他社の損益と比較することの是非

この仕事をしていると、よくお客さんに、「よそ同業他社、〇〇(損益計算書の一つの項目)どれくらい使ってるの?」とか「他の同業の粗利益率、どれくらいなの?」とよく聞かれます。
結論から言うと、このような比較はあまり必要ないと私は考えています。

確かによその会社のことは気になるでしょうし、同業他社の分析はしっかりしておくべきことではあります。
しかし果たして数字や数値を参考にする必要があるのでしょうか?
なぜ私がそのように考えるのか、その辺りのお話しをしたいと思います。

比較対象にならない

たとえ同業であったとしても、経営者が違えば会社のあり方はそれぞれです。
全く同じものを同じだけ販売している会社であっても、
・理念がちがう
・会社の営業の仕方がちがう
・大切にしているものの優先順位がちがう
・発信力がちがう
などなど会社の在り方が違えば戦略戦術が変わってきますので、
結果として全く違う会社になります。
だから比較したとしても、それは自分自身のブレにつながるだけであまり必要性はありません。
むしろ他社の数字が気になる方は、自分自身の軸が明確でなかったり
自社の理想の状態を思い描いていなかったりということが多いのです。
人間そのものでもそうですが、他人と自分を比較することから不幸が始まるといいます。
そういう意味で、会社も他社と比較するところからその会社の不幸が始まるのではないでしょうか。
他社がどんな数値を出しているか、などは気にせず、
 『自社のするべきことは何か』
 『それによっていかにして利益を出していい会社を作っていくのか』
そこに全精力を注ぎこむことの方が大切であると思います。

本当に比較すべきものは?

それでは、本当に比較すべきものはなんでしょうか?
それは自分自身です。
戦うべき相手は実は自分自身です。
自分自身とは
・過去の自分。
  そして
・未来の自分。
過去の自分は前期比較。未来の自分は、自分の計画・目標です。
特に「未来の自分」が大切なのは言うまでもありません。
そのためには経営計画が必要です。
それもちゃんと行動計画まで落とし込んだ計画が必要です。
その計画がちゃんと実行できたのか。
それによって計画していた数値が達成されたのか。
そこにこだわってください。
経営計画・行動計画の作り方がわからない方はぜひ勉強してください。
こちらのブログでも、たびたびテーマとして掲げていくことになるかと思います。
また近い将来、ウェブセミナーという形で提供させていただくとも思います。
自分自身と戦って結果検証すると、現状との差がはっきりします。
その差が見えたときにそれを埋めようと努力します。
そしてその差を埋めるべく行動計画を更新していくことで、会社は成長していくのです。

必要な他社分析

これまで、「他社との比較は意味がない」「比較するなら自分自身」という話しをしてきましたが、
他社は同業の競合ですから、その状況を全く知らないわけにはいきません。
他社分析は、絶対に必要なものです。
その一つは、自社の方向性と戦略を考えるためです。
自社が戦うポイントは、原則として自社の「強み」です。
ではその強みは本当になのでしょうか。
これをはっきりさせるため、他社のことを分析する必要があります。
自分が強みだと思っていても実際競合と比較して強みでもなんでもなければなんの意味もないですから。
そしてもう一つは、業界分析です。
今、業界はどういった方向に進んでいるのか。
業界はどのように変化していくのか。
これを捉えるには他社(特に先進的な同業)の動向を見ることも大きなヒントの一つとなります。
自社のビジネスをどのように変化させていくのか。
これは絶対に必要なことですが、これを考える際には業界がどのように変化するのかをつかみ取ることが絶対に必要です。
自社を取り巻く業界のことがわかっていないことは、単なる勉強不足です。
これはしっかりと見極めていくようにしましょう。

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