収益性の低さが不幸を招く。

昨日の「赤字のスパイラル」でも書いたことですが、
収益性が低いということは、本当にいろんな不幸を招いてしまいますので、
改めてその部分だけ取り上げてお話しします。

収益性の低さが招くもの

忙しいばかりで全然儲からなかったり、
儲からないどころか赤字になっている会社をよく見かけます。

それはとりもなおさず、収益性が低いことが原因。

そしてこれは、いろんな不幸を招いて、
そこからの脱却を困難にします。

忙しくなる

収益性が低いと、
必要な売上をあげるためにその分たくさん働く必要が出てきますから、
会社全体の仕事が、めちゃ忙しくなります。

赤字になる

そして収益性が低い、ということは、
忙しく働いても、
それによって得られる粗利益(限界利益)は少ないですから、
結果として一向に儲かりません。

残業が多くなる

社内が忙しくなると、
当然会社全体としての労働時間が長くなり、
残業が増えてしまいます。
経営者からすれば、
「なんでこんなに残業してるの!」
などということを言いたくなりますが、
仕事が多いから残業しているのです。

もちろんムダ残業しているケースもありますが、
社員さんは頑張っているのに経営者から文句を言われるという、
残念なケースも散見されます。

社員さんから反感が

儲かってないのに忙しくなると、
やはり心のゆとりが失われていき、
社員さんから反感が現れます。
経営者と社員さんとの間の溝が深まり、
社員さんのモチベーションは低下し、
経営者はしんどくなります。

営業ができなくなる

粗利益をあげるために、仕事が必要になりますが、
すでに社内は仕事でいっぱいのため、
前述のような社員さんの反感も重なって
社員さんから
「これ以上仕事はいらない」
という声があがります。
そして営業力があっても仕事を取ってこられない事態に。

求人も不利に

仕事の収益性が低い上に、
現状すでに儲かっていない
または赤字になっているため、
社員さんの給与や時給は
どうしても低めに設定されることになります。

当然これにより求人をかけても人は集まりにくくなります。

いずれにしても固定費が増えることですから、
この現状で人を増やしても
儲からない組織が肥大化するだけですが。

逆スパイラル

このような状況が複合的に発生し、
それぞれがマイナスの相乗効果を生むことで、
逆スパイラルが生じて、
どんどん儲からない会社になったり、
どんどん赤字規模が膨らんだりします。

収益性が低くなった原因

これほどの社内の状況悪化を招いていってしまうわけですが、
それもこれも、全ては
「収益性が低い」
ことが原因。

それではそもそもこの収益性の低さは、
どこからやってきたのでしょう?

収益性のことを考えていない

まずはそもそも論として、これです。
収益性の重要性を理解しない状態でスタートしているのです。
事業内容にもよりますが、
価格は一度設定してしまうと、
それを引き上げるのはなかなか難しいのが現実です。
最初から収益性の低いビジネスモデルを構築してしまったことにより、
その後その状況から抜け出せなくなってしまった、
というものです。

原価計算ができていない

その商品を提供するにあたり、
限界利益(粗利益)がどの程度になるのか、
ということがちゃんと計算されていないケースがあります。

利益よりも売上だけに目が行っている経営者にありがちです。

会社にとって必要なのは売上ではなく利益です。
実体としてその商品がどれだけの利益を生んでいるのか、
これを正確に把握しておかなければ、
商品戦略・販売戦略がそもそも立てられないのです。

信じがたいことですが、
売れば売るほど儲からない、という仕事をいつまでも続けている、
という会社が結構あるものです。

時間当たり利益を考えていない

いかに利益率が良い商品・サービスであったとしても、
その製造~販売までにおそろしく手間のかかるものであれば、
それは儲からない商品です。
人一人が一時間で粗利益2万円稼ぐのと、3千円しか稼がないのとでは、
全く意味合いが異なりますよね。

極端な話し、限界利益率が5%とかいう商品でも、
誰の手も一切患わせないのであれば、
それはとても貢献度の高い商品なのです。

商品に自信がない

経営者にありがちな、
「自社の強みがわからない」パターンです。

本当に商品力が低いということも考えられますが、
自信がない経営者ほど、自社の商品に対して
「こんな値段で買ってもらえないよね」
と過小評価してしまい、
値引を要請される前から、
自ら低い価格設定をしてしまう。
最初からそれでは、良いビジネスにはなりえません。

お金をもらうのが苦手な人は、経営者には向いていないのです。

売上の減少を恐れる

すでに継続的に赤字に陥っている会社にありがちです。
今まさに赤字であるため、
今の売上を失うことを極端に恐れます。

それ故、強気な価格決定をすることができず、
どんどんと収益性の低い売上が増えていき、
より儲からない会社になっていってしまうのです。

収益性改善のために

ひょっとしたら上記以外にも
収益性低下の原因はあるかもしれません。

しかし、今パッと思いついただけでも
これだけの原因があるのです。

そして昨日も書いた通り、
これはこのまま放置していて良い問題ではありません。
なぜなら、そもそも事業の方向性として
大きく間違っているからです。

上記のような問題は全て、
「収益性の低さ」
が原因です。
ですからそれを改善しないことには、
負のスパイラルが進行こそすれ、
良い方向に進むことはありえないのです。

ですから、とても大変なことかもしれませんが、
収益性改善の方法を考え、
それを実行に移していくしかないのです。
そのために出来ることは、
おそらく次のようなことでしょう。

仕事を断る

まずは、非常に強気な話しですが、
仕事を断ることです。
ただしこれは、仕事を断ってもまた新しい仕事を取ることができるという、
営業力・マーケティング力に一定の自信がある場合に限ります。

結局は収益性が低い仕事で埋め尽くされているのが問題ですから、
まずは時間を確保して、その空いた時間に収益力の高い仕事を入れることで
収益性の改善をはかります。

この実行の前には、
ちゃんと販売商品の原価計算を行って、
その商品の貢献度を確認することが必要です。
そのうえでその商品の「一人一時間当たり限界利益」を
ザクっとで結構ですので計算してみましょう。

そもそもこの段階で、
売れば売れるほど赤字になるとか、
利益に全く貢献していないということが判明すれば、
即座に終了してもいいでしょう。

しかし、そうやって空いた時間をまた
収益性の低い商品サービスの販売で埋めてしまうことだけはやめてください。
これだと同じことの繰り返し。
空いた時間は貴重なのです。

値上げをする

既存の取引先に対して、
値上げの依頼を行いましょう。
これまで値上げの経験がないような方にとっては、
ハードルの高いことかもしれませんが、
一度やってしまえばどうということはありません。

そして値上げの前にはやはり、
原価計算と「一人一時間当たり限界利益」の計算です。
それによって経営に悪影響を与えていると考えられるものから順番に
値上げをしましょう。

値上げした分の金額は、それによって経費は1円たりとも増えませんから、
その全てが最終的な利益にまで跳ね返ります。
だからこそ値上げの効果はとても大きいのです。

それでもし仕事を断られてしまっても、
それはそれ。

「儲からない仕事がなくなって、時間が空いた」
と考えるべきです。

そしてその空いた時間を、
より生産性の高い方向へと振り分けていくのです。

新商品、新しい事業を開発する

既存商品の販売も、
利益率が悪いなりに失っては困る、という場合には、
新たな商品を生み出すしかありません。

新たな商品はこれまでとは別物ですから、
価格は自由設定。

開発に手間がかかりますし、
新しいものを新たに生み出すわけですから、
売上に貢献するまで時間もかかります。

難易度も高いです。

しかし、これが独り立ちしてくれたときには、
大きな柱となってくれることでしょう。

ブランディングを意識して、
妥協することなく良い商品を作り上げて、
できる限り収益性の高いものを作り上げましょう。

これまで新商品の開発とかをされたことがない会社にとっては、
なじみがない分ハードルが高いものです。

しかし
「こういったことをやってこなかったからこその、収益性の低さである」
と理解し、
ブランディング・マーケティングの情報をしっかり収集して、
取り組んでいただけたらと思うのです。

これらの取り組み、時間のない中、
極めて大変なことは重々承知のうえです。

しかしこの一歩を踏み出さないことには
負のスパイラルからの脱却はありえません。
そこから脱却する先に見える豊かな人生を思えば、
これしきのことはどうということはない!
と考えて取り組むことが、必要なのです。

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