問題設定と発見能力。

昨日は、価値としての「負の解消と夢の実現」をお話ししましたが、
同じ観点で方向性を自社内に向けると、それは経営そのものとなります。
今日はそのうち「負」の部分について。

問題・課題のベクトル考察。

私が大切にしている考え方でもあり、
だからこそこのブログでも何度も取り上げていますが、
問題と課題は切り分けて考える必要があります。

過去から現在への流れがあって、
「自分の会社はこの流れでいったら、こんな状態になるんだろうな」
というのが通常の予測される未来です。

しかし基本的にこんなにうまい具合に、コトは運びません。
なぜなら自社内には、様々な「問題」があるから。

この「問題」というのは、
「放置しておくとそれが会社に悪影響を及ぼしてしまうもの」
のことです。
つまり「負」ですね。
放置しておくと、現在から未来に向けてのベクトルが、
「通常の予測される未来」の方向ではなく、
そこよりも下へ下へと向かっていきます。

ベクトルが下へ下へと向かっていくと
会社は大変なことになりますから、
なぜそんなことになっているのかという「問題」を明らかにして
それを解決することで、「通常の予測される未来」へとベクトルを引き上げていく。
これが「問題解決」の意義です。

つまり「マイナスをゼロにする」
ということですね。

昨日の「価値」のお話しでは、
事業を通して消費者の抱えるマイナスを解決し、
ゼロに持って行くまたは近づけることで、それ自体が価値となる、
ということでしたが、
社内に置き換えて考えると、
「社内に蔓延るマイナスを限りなくゼロに持って行く」
とうことになるのです。

当然のことながらこれは、
経営においてとても大切なことです。

思い込みを捨てる。

この「問題」、ものによっては放っておくと
会社に大ダメージを与えますから、
早い段階で問題を発見し、
手を打って行く必要があります。

皆さん自然と、当たり前のようにやっていることでもありますが、
これが実は案外難しいことでもあるのです。

問題を解決に導くためには、
まずその問題を発見しなければなりません。
当たり前のことですが。
しかしこの当然であるべき「問題発見」というのが、
意外にクセものなのです。

人間、一つの組織に長いこと身を置くと、
だんだんその空間になじんでいきます。
別な表現をするならば、染まっていきます。
これが人間の性です。

よくできたもので、問題を抱えつつも、
その問題ごと慣習として飲み込んでしまうんですね。

問題というのは「負」ですから、
すべての「負」を常に問題として意識し続けて生きていかないといけないとするならば、
それは人間にとって強大なストレスとなります。
だからある種の生存本能・適応能力として身につけてしまっている、
遺伝子レベルのものなのでしょう。

そんな「種族のイドラ」とも言うべきものに
抗う必要があるのです。
ですから、高い問題発見能力は、ある意味特殊能力です。
その分、その能力を身につけようとするには、
日常から意識することで訓練していくしかありません。

定期的に新しい社員さんやパートさんが入ってくる環境であれば、
実はそういった人たちの方が組織に染まっていない分、
問題が見えやすいものです。
ぜひ積極的に彼らの力を借りるようにしましょう。

全体最適を考える。

組織内の問題を発見するには、
日頃から意識してアンテナを鋭敏にして、キャッチするようにしたり、
時間をとって、「社内の問題は何か」ということを考える
ということになるでしょうが、
かと言って、なかなかいきなり思いつくものでもありませんし、
思いつくとしても、自分のよくかかわっている部分や、
経営全体の中でも日頃から自分の興味のある部分などに
偏りが出てしまいます。

しかし経営は、そんな「部分」でできあがっているわけではありません。
そしてある程度の人数が所属して、
きっちり「組織」として運営されているところでは、
問題をその「部分」だけで考えると、
その変更が他の部分へと影響を与えてしまうことにもなります。

ですから「問題」は、「部分」で考えるのではなく、
「全体」を見渡した中で考えていく必要があります。

経営を全体で考えるときの切り口は、
「ビジネスシナリオ」
「マーケティング&セールス」
「人事組織」
「財務」
の4つです。

この4つに切り分けて考えるこのと効用は2つあって、
一つは、漠然と「何か問題がないか」と考えるよりも、
細分化して、例えば「組織上の問題はないか」と考えた方が
問題発見しやすいということ。

そしてもう一つは、
特定の分野に偏ることなく、
全体最適を目指して問題発見ができるということです。

まずはこの4つの切り口で、自社内にどんな問題があるのか、
それぞれの項目について3つ~4つムリにでも書き出してみましょう
(財務については難しいかもしれませんが)。

「問題が全く思い浮かばない」
というのは、それ自体が大きな問題です。
現時点で完璧な組織であろうはずがありませんから。

そして私の経験上、問題が思い浮かばない経営者の会社ほど
よくない会社となっています。
問題形成できない分、解決もされてこなかったということですね。

問題は「あるかもしれない」ではなく、
「必ずある」という意識で
その発見に取り組むようにしましょう。

その意識一つで、大きな差が生まれるのです。

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