捨てる勇気。

人が自分で自由にできる空間は有限です。そして、人の持つ時間は、もっと有限です。ということは、何か新しいことを取り入れるためには、何かを捨てなければなりません。「捨てる」という部分にフォーカスしてみようと思います。

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捨てることは勇気がいる

新しいことを取り入れるためには何かを捨てる必要があります。
そして「捨てる」ことをあいまいにして、新しいものを取り入れていくと、
どんどん とっ散らかっていって、最終的に収集がつかなくなります。
これは現実の空間でも自分の頭の中でもおなじことです。
しかし、この「捨てる」ということがなかなかに難しい。
なぜなら「捨てる」というのは「今持っているものを失う」ということを意味します。
自分にとって明らかに無価値なものであればすぐに決断できますが、
ほんの1ミリでも価値があると感じてしまうと、これはなかなか捨てるのが難しい。
だから、読んでない本とか捨てるの難しいんですよね。
3年も4年も読まなかった本、読む日が来るとは到底思えない。
理屈ではわかるのですが。
仕事や経営の局面でも同様です。
経営ということを考えると、常に新しいことを取り入れていく・進化していく必要があります。
しかしそのためには、何かを捨てねばなりません。
捨てずに取り入れると時間がなくなり、パンクしてしまいます。
これ、経営者や上司が社員に仕事を依頼・委譲する場合もそうです。
仕事を委譲するからには、現状の仕事を何か一つ取り上げてあげる必要があります。
そうしないと社員さんがパンクします。
しかし社員さんが今やっている仕事に、取り払うような無駄なことがあるようには
とても思えない(実際にはそんなことないのですが)。
そして結果として社員さんの仕事が積み重なって苦しみ、さらにその結果経営者も苦しむんですね。

やることを捨てる=時間をつくる

仕事や経営、事業において「捨てる」とは時間をつくることです。
時間をつくる作業を行わずにあれやこれややっていると、やることがどんどん増えていって、
何をやっている会社なのかわからなくなります。
確かに今やっていることに何某かの意味はあるのでしょう。
今やっていることが収益につながるかもしれません。
しかし我々零細企業・事業者は大きな組織とは違って、時間という経営資源は極小なのです。
(一人の時間は24時間で変わりませんが、大きな組織は人がたくさんいますから、
 トータルとしてものすごく大きな時間を有しています)
だからこそ数少ないものにフォーカスして、そこを徹底的に磨き上げていく必要があります。
「強み」だけで勝負し、独自性を出していくためにはそれが欠かせません。
そして零細企業の生きていく道は、「独自性」しかないのです。
だからこそ、捨てることのできない「執着」が自分にとっての敵になり、
苦しみのもととなります。
いろんなことをやりたい、やらなければいけない、から苦しんでいのではなくて、
捨てられないから、執着しているから、苦しんでいるのではないでしょうか?
この辺り、仏教思想に通ずるものがありますよね。
自分のやっていることや自社の業務をいったん棚卸ししてみて、
優先度が低く、かつ影響の小さいものから捨ててみましょう。
だって影響が少ないんですから。
問題ないですよ。むしろスッキリしますよ。
人間、執着と煩悩の塊ですから、なかなか難しいとは思いますが、
一度「捨てる」ことを意識してみてください。
「あれ、捨てといてよかった」と感じることができれば、こっちのものです。

できた時間を何に使う?

そして次に、このできた時間を何に充てるか、ということです。
これ、安易に他のことで埋めないでくださいね。特に経営者の方は。
何度もお話しするように、時間・空間(特に時間)は有限です。
せっかく勇気をもって解放したわけですから、
それを最大限に生かすためにはどうしたらいいか、ということをよく考えてください。
特に「仕事を捨てて、すぐに別の仕事で埋める」というのは危険です。
それでは捨てる前とそれほど進歩をしていません。
空いた時間はもっと大切にしてください。
時間とは、とりかえしのつかないものなのですから。
そしてそんな大切な時間ほど、将来への投資に充てるべきであると私は考えています。
「今」の会社のことを考えるよりも、
『将来、今よりもいい会社になるために自分は何をすべきか』
ということを考える時間に充てていただきたいのです。

基本的に私は、空いた時間は
『より、社員が仕事しやすい環境を作るには』
ということと
『より、効率的に収益をあげるには(時間当たり単価を伸ばすには)』
ということを考えるようにしています。
これが零細企業にとってのキモであると信じています。

もちろん、今すでに忙しくて疲弊しきっている人は、空いた時間はそのまま空いた時間にしておく、ということも大切な経営判断です。

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