リバースシンキング

「リバースシンキング」という、物事の考え方があります。
これが仕組みの構築や、事業内容の改善、新たな展開につながります。

リバースシンキングとは

会社の中や、自身の事業の中に、
多くの「マイナスの要素」があるだろうと思います。
そしてそれら、自身に内包されているものだけでなく、
世間にもいろんなマイナス要素であふれています。

「これがないなぁ、あれがないなぁ」
「この状態は、いけてないなぁ」
「これ、放っといたら、大変なことになるなぁ」
いろんな切り口で、いろいろあるでしょう。

そして人間、人によるでしょうが、基本的には、
プラスな部分よりも、マイナスな部分が目につくことが多いだろうと思います。

なんなんでしょうね?これ。
ひょっとしたらある種の生存本能なのかもしれません。
プラスな部分は放置しても問題になりませんが、
マイナス要素はリスクに直結する恐れがありますから。

このように、せっかく本能的にマイナス要素に目が行くのであれば、
それを活用していい方向で考えよう、
というのがリバースシンキングです。

「これ、イケてない状態だよね」
と感じる部分があれば、
「じゃあ、そうじゃないようにすればいいよね」
と考えることです。

これは別に、「前向きになれ!」とかいう
自己啓発的なことを言っているわけではありません。
ただ思考を切り替えるだけではなく、
具体的にそこに手を打つことで、
それが改善や新たな展開につながります。

日常の、「これイケてない」。
一見マイナスのように見えますが、ここに宝が埋もれているんです。

「どうしたら今より良くなりますか」
「どんな新たな展開ができますか」
と前向きな方向を直接尋ねても、意外とアイデアは出てきません。
ですから、より見えやすいマイナス部分に光をあてて、
それをひっくり返す。
それがリバースシンキングです。

できる経営者は、自然と頭の中でやっていることでもありますよね。

二つの反転思考

リバースシンキングには、「マイナス」のありかたで
大きく分けて二通りあると考えています。

まず一つは、現状が残念な状態、というマイナス。
例えば、「A」という事柄があるとして、
その「A」がヤレヤレ・トホホな状態にある
→じゃあ、Aがトホホじゃない状態にすればいいよね!
という方向性です。

これはすでに存在している状態異常を改善するのに役立ちます。
日常仕事をしていると、これは経営者でなくても、
「うちの会社、この部分は問題だよなぁ」とか
「なんでこの部分は、こんなに不便なんだろう」とか
ありますよね。
これがトホホ部分です。

大切なのはこれらを目にしたときに、
「じゃあそうじゃない状態にするために、どうしたらいいのか」
という方向に考えて、具体的行動に移せるか、ということ。

残念な状態というのは放置していると日常にうずもれて、
放置しておくことが自然な状態となってしまいます。
そこにメスを入れるクセをつけましょう。
今、手を付けられないのであれば、忘れないようにメモを残して
ストックしておきましょう。
この一つ一つが、会社の改善へとつながっていきます。

もう一つは、「A」がないと困る、「A」がないと大変なことになる、
という「欠落・不足」によるマイナスです。

例えばいま、あなたの事業がないと、
具体的に何が困ることがあるのか。
顧客はどんなことになってしまうのか。
ということです。

「他の事業者さんが穴を埋める」というはナシです。
『〇〇ができなくて困る』
『〇〇なことになってしまう!』
こういったものがいろいろ上がって来るだろうと思います。
これをリバースして考えると、
『じゃあ〇〇が必要ですよね』
『〇〇にならないようにする必要がありますよね』
という考えにつなげることができます。

これは改めて自社の事業定義を深めたり、
新たな展開を考えるときに役立ちます。

自社を振り返って、
自分たちは社会に対して本来的に何を提供すべき会社であったのか、
再認識することができますし、
日常生活で「〇〇が欠けているなぁ」と感じることがあれば、
じゃあ、社会はこんなことを求めているんじゃないか、という思考につながり、
それを自社の新たな展開につなげることもできます。

ぜひ一度、
①会社内の残念(トホホ)な部分
②うちの会社がなかったら困ること
考えてみてください。
そしてそれをリバースすることで
問題解決・課題解決が見えてくるだろうと思います。

社会問題はビジネスになり得る

前述のとおり、これら2パターンのリバースシンキングを、
社内だけでなく社会や日常生活に取り入れたときに、
これらの改善や解決は、社会的な価値を生み出すことになります。

つまりこの社会に溢れる社会問題はすべて、
ビジネスになり得る、ということです。

それが自社の事業領域に隣接するものであったり、
自社の強みを思いっきり活かすことのできるものであるならば、
それらは新しい事業領域のタネとなる可能性があるのです。

もちろんそれらの社会問題のすべてが収益に直結するわけではありません。
間接的に収益化できるのであればまだしも、
全く収益化が見込めないものもあるでしょう。

残念ながらこのようなものは、
われわれ経営者が手を出すことのできないものであり、
そこは「ボランティア」であったり
国や地方公共団体といった「公」に託すしかありません。
(逆に言うと、こういう領域こそが「公」やボランティアの活躍する場面です)

その見極めはきちんと行う必要がありますが、
ちゃんと収益性が見込まれるのであれば、
それらはすべてビジネス化できる、ということ。

身の周りの「足りてないもの」「イケてないもの」に目を向けましょう。
自身の事業周りについても同様です。
それらを補うことが、直接新たな事業展開につながるかもしれませんし。
あなたの事業の発信力を高めてくれるかもしれません。


日頃マイナスに感じるものをそのままマイナスとして放置するのではなく、
それをひっくり返してプラスに考える。
経営者が身につけておくべき、一つの素養かと思います。

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