貸借対照表を、めちゃわかりやすく解説します①

貸借対照表ってわかりにくいですよね。
小零細企業において、損益計画はあってたとしても、
貸借対照表計画はほとんどの会社にありません。
でも実は結構大切です。
ということで、
貸借対照表の基本的な仕組みから、
貸借対照表計画の実際の作成のしかたまで、
講座形式でお送りしようと思います。
ただ、ブログはその日に書きたいものが優先されますので
飛び飛びになるかと思います。
連続で見やすいようにカテゴリーでまとめて見られるようにしておこうと考えています。

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貸借対照表に光を

多くの経営者のみなさん、
貸借対照表には正直あまり意識をもっていらっしゃらない方が
とても多いですね。
ただ、意識をもっていないというよりも、
「よく見方がわからない」
というのが現実ではないだろうかと思います。

それではまず、
貸借対照表というものがどういうものか
というところから説明いたします。 

財産状態を表示している。いわゆる「財務諸表」と言われるものは、
「貸借対照表」
「損益計算書」
のことを言います。
本当は他にも諸々ありますが、それは忘れていただいて結構です(笑)。小零細企業の場合には。
そしてこのそれぞれが意味しているものは次の通り。

貸借対照表:
ある一時点(通常決算期末)の財産状態を表したもの
損益計算書:
一定期間(通常期首~期末)の損益状況を表したもの
です。
こうやって文章にしても、いまいち伝わらんですね(笑)
損益計算書はまだ、実際の収益からかかった費用を引いたものですから
比較的わかりやすいですが、
問題は貸借対照表です。
そこで一つ例を出してみましょう。

例)
① Aさん 年収600万円 生活費400万円 のサラリーマン
  Bさん 年収1500万円 生活費600万円 の経営者
このどちらが安定した生活ができるでしょう?
この条件だけでしたら、
毎年200万円(600万円ー400万円)のAさんより、
毎年900万(1500万円ー600万円)の貯蓄ができる(と考えられる)Bさんの方が
安定した生活と推測されますよね。

さて、ここに以下の条件が加わると、どうなるでしょう?
② Aさん 預金1億5000万円持っていて、借金ゼロ
  Bさん 預金が3000万円で、6000万円の借金がある
さて、これで状況が変わってきますね。

確かに毎年の家計の利益はBさんの900万円の方が多い。
しかしBさんは、借金をすべて返済し、さらに1億2千万のお金をためて初めて、
Aさんの財産状態になれるわけです。
毎年900万円貯めていっても、20年かかります。
20年間、家計で900万円の利益が出る保証はないですよね。
このことから、今の財産状態で考えたら間違いなく
Aさんの方が安定した生活であることがわかります。

この「①」が損益計算書であり、
「②」が貸借対照表を表しています。
つまりは①が1年間の利益、は②は ある一時点での財産状態ですね。

このことからわかるのは、
損益計算書だけではその会社が良い会社か判断できない、
ということです。
そして、会社が最終的に作りあげたい財務状態とは、
「安定した財務状態」ですよね。
それぞれの役割と大切さがご理解いただけたでしょうか。
本当に経営者にとって欲しいものは、1年間の最大の利益よりも、
最終的な財産状態の安定でしょう。
だからこそ、貸借対照表に光を当てていただきたいのです。

より良い財産状態を作り上げるためには、
貸借対照表を理解する必要があります。
そして、その安定した財務状態を作り上げるために、
毎年の利益が絶対必要となっていきます。
そこではじめて損益計算書が大切になってくる、という流れです。

ただ、ここでクセ者なのが、
毎年利益がでればそれで必ず良い財産状態になるとは限らないこと。
ここを理解いただくために、まず財務の仕組みから。

財務のしくみ

財務の仕組みは非常にシンプルです。
最も大きく区分けして、
たった2種類の要素で出来ています。
それが
お金の「調達」と「運用」
です。
以下、下の図を見ながら解説します。

調達は右側に表示されます。
そして、そのお金の調達方法はたった3つだけ。
それが、
「自分で出す(資本金)」
「人から借り入れる(負債)」
「稼ぐ(収益)」
です。
これ以外に会社にとってのお金の調達方法は存在しません。
そしてこうやって調達してきたお金を
「どのように運用されたのか」
が左側に表示されます。
この「運用」、大きく分けて、
会社に形や価値があるものとして残っている「資産」と
使ってしまって外に出ていってしまったお金「経費」
に分類されます。

もちろん調達したお金の総額と、
資産・経費の総額は同じですよね。
ですから上図のように右と左が同じ大きさで表示されます。
この図を赤い線の部分で、上と下に分けてみましょう

こうやって切り離された上の部分が、貸借対照表下の部分が損益計算書なのです。

貸借対照表のしくみ

さてこの上の貸借対照表部分を見てみましょう。
同じように右側が調達ですが、
先ほどと表現が変わってきます。
調達方法は
「自分で出す(資本金)」
「人から借りる(負債)」
「利益を出す(利益積立金)」
という3種類になりました。

こうやって調達してきた金額が、
左側の資産の金額と一致するわけです。

要は右側の3種類の方法で調達してきたお金が、
現在会社内でどんな姿に変わっていますか、
というのが貸借対照表の表現していることなのです。

調達してきたお金が他の何にも姿を変えていなければ、
全額が「現預金」として会社内部にとどまります。
しかし会社運営上、なかなかそうもいきません。
下図のように、いろんな姿に形を変えてしまうのです。
在庫をもったり、売掛金になったり、手形になったり、車を買ったり、土地を買ったり・・

調達したお金の一部が他の姿に変わってしまっているわけですから、
その分、現預金は当然目減りします。
だから、いくらお金を借りても、
いくら利益を出し続けてきたとしても、
それがほかのいろんな姿に変わってしまえば、
どんどん現預金は少なくなっていくのです。


今日はこのあたりまで。
この貸借対照表講座、全3回を予定しています。
次回、健全な貸借対照表とはどういう状態か、という解説と、貸借対照表を計画することのイントロダクションを行います。
冒頭に書きました通り、書きたいテーマがあればそちらが優先されますので、その点はご容赦のほどを。

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