今日は、小零細企業にとって「ヒト」の大切さを思い知る出来事がありましたので、
改めて「ヒト」と「社風」の記事をバックナンバーより。
小零細企業だからこそ大切ですし、小零細企業だからこその強みでもあります。
----以下、2021/10/29の記事を転載----
小零細企業にとって、「ヒト」と「社風」という経営資源は極めて大切で、
独自性ある企業の根本となりうるものです。
今日はこの2つの経営資源について。
7つの経営資源
「経営資源」という言葉、皆さんもご存じかと思います。
一般的には「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われるところですが、
私はこれに「ノウハウ・社風・時間」を付け加えて
7つの経営資源と定義付けています。
私の尊敬する経営コンサルタント、故 池田重樹氏が提言したものです。
「ヒト・モノ・カネ」は目に見えるもの
「ノウハウ・社風・時間」は目に見えないもの
そして「時間」は目に見えず、かつ
すべての人・会社に公平に与えられているものです。
公平とはいっても、大企業には人が多く集まっていますから、
資源として活用できるトータル時間は膨大です。
さらに時間は設備投資による時間短縮、などという形で
実質的にはお金で買うことが可能です。
そういう意味では公平ではありませんが。
経営資源は最大限活用されているか
事業を行っていて、売上が伸びてきたり事業が成長したりすると、
会社全体が忙しくなってきます。
こんなときに多くの経営者が安易に
「人を増やす」
という行動をとりがちです。
ただ、いったんそこで立ち止まってみましょう。
今のあなたは、その経営資源を最大限活用できていますか?
「今持っている経営資源をフル活用して、 最大の収益性をあげることができているか」
ということです。
特に忙しいけどイマイチ儲かっていない、
という会社は問題です。
それは「儲からないビジネスモデル」になってしまっている、
ということ。
このまま忙しいから人を入れる、ということを繰り返すと、
儲からない事業が拡大していき、
どんどん全体が疲弊していって、
いずれどこかで行き詰って倒れてしまいます。
ですから、忙しくなったらまずは立ち止まって、
環境改善を考えましょう。
今、うちの社員の力を100%発揮できているか。
今のビジネスの在り方で、より収益力を高める方法はないのか。
そもそも忙しくて儲かっていない根本原因・問題はなんなのか。
これを徹底的に考えて、取り組んでいくことが先決です。
そうして「短時間でさっさと稼ぐ」仕組みが出来上がってから
拡大していくことが必要かと思います。
儲かっていない事業の拡大
よく見られることですが、
例えば飲食業で既存店が儲かっていないから、
店舗を増やしてその利益でカバーしよう、
利益の上積みをしよう、
と考える経営者の方がいらっしゃいます。
特に事業拡大を考えている、野心や志の高い方に多くみられます。
ただこういうのを見るにつけ、非常に不安になります。
それって、儲からない店を増やしてるだけじゃないの?
実際、新規出店のお店もたいして儲からなくて、
社員も経営者自身も給与が増えない、という事態に陥りがちです。
まずは今ある店舗でしっかりした収益性を確保することが必要です。
儲かっていない状態で次に一歩踏み出すと、
儲かっていない店舗のコピーができあがります。
まず既存店舗を収益性の高いものとしてから、
その収益性高い店舗をコピーするのです。
すると正しく相乗効果が発揮され、
より収益性があがっていくこととなります。
拡大・成長することは、
社会経済への貢献であることは間違いありません。
ですが、そこに向けて
「自社の経営資源の力を最大限発揮できているのか」、
ということをまず考えて、
安易な「膨張」に踏み込まないように気を付けましょう。
最近ある経営者から、
「既存従業員の給料をあげられないから、店舗を増やす」
という話しを聞きました。
本人も理解はされておりましたが、
これはエンドレスな膨張レースです。
いずれ自社の規模に組織が耐えられなくなり、
瓦解する姿が目に浮かびます。
それならせめて次はもっとちゃんと利益が出る形に業態変更するなど
そういった工夫が必要なんじゃないかと思います。
小零細企業にとって重要な経営資源とは
数ある経営資源の中で、
小零細企業はどこで勝負することが必要でしょうか?
小零細企業には大企業にはない強みがあります。
その強みが発揮されるポイントはどこでしょう?
「モノ」「カネ」では勝負できませんよね。
カネはいうまでもなく、
インフラでも勝負などできるはずがありません。
「情報」もそうでしょう。
もちろん入ってくる情報を最大限生かすことは考えねばなりませんが、
勝負のポイントにはなりえないと考えます。
大企業の方がより多くの質の高い情報を入手できますから。
そして「ノウハウ」。これは大切ですね。
小さい会社でも「ノウハウ」をしっかり蓄積していって
独自性を生み出していくということは非常に大切です。
しかしこれも全く模倣できないものではありません。
特許や商標権があれば別ですが、
商品は世に出ればあっという間にコピーされてしまいます。
「時間」に関しては冒頭に述べた通りですね。
最後に残るのは「ヒト」と「社風」です。
小零細が勝負できるポイントはここしかないと私は考えています。
すべての経営資源は結局「ヒト」が「社風」の中で
事業活動を通して獲得していくものです。
その意味でもヒトが重要であることは言うまでもありません。
そして、小零細企業は
経営者の想いを直接社員に伝えることができます。
これが「ワンマン(いい意味での)」のいいところです。
そうやって育成していった社員と共に作り上げていく社風(企業文化)を、
大企業がマネすることはできません。
そういった企業文化の中からこそ、
その企業ならではの独自性を生み出すことができると考えています。
そしてこれは、社員さんが10人以上いるような会社・事業者だけの話しではありません。
社長と、そこに社員やパートさんが一人いればそれは組織です。
そのたった二人の間にだけでも、
社風というものは立派に作り上げられていきます。
自社の「ヒト」の力を最大限に発揮できているか。
最大限発揮するためにはどのような取り組みが必要か、
改めて考えてみましょう。
それによって会社の優れた「社風」ができあがっていき、
その積み重ねが「独自性」という形で会社の財産になっていくのです。
資源は財産です。しっかりと残し、資産化し、増やしていきましょう。