貸借対照表を、めちゃわかりやすく解説します②

前回は、貸借対照表のつくり、仕組みを説明しました。
今回は、具体例を用いながらその読み方についてお話ししたいと思います。

今後このブログ内において、貸借対照表はB/Sと表現します。

最近うちの下の子が、「この真ん中に立っていかにバランスを維持するか」という遊びにはまっています。

健全な貸借対照表とは?

健全な調達

さて前回では簡単にB/Sの仕組みを見てきたわけですが、
それでは貸借対照表が良い状態になっていく、ということは
どういうことか考えてみましょう。

上は前回にも示した図です。
まず右側に注目しましょう。
こちらはお金の調達の仕方でしたね。
会社は成長していくと必要な資産が増えていく傾向が強いですから、
その分の資金調達が必要となります。
問題はこの資金調達の方法です。

さて前回の復習。
調達の仕方には3種類あります。その3種類とは?
①人から借りる②自分で出す③利益を出す
でしたね。
このうち②の「自分で出す」というのは、資本金の増加、つまり増資ですから、
小零細企業ではあまり現実的ではありません。
すると人から借りるか、利益を出すかという2択になるわけですが、
どちらが健全な調達方法かというと、
もちろん「利益を出す」ということになります。

したがって、調達総額(右側の総額)が増えていく過程で、
負債がどんどん増えるのではなく、
利益積立部分がどんどん増える方が健全であるに決まってます。
返さなくていいんですから。

健全な資産状態

さて健全な調達についてはこれでわかりました。
次に健全な「資産の状態」とはどういうことでしょう?

資産のうち、持っていて一番うれしいものはなんでしょう?
もちろん現預金ですよね。
資産を持っていて悲しいということはあまりないのですが、
資産のうち、持っていてあまり喜べないものはなんでしょう?
それは「換金性が薄い、または換金性がない」ものであったり、
持っているだけで邪魔なもの、です。
邪魔なものを会社で保有しているのは論外としまして、
基本的に資産は換金性が高い方がいいですよね。

前回お話しした通り、調達の総額と資産の総額はイコールですから、
現預金以外の資産が増えるとその分現預金が目減りします。
したがって、保有する現金以外の資産は可能な限り少ない方が良いのです。
換金性が高いと言っても、すぐに換金できるわけではありませんから。

すると健全な資産状態は、
「いかに現預金以外の資産が、最小限(最適)な状態か」と定義することができます。
ただ、財産上だけで見ると、保有している資産が現預金だけ、というのがもちろん一番いいのですが、
現実問題として事業運営上、そういうわけにはいきませんよね。
当然売掛金もある程度発生しますし、
事業内容によっては在庫も必ず必要です。
そして建物や機械や車両といった事業用資産も当然必要となるでしょう。
ただこれらは必要とはいえ、
「調達資金全体から現預金を減少させるもの」という理解をしておく必要があるのです。

貸借対照表をちゃんと意識していない会社は、
この「現預金以外の資産」が気が付くとズルズル増えて、
現預金が減少していくこととなります。
つまりこれは資金繰りが悪化していくということですので、
ぜひとも避けなければいけない状態です。

実際に数字でみてみましょう。

それでは実際の簡単な数字で見てみましょう。
下記の二つのB/Sを見比べてみます。

まず右側の調達部門。
A社・B社ともに、負債はまったく変わりません。
人から借りて調達している金額に差異はないということです。
次に純資産(資本金+利益積立)。
資本金も同じで利益積立も同じ。
つまり、最初に経営者が資本金として入れた金額も、
これまでの会社の歴史の中で積み上げてきた利益も同じ、ということです。
これで調達金額とその手段については、2社とも全く同じ状態です。

それでは次に資産の部。
こちらは少し都合が違います。
現預金以外の、受取手形・売掛金・建物・土地これらの金額が
B社の方が多いですよね。

A社の方が受取手形・売掛金が少ないということは、
A社はB社よりも、売上の代金回収が早い、ということです。

そして建物・土地が少ないということは、実際の規模はさておき、
少なくともそこに投下した資金がA社の方が少ないということです。

結果として、両社の現預金はどうでしょう?
これまで同じ利益を出してきた会社なのに、全く違った状態となっています。
B社は非常に資金繰りが厳しい状態ですよね。

貸借対照表をコントロールする。

A社とB社、業務内容が違えばもちろんこういったことはありえます。
B社もこうなりたくてなったわけではないかもしれません。
しかしここで考えなければならないことは、
B社が果たしてこういう状態にならないよう意識をしてきたか、
努力をしてきたかということです。
それを怠って、結果としてこうなったということであれば、
それは必然ではありません。
B社の経営者の問題です。
A社とB社の経営者の意識の差が、このB/Sの差を生み出したのです。

だからこそ、経営者はB/Sに意識を向けねばなりません。
より健全なB/Sを作るために、つまり
 ①可能な限りの利益を創出すること
 ②現預金以外の資産を意識的にコントロールすること
です。
もちろん事業運営上必要な資産はあります。
競争力を高めるための設備投資も欠かせません。
むしろ事業内容によっては絶対に必要なものです。
ただそれによってB/Sがどのような形になるのか、
それが意識されているか、ということが大切なのです。

貸借対照表は結果論ではありません。
貸借対照表は損益計算書と同様、
経営者が目標をもって作り上げることができるものなのです。

次回は具体的に、どのように貸借対照表を計画していくのか、ということをお話ししたいと思います。正直ブログレベルの文章量の中でどれほど伝えきることができるか心配ではありますが(笑)
例によって、他に書きたいことが出てきましたら、そちらが優先されますのであしからず。


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