【バックナンバー】誰も知らねぇ店に、客が来るわきゃないんだ。

マーケティングにおいては、
どのようにしてターゲットである消費者に知ってもらうのか、認知してもらうのか、
ということがとても大切です。
というか、これがなければ何もはじまりません。
どれほど良い商品を作り上げたとしても、
その存在が知られない限り誰も買ってくれないわけですから。
今回は、この辺りに触れたバックナンバーより。

--- 以下、2021/10/01の記事より(一部改訂) ---

映像研には手を出すな!

私の好きなマンガに「映像研には手を出すな!」というものがあります。
舞台は高校の映像研究部。高校の部活動でアニメ制作を行っています。
主な登場人物は
 主人公(浅草氏:監督兼作画)、
 その仲間(金森氏:プロデューサー)、
 もう一人の仲間(水崎氏:作画、主に人物)。
このうち一人目は感性で生きていて、勝手にアイデアと妄想を膨らませていく人です。
そして二人目の金森氏は非常にドライかつロジカルな思考をする人として描かれています。

そして私は実はどちらかというと前者に近い性格で、
そういった感性豊かな思考や才能に憧れを持っていたりします。
しかし税理士・経営コンサルが仕事ですから、
数字と客観的思考でロジカルに物事を考える一面も持っています
(日常的にはこちらが表に出ています)。
つまり私の中には浅草氏と金森氏が同居しているんですね。
だからこそ、このマンガにとても刺激を受けるのだと思います。
この中で現実主義の金森氏が、自身の経験から次のようなことを言い放ちます。
アニメ化された方のセリフが、よりわかりやすく表現されてますので、
そちらを抜粋します。

誰も知らねえ店に、客が来るわきゃないんだ。

店や商品の充実だけにこだわっても意味がない。
時代に合った需要と供給、そして宣伝。
いい店ならば自然と客が来るなどという考えは甘い。
宣伝なくして商売は成り立たない。
同時に作品がなければ何も始まらない。
こだわりだけじゃなく客の購買意欲をかきたてる内容を考えろ!
私が宣伝します!

出展:アニメ版 映像研には手を出すな エピソード9「コメットAを目指せ」より

世の中にあふれている問題を的確に捉えた言葉だと思います。

ちゃんと認知してもらう必要がある

マーケティングは非常に幅広い概念ですが、
今回焦点を当てるのはそのうち、「顧客培養」の部分です。
一般消費者の皆さんに、どのように自社の商品を購入いただくか、
という話しです。

一般消費者に自社の顧客になってもらうためには、その消費者に、
段階を踏んで一歩ずつステージを上ってきてもらう必要があります。
その第一段階は、認知してもらうこと。
次に第二段階として興味をもってもらうこと。
そこでようやく他社との比較が始まります。
そして実際に検討してもらったうえで、購買に至ります。
自社の商品の独自性が強いものであればあるほど、その後の「比較」の必要性は薄まりますので、
そのまま直接購買につながる可能性が高まります。

この認知~興味の部分が大きく欠落している会社が多いのです。
どれほど良い商品を作ったとしても、まずそれが広く認知されていなければ、
あなたの会社や商品は、ないも同然です。
そしてその発信の仕方で大きく間違っている人も散見されます。
FaiceBookなどのSNSに毎日のように投稿していたとしても、
「こんなことしました」とか「こんなもの食べました」とか、
ただ経営者の生活を垂れ流していても、認知にはつながるかもしれませんが、
その会社の商品に対する興味にはつながりません。

経営者自身が自社や自分のお店を通してどのようなことを世の中に届けたいと思っているのか、
それが伝わるような内容のものでないと、
自社の存在や商品やサービスが認知されたとしても、興味が湧くことはありません。
何を発信していけば、消費者が自社の商品・サービスに興味を持ってくれるのか。
それを意識して発信していきましょう。
どれだけいい商品を持っていたとしても、
その存在を知らなければ、買ってはもらえないのです。

選んでもらう必要がある

発信をして、自社の商品やサービスに興味をもっていただいたとして、
次は選んでいただく必要があります。
いまどき世の中で
「うちの会社でしか取り扱ってません」
などという商品はないでしょう。
もしあったとしても、機能性という部分で代替できるものはよそで買えると思います。
従って、選んで頂くためには、
「なぜあなたの会社の商品を選ぶ必要があるのか」
という理由を明らかにする「独自性」が必要となります。

先ほども触れましたが、この「独自性」が際立っていればいるほど、
「比較検討」というステージは取っ払われてしまいます。
ここで「ターゲット」という考え方が大切になってきます。
独自性をきっちりと消費者に届けるためには、
ターゲットが明確になっていないと届きません。
逆にターゲットが明確になっているからこそ、
自社の独自性が磨かれていきます。

「こんなお客様にこんな体験をしてもらいたいから、
 商品をこのように改良しよう、
 このように提供しよう」
という思考が可能となってくるのです。


そしてその独自性がニッチであればあるほど、
世の中に伝わる確率は下がるわけですから、
その前の認知段階でその分広く多く発信しておく必要があります。
その代わり、ちゃんと届くと、ちゃんと刺さります。
逆にどれだけいい商品を持っていたとしても、
その商品の持つ「独自性」が相手に刺さらなければ、買ってはもらえないのです。

だからこそ、品質の高い商品・サービスをつくる。

上に述べた「手法」はあくまでテクニックです。
これらのことを的確に、正しく実行することができれば、
おそらく売上は伸びていくことかと思います。
しかしここで大前提として、
「品質のよい商品である」ということが大切になります。


たまにありますよね、
すごく魅力的に見える商品やサービスであっても、
買ってからその品質の低さに愕然としたこと。
これは売り手がテクニックにおぼれて
「とにかく売れればいい」
と短期的な視野で事業をしている場合にありがちです。
言ってしまえばお客様のことなんか何も考えていない輩です。
とにかく今、売れればいい。
そんな考えです。
これで事業が継続できるわけがない、ということは
誰にでもわかることかと思います。


そんな悪しき考えでなくても、テクニックに走ってしまうと
これに近いような状態になってしまいます。
「事業を育てていく」ということことは、
「優良顧客を育てていく」
ということです。
自社のファンを増やしていくことです。
だからこそ、まずは提供する商品の品質やこだわりが大切になるのです。
これが大前提であり、一番底辺です。
この底辺に、「広報・販促活動」というテクニックを重ねていって、
お客様を増やし、売上を増やし、ファンを増やしていくのです。
ただ顧客を意識せずにただ自身のこだわりだけで品質を充実していっても、
これまた自己満足に過ぎないのです。
ちゃんと「顧客(ターゲット)」を意識して、商品開発・改善を行っていきましょう。


「映像研には手を出すな!」
とても人を選ぶ作品ですが、
私にとってはいろんなインスピレーションを与

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