「問題」に正しく対処・解決するために。

昨日お話しした通り、
経営において問題形成は極めて大切です。
今回は、本日の創志塾のテーマに合わせて、「問題」について深堀します。

それは「問題」ではなく、「現象」

コンサルの場面で、経営者の方に現状の問題形成を求めると、
「こんなことが起きた」とか
「こういう状況になっている」
といったようなことをリストアップされます。

これは「問題」というものについて、
その入口を見出すために必要な情報という意味で
全く間違っているわけではありません。

しかし、それらが果たして「問題」の本質なのかというと、
それは違いますよね。

そのような表面に現れているものは、
あくまで「現象」であって、
それそのものが「問題」の根っこではありません。

ですから、「問題」として「現象」がリストアップされて、
「じゃあそれを何とかしましょう」
ということでは正しく問題が解決されないのです。

問題の全体像(6段階)

それではまず「問題」とはどういったものなのか、
その正体を明らかにするところから考えましょう。
分かりやすいので「現象」を出発点にして説明します。

まずそこから遡って考えていくと、
「現象」が生じるには、その「兆候」というものが
必ずあります。よく言うハインリッヒの法則ですね。
そしてその「兆候」「現象」は何もないところから突然生まれるのではなく、
そこには直接的な「原因」となるものが、当然あります。

それではその「原因」がその問題の根っこかというと
そうではありません。
「原因」は決して一つではなく、
そこには複数の「要因」があります。
つまり複数の要因が積み重なって、原因となっているんですね。

次に「現象」から先の部分を考えます。

現象が起こると、必ずその現象が生み出す
「結果」というものがあります。
そしてその「結果」はそれだけで終わるわけではありませんよね。
よくない結果というものはほとんどの場合、その後
さまざまな形で「波及」してしまうのです。

ここまでが「問題」の全体像です。
改めて整理すると、「問題」は
次のように6つのステージに分類されるのです。
①要因
②原因
③兆候
④現象
⑤結果
⑥波及

対症解決と原因解決

さて、「問題」の正体が明らかになったところで、
次にその「解決」について考えてみましょう。

皆さん、人間が病気になったときに、
「対症療法」というのと「原因療法」というものがあるのは
ご存じでしょうか?

対症療法(対処療法、は間違いです)というのは、
今表面上起こっている症状に対して、
それを抑えたりやわらげたりするもので、
それによってその病気が治るわけではありません。

しかし現在の苦しみを緩和したり、
これ以上の症状の広がりを抑えるためには必要な治療ですよね。

これに対して「原因療法」というのは、
その病気の原因を特定して、
その根っこの部分を治療して根治を目指すものです。

問題についても同じことが言えます。
「現象」以降現れてくるものについては、
そのまま放置しておくわけにいきませんから、
その現象をとりあえず抑えるために、そしてその波及を阻止するために、
「対症解決」を行わなくてはいけません。

そして、「問題」というものに対して
「現象」というレベルでの捉え方しかしていない人は、
ここまでの所で「問題解決」としてしまいます。

しかし先ほどの病気の例でもわかるとおり、
その原因・要因の部分は手を付けられていませんから
これではその問題自体が根本解決されているわけではないのです。
根本解決されてませんから、
将来また同じことが起こってしまう可能性がそこにあります。

ですから、その現象に対して「要因」「原因」というものを明らかにして、
「原因解決」を行う必要があるのです。
ここまでやって初めて、本当の意味での「問題解決」となります。

まずは「火を消す」ことが大切ですから、
とりあえず対症解決によって現象~波及を抑え込むことは大切です。

しかしその後(または同時に)要因・原因をしっかり特定し、
その問題の「中ボス」「大ボス」を退治しましょう。
大ボスがいる限り、無数にザコ敵は生み出され続けるのです。

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