デザイン経営。

最近、「デザイン経営」という言葉をよく耳にするようになりました。
書籍もたくさんでるようになっています。
新しい言葉ではありますが、そこで言われていることは、昔から言われていることでもあり、
割と本質的なことですから、一時のはやりというものではありません。

デザイン経営とは?

まず「デザイン経営」とは何か、というと、
極々かんたんに一口で言うと、
「経営にデザインを取り入れる」
ということです。

それなりに経営について情報を収集しようとしている人は、
それなりに耳にしている言葉だと思います。

実は特許庁がこんなプロジェクトを立ち上げています。
 特許庁デザイン経営プロジェクト
要は国をあげて、これを推進しようとしているんですね。
特許庁自らが、デザイン経営を実践する!
ということまでやろうとしていますから、結構本気度がうかがえます。

先にも書きましたが、この考え方自体、
新しいものでもなんでもありません。
「デザイン経営」という言葉が生まれる前から、気がつく人は気がついて
ずいぶん昔からやっていることです。

私が小零細企業のブランディングを支援しているのも、
まさにこれです。
事業には、「デザインの力」が必要なのです。
そしてここでいう「デザインを取り入れる」には、
私は大きく二つの意味があると思っています。

優秀なデザイナーは、デザインから入らない。

まず一つは、「デザイン思考」を経営に取り入れるということ。

私は現在、数人のデザイナーと関わりを持っていますが、
皆、優秀な人たちです。
そしてその優秀なデザイナーに共通することとしては、
デザインの話しをするときに、
まずデザインの話しから入らないこと。

例えば一つの商品のデザインを考えようとするときに、
「コンセプト」を一緒に作り上げるところからスタートします。
その商品は、それ自身を通して、顧客に何を訴えかけようとしているのか、
ということですね。

要は、顧客に「伝えたいこと」です。
これをさまざまな切り口から経営者にインタビューして、
その商品の「基礎」を作り上げていきます。

商品のデザインは、その商品そのものだけでなく、
パッケージや広報・販促にいたるまで、
様々な「制作物」に関わるもの。
この「コンセプト」が明確になっていないと、それらがバラバラで
統一感のないものとなってしまうのです。

この「商品」という部分を経営に置き換えてみましょう。
まずは経営のコンセプト。
なんのために、何を大切に、この会社の経営を行うのか。
要は、経営理念ですよね。

「こんな商品作って、売るぞー!」
みたいなことではなく、
まずは自社の本質を問うところからスタートするのです。
そしてその理念に立脚した方針に従って、商品を開発し、
その商品を通して顧客にどんな価値を届けたいのか整理し、
販売するのです。

そのグランドデザインを描ききる。
それが「経営にデザインを取り入れる」ということの
一つの意味だろうと思います。
あくまで私の解釈ですが。

コンセプトから入ると商品デザインにブレがなくなるように、
事業の理念・方針を明確にすると、経営にブレがなくなります。
それがその会社自体のブランディングにつながっていくのです。

経営者のデザインセンスを磨きましょう。

そしてもう一つは、実際の「デザイン」そのものです。

デザインというのは、もちろん、
商品やサービス、そしてその会社のイメージ自体を
よりよく、美しく見せるためのものです。

しかしそれだけではありません。
デザインを通して、その会社の思いや、商品の価値を
顧客に伝えるためのものでもあります。

ですから、デザインのなってない商品は、ただそれだけで
魅力的でないものとなってしまいますし、
デザインがなってないウェブサイトは、
その会社の魅力を押し下げてしまいます。

いわば、会社や商品の顔。
いわば、というか顔そのものですね。

それだけに、デザインというものは極めて重要です。
優れたデザインを企業活動に取り込むことで、
商品そのものだけでなく、
その企業全体のイメージを向上させることができるのです。

だからこそ経営者は、もっと「デザイン」というところに
強く意識を向けるべきなのです。
デザインセンスのない経営者は、
外部への発信力に乏しくなってしまう、
ということなのです。

そしてデザインの力を今ひとつ理解していないから、
その時々で場当たり的に異なるデザイナーを採用して、
会社のイメージも、商品イメージも、
一貫性のないバラバラ感満載なものができあがってしまうのです。

もっとデザインに対して、真剣になりましょう。
「私、デザインセンスないから」
という人は、それを磨きましょう。

自らデザインを生み出す必要はありません。
それが良いものか、おかしなものなのか、
それが判断できればそれでいいのです。

その判断ができない状態でデザイナーに依頼したとしても、
それは単なる「丸投げ」となってしまいます。

デザインを磨くには、多くのデザインに触れること。
多くの芸術的なものに触れることです。
美術館もいいでしょうし、博物館もいいでしょう。
ちゃんとしたものであれば、映画でもマンガでもOKです。
それらから「デザインの感性を磨くんだ」という意識で
触れていただきたいと思います。

これからの時代(というかもっと前からですが)、
デザインの感性をもたない経営者は、なかなか厳しいでしょうから。

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