成されません。
しかしそこに生まれた「差異」こそが、
次のより精度の高い行動計画につながっていく財産なのです。

達成されないことは悪ではありません。
未達成をごまかして、
その「差異」にフタをしてしまうことこそ悪であると考えましょう。

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