小さな会社にとって、ブランディングは必要なのでしょうか?
そもそもブランディングとは何なのでしょうか?
今日はその考察です。
ブランディングは必要か?
ブランドと聞いて皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょう?
ルイヴィトン?ロレックス?アルマーニ?
おそらく「ブランドもの」と呼ばれるものって、こういったものだと思います。
今回のテーマは、
小さな会社にブランディングが必要か、ということですが、
ブランドについて先に掲げたブランド名のようなイメージを抱いていると、
「いやいや、うちにはそんな大層なものいらないよ」
ということになるのだろうと思います。
でも違います。
結論から言いますと、小さな会社にもブランディングは必要です。
というか、小さな会社ほどブランディングは必要なのです。
ルイヴィトンを目指してくださいと言っているわけではありません。
しかし、ルイヴィトンのような状態を作り上げましょう、
ということです。
その状態とはどういうことか。
高級ブランドのメーカーが、
「これ買ってください」といって
積極的に消費者に販売をしかけてくること、ありませんよね。
でも消費者は、それがいいんだと言って自ら求めに行く。
この状態を作り上げるということです。
要は
「お客さんから、選んでもらう存在になりましょう」
ということです。
万人に認められる必要はありません。
めちゃ高価なものをブランドと呼ぶわけではありません。
多くの人が知っているからと言ってブランドと呼ぶわけでもありません。
ちゃんと認められるべき人に認められて、
商品やサービスを買っていただける、
この状態をつくりましょう、ということです。
ブランドがないと、どうなるのか
まず、人はなぜブランド商品を
あれほど高い価格で購入するのでしょう?
ルイヴィトンの財布と同じ品質と同じ機能性を持っていて、
同じレベルのデザイン性のある財布、
たぶん1/10以下の値段で買えますよね。
つまりその商品が本来持っている機能とか品質とは別の
「目に見えない価値」がそこに付加されている、
ということですね。
では逆にブランドがないと、
人はその商品を何で判断して買うことになるのでしょう?
その商品の機能や品質だけに着目して、
それが価格に見合うかどうかだけで判断するようになります。
つまり、必要な役割を果たしてくれればOKなので、
必然的に価格はどんどん安くなります。
品質と価格だけの勝負となってしまうのです。
そして品質がよければ、商品というのは売れるわけではありません。
良いものを作ってもブランド力がなければ、
結局価格勝負の土俵に持ち込まれるのです。
さてこの土俵は、小零細企業が戦うべき土俵なのでしょうか?
価格勝負は消耗戦です。
大量生産・大量販売のできる資本力のあるところに勝てる要素はありません。
消費者が購入してくれるギリギリの値段まで下げることになって、
全く粗利益がとれなくて、会社が赤字になって・・
ということになってしまいます。
だからこそ、先ほど結論としてお話ししましたように、
小さい会社ほどブランドが必要になるのです。
価格だけの勝負ではない、
「選んでいただける」存在となっていく必要があるのです。
ブランドがある状態になるとどうなるか
逆にブランドがある状態になると、どうなるのでしょう?
・商品を買ってもらえる。
・価格を高めに設定することができる。
・情報が集まってくる。
・勝手に発信してもらえるようになる。
・社員も集まってくる。
・結果、お金が集まってくる。
このような状態になることができます。
全部重要なことですが、
このうち「社員が集まってくる」というところが意外と見落とされているところです。
求人は商品販売と似ています。
それは、
「相手側に選んでもらう必要がある」
ということです。
「なんでうちにいい人が集まってこないんだろう」
というのは、不思議でもなんでもありません。
選んでもらえない会社に見えている、
ということなのです。厳しいようですが。
ブランドがないと、逆に
これらのものをこちらから永遠に追いかけ続けることとなります。
その非効率なことといったら、ないですよね。
しかも最終的に利益につながらない。
だからこそ、ブランディングは
経営における最優先事項と考えてもよいことかと思います。
追いかけ続けるのではなく、追いかけられ続ける存在となるために。
ブランド構築に必要なこと
それでは、どうすればブランドというものは生まれるのでしょう?
デザイン性でしょうか?違いますよね。
デザインは商品の機能の一要素に過ぎません。
もちろんデザイン性が高い分売れる要素は高まりますが、
それをブランドとは呼びません。
商品サービスの「機能」「性能」とは別の世界で、
「あなたのところから買いたいのです」
と言ってもらえるということはどういうことか。
それは「共感」にほかなりません。
その会社やお店が、その会社そのものや商品を通して消費者に届けている
有形無形の「メッセージ」や「感性」に
消費者が共感してつながっているのです。
ですからブランディングには
「コンセプト」
「メッセージ」
というものが欠かせないものとなります。
会社が商品やサービスを通して、消費者に、社会に伝えたいことです。
それらが商品サービスや社員や会社の隅々に行きわたったとき、
それはブランドとして動き始めます。
よく「ブランディング」と称して、
簡単に経営者にインタビューをしてコンセプトを作成し、
CIをデザインしてパンフレット作成して終わり、
といったようなことを行うコンサルタントがいますが、
これでは全く機能しないことを断言します。
そもそもコンセプトとは、そんなに軽々しく出てくるものではありません。
会社や経営者の歴史をていねいに紐解いていって、
その奥底からにじみ出てくるエキスのようなものです。
だから会社の現状把握から始まり、
経営者自身すら気付いていないかもしれない奥底にあるものを
引っ張りだしてくるくらいの深堀りが必要となります。
重ねてになりますが、ブランディングは
そうやって作り出した「コンセプト」や「メッセージ」が
商品や会社や社員の隅々に行きわたったときにスタート地点に立ち、
ブランドとして歩き始めます。
表面的なコンセプトは、そもそも経営者の肚に落ちていないものですから、
とても浅いものとして映ります。
それでは消費者や社会の共感を得るものとはならないのです。
そうやって時間と手間をかけて顕在化させたコンセプトを、
それが正しく伝わるよう言語化し、
社内外に発信していくのです。
そして、そのコンセプトに共感してくれるのはどんな人なのか。
それをターゲットと呼びます。
そのターゲットに共感を得られるよう、
商品づくり、人づくり、会社づくりを行っていくのです。
最終的には
どれだけ数多く積極的に「発信」していくか、
ということが大切になります。
明確な本物のコンセプトがあるとしても、
それに共感してくれる人のもとへと届かなければ、意味はありません。
せっかく作り上げたコンセプトです。
多くの方の元へ届くよう、積極的に発信をしていきましょう。
そうやって作り出されたコンセプトのもと開発された商品は、
どのように発信すべきか迷うことがなく、
わかりやすく消費者にその魅力を伝えることができるかと思います。
経営者の想いの奥底の奥底からにじみ出たものなのですから。