戦わない、争わない。

会社経営はビジネスですから、「競争」はつきものです。
でも戦わない、戦う必要がないことも、大切です。

企業経営は、戦いである

いまどき、誰も踏み込んでいない事業領域など、
ほぼ存在しません。

大きな外部環境の変化が訪れたときに、
ふとそういったものが生まれる瞬間はありますが、
その誕生に気が付く人は一人ではないですし、
今の時代、情報の拡散は驚くほどのスピードですから、
一人がやればすぐに他の人も踏み込んできます。

そしてあっという間にパイの奪い合いとなります。
そんな意味で、企業経営は
自社の事業領域を確保し続けるための戦いであるとも言えます。

消耗戦には乗らない

企業経営を行う限り、
そこに競争が存在することはある意味しかたがないことではあります。

でも、競争ばかりだと、しんどいですよね。
特に自社の商品に何の独自性もなく、
大手の商品と変わり映えのしないものであったり、
違いがあったとしてもそれが正しく消費者に伝わっていないという状況では、
どうしても「競争」をせざるを得ないこととなります。

それも多くの場合、
「価格」による競争になってしまいます。
これは相手の価格の下にもぐるしかない、消耗戦。
そこに、勝者はいません(相手が大企業であれば、大企業が勝者となりますが)。

また独自性があるものだとしても、それを容易に模倣ができるようなケース。
競合と違う商品を開発したと思ったら、あっというまに模倣され、
資本にものを言わせてあっという間に飲み込まれます。

そんなわけで、
容易に模倣ができるものや、
産業障壁が低いものは、
結果として消耗戦へと突入してしまいます。
そしてやはり消耗戦の勝者は大企業、ということになります。

こういった世界で戦い続ける限り、
小零細企業には勝ち目はありませんから、
小零細企業はこういった世界で戦うべきではないのです。

局地戦からVital Oneへ

それでは、小零細企業はどこが勝負どころになるかというと、
当然のように、局地戦です。

広大な市場での消耗戦では、数の論理、スケールメリットにやられてしまいますから、
小さなエリアで、個性の際立った、独自の存在となることです。
いわゆる「オンリーワン」ですね。
最近あまり聞かなくなりましたが。
なぜかというと、
局地戦でしか戦えないことに多くの事業者が気がつき、
それぞれがオンリーワンの世界に降りてくるようになったことで、
結局オンリーワンの世界でも普通に競争原理が働くようになってしまったからです。

ですからさらにその先の視点が必要になってきているわけです。
そしてこれが、
「独自性を磨きに磨いて、それを求める人が『あなただけからしか買いたくない!』という状況を作り上げること」
です。

見出しタイトルの
「Vital One」
とはそういう意味です。

「あなただけ!」ですから、
これは戦わなくてもいい世界です。

オンリーワンは市場を細分化して
そのほんの一部で際立つことでやっていく、ということですから、
そこに「顧客」の視点は薄いように思います。
企業側の目線は顧客よりも「市場」や「競合」に向いていますから、
そこで行われる事業は、
「競争」から離れることはできません。

競争、ずっと続けるの、やっぱりしんどいですよね。
ですから戦わなくてもいい世界、
少なくとも「自分は戦っているつもりはない」という世界で、
事業をやっていくことが大切です。

それは、ただ自分や自社が得意で楽しんでいる事業で、
それをひたすらに磨き極めていって、
そこに共感してくれたり、頼ってきてくれる人に提供するだけ、
という世界です。
そうやって
「あなたしかいない!」
「あなたからしか買いたくない!」
こんな状態を作り上げていくことが、
小零細企業の生きていく道なんじゃないかと思います。

幸い、ごく少数の消費者とこんな関係性を築いてくことは、
大企業には難しいことだろうと思います。
顧客との直接的な関係を重要視している大企業も出てきていますが、
結局最終的に商品化して提供するものは、ある程度の販売ボリュームがないといけませんから、
無難なものに仕上がってしまいがちです。

以前に比べると、とんがった商品やとんがった要素を含むサービスも増えてきましたが、
本来そこは、小零細企業の独壇場であるはず。
作り手側がそんな遊び心やワクワクを忘れないでいることが、
「あなたしかいない!」というVital Oneになる条件であると思うのです。

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