コロナウィルス感染拡大の期間中、補助金が大盤振る舞い状態でした。
補助金は私も活用していますから、それ自体を否定するものではありませんが、
活用する以上、その責任について考えて欲しいと思います。
補助金は、税金である。
最近取り上げたバックナンバー「税金に振り回されない」の中でも
「補助金に振り回されない」
という項で少しお話しをさせていただきましたが、
補助金は公からもらえるお金で、
返還する必要のないものですから、
わりと皆さん気軽に考えがちです。
補助金をもらうこと自体が目的化して、
本来のその会社がやるべき事業から道を外してしまうような会社もありますし、
「それは補助金の不正受給じゃないの?」と思えるものもわりとありますし、
多額の補助金もらってそれはないでしょ、
というレベルの事業を展開しているように感じるケースもあります。
ただ、ちょっと待ってほしい。
補助金は、元を正せば、広く国民から集めた税金です。
それを利用しているわけですから、
無駄遣いにならないよう、
もっと強く認識すべきじゃないかと思うのです。
税金がおかしなことに使われているときには、
「税金の無駄遣いだー」というのに、
自分がもらえるものについては、
「もらえるものはもらっとけ」
という思考に陥りがちです。
「税金を無駄遣いするな!」と思うのであれば、
補助金をもらう以上、
それが税金の無駄遣いにならないように
考えて事業を展開していきたいものです。
多額の間接経費
補助金は、先ほどお話しした通り、元をただせば税金です。
しかし、補助金本体だけが
国や地方公共団体などの支出であるというわけではありません。
補助金を一度でも利用しようとされた方は良くご存じかと思います。
まず補助金はその申請の段階でお金がかかります。
補助金の設計をして要綱などを作成し、それを周知して申請を受理する。
これだけでも結構なお金が必要です。
次にその審査のためにお金がかかります。
大型の補助金ほど申請のために作成・提出する事業計画は長大なものとなり、
それを審査する側も、どれほど細かく見ているかはわかりませんが、
その長大な計画を一つ一つ精査するわけですから、
その手間たるや相当なものです。
さらに補助金を実際に配布する際にも、
その書類が適正かなどの確認をするために
提出する書類がたくさんあります。
提出書類が多いと言うことは、
確認する側が見るべきものも多いということ。
ここでも多額のお金がかかります。
これだけのお金をかけた上でお金をばらまき、
果たしてその経済効果がどの程度のものであるかというと、
結構微妙な気がします。
そんな意味で補助金は、
到底効率の良いものとは思えないのです。
補助金を利用する者の責任。
それでもやはり経営者からすると、
返さなくてもよいお金をもらえるわけですから、
これを活用しない手はない、
ということになるだろうと思います。
しかし、補助金の規模にもよりますが、
例えば600万円の支出に対して2/3を補助金としてもらえるとすると、
実質支出は200万。
本来でしたら600万円をもとに
投資回収計算を考えなければならないところ、
200万で計算をしてしまうことになります。
するとどうしてもその事業に対する
「なんとしても」という気持ちが薄れ、
事業自体が中途半端なものになるという、
モラルハザードが生じがちです。
税金を使って中途半端な事業を行うという、
一番やっていはいけないものができあがるのです。
これを税金の無駄遣いと言わずして何というか。
補助金をもらっているのは、
税金で助けてもらっているだけ。
先の例で言うならば、600万円の投資を前提に事業を行って、
5年くらいのスパンで考えて、
補助金としてもらっている400万円の4倍くらい経済効果を実現するんだ、
という思いでやってしかるべきかと思います。
先の事業再構築補助金では、
時期によっても上限が異なりますが、
4000万円もの補助金を受け取れるときもありました。
それだけの税金を受け取ったならば、
これはなかなかに相当な責任ですよね。
この補助金をもらった事業で出た利益をもとに支払う税金で、
この4000万円を返すのだ!
そんな気概でもって、事業を行うのが
筋なんじゃないかと思うのです。
ぜひ、「もらえるものは、もらっとけ」とか、
そんな軽い気持ちで補助金を受け取って、
軽い気持ちの事業を行わないようにしましょう。
国も国民も、そんなことは望んではおりませんから。