【バックナンバー】お金をためたければ税金を払いましょう。

このタイトルの内容は、私が税理士として独立する以前、
つまり修行中から20年以上言い続けていることです。
それこそ20年来の顧問先さんが、最近ようやくこのことを理解してくださいました。
この「理解」というのは頭でわかっている、という意味ではなく
「肚に落ちた」という意味です。
ということで改めて耳の痛い話しを。

----以下、2021/09/10の記事を再掲----

多くの経営者の方に耳の痛い話しをします。
私が「税理士」としてとても大切にしていることでもあります。
さて皆さんにとって、「良い会社」とはどんな会社でしょう?
それぞれの目指したい会社の姿があるでしょうから、これはちゃんと定義づけすべきだと思います。
その一つの要素である、財務。
財務上、よい会社とはどういう会社のことをいうのでしょう?

いい財務状態とは

さてそれでは財務上、いい会社とはどんな状態でしょう?
言い換えれば、どんな財務状態になれば、それはいい会社といえるのでしょう?
もちろん一口で言えるものではありません。
ただまず間違いがないことは、
「資金繰りが極めて安定している状態」
でしょう。

どれほど会社の売上が伸びていようとも、
資金繰りのよくない会社など山のようにあります。
しかし資金繰りが安定していないことほど不安なことも
またありません。

ですからやはりたくさんの資金を手元にもって、
土俵の真ん中で経営ができる、
常にそんな状態にあって、
仮に1年間売上がストップしても何も恐れることはない。

そんな状態を作り上げたいですよね。

ここまでくれば、
今回のコロナウィルス蔓延のような大事件が発生したとしても
冷静な判断をすることが可能となります。

いい財務状態を作り上げるために

さて、それではいい財務状態を作り上げるために
何が必要なのでしょう?

手元に潤沢な資金をもっておく、ということですが、
仮にこの資金がすべて借入によるものだったとしましょう。
そんな状態で資金を持っていたとしても(もちろんないよりは安定した経営ができますが)、
結局は返さないといけないお金ですので、
有事の際には非常にもろいですよね。

ですので、返さなくていいお金でこれを作り上げる必要があります。

返さなくていいお金の稼ぎ方は2種類です。
1.資本金として出資してもらうこと
2.利益を出すこと

このブログの読者は基本的に小零細企業の経営者さんを対象としておりますので、
会社に出資してくれる、なんてことはあまり想定していないと思います。
もし出資してくれるとしても、
株主として口を挟んでくるようになるわけですから、
小零細企業として生きていくのであれば、
あまり得策ではありません。

となると、一つに絞られてきます。

「利益をだすこと」
この一点につきます。

しかし利益を出せばそれで資金繰りが良くなるかというと、
そういう訳でもありません。
ただそれは、利益を出すことは必要条件であり、
十分条件ではないということです。

だからまず最大限の利益を出すと言うことが、
安定経営のために求められることなのです。

節税はすべきなのか

さて、ここで一つ問題が発生します。
利益が出ると言うことは、
その分税金が増える、ということです。

税金、皆さん払いたくないですよね。
気持ちはわかります。
「はいはい、喜んでお支払いしますよー!」
なんて奇特な人はそうそういないと思います。
私だって、嫌だなぁと思ったことはないですが、
喜んで払ってるわけではありません。

しかし、税金は利益を元に計算するわけですから、
利益が増えれば当然のように税金は増えます。
それがイヤで、多くの(ほとんどの?)経営者の方は、
節税をしたいと考えます。

そこで考えて頂きたいことは、節税=利益の圧縮、ということ。
すなわち、節税=会社の安定の原資を奪い取る作業、なのです。

利益を減らすためには、原則お金の支出がともないます。
だからこそ、まず思考の入り口としては
「節税は会社にとっては悪である」
というところからスタートしていただきたいのです。

そのうえで、
「せっかく利益が出そうな訳だし、将来の会社の成長のためにこれだけのお金を使おう」
という順序で考えてください。

あくまで「会社の成長のため」です。

無駄遣いするくらいなら、散財するくらいなら、
悔しいかもしれませんが税務署に払ってください。
その方が絶対会社にお金は残ります。

税率が30%とすれば、税金を30万減らすためには100万の支払いが必要、
という単純な計算です。
どっちがいいか、というのは明白ですよね。

お金は残したい、でも利益は残したい。
これははっきり言って矛盾です。
現状の法制度上、これはほぼ存在しないと考えてください。
特に中小企業は。

そして本当に「会社の成長ため」にお金を使うことができると、
将来もっと利益が出るようになります。
するともっと税金が増えます。

つまり「税金を払いたくない!」という思考パターンが頭に染みついていると、
会社を成長させること自体が経営者にとってのストレスにつながってしまうという
謎な状態が生まれてしまうのです。

結論。

会社を成長させるためには、
税金は勝手についてくるものと諦めてしまうことです。

その方がよっぽど精神衛生上よろしいです。

別に喜んで払ってもらおうとは思いません。
ただ、「会社の安定<税金を払いたくない」の思考だと、
自然と会社の成長にブレーキをかけてしまうことにつながってしまうのです。

そんな経営者さんもこれまでたくさん見てまいりました。
とてももったいない話しだと思います。

むしろ「俺はこんだけ税金払ってるんだぞ」と胸張って自慢して頂いて、
しっかり利益を出して、会社の財務状態をどんどん良くしていただけたらと思います。

それが間違いなく会社を成長させる力になっていきます。

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