マーケティングは、自分の思いを届ける活動。

マーケティングという活動を深めていくと、
なんだかとても無機質なものになってしまいがちです。
しかし本来、マーケティングとはそういうものではありません。
なぜそんなことになってしまうのか、ということと
私の考えるマーケティングの本質について。

マーケティングとは

「マーケティング」という言葉は、
いろんな経営者や経営学者その他諸々の人たちが、
いろんな定義をしています。

日本マーケティング協会や、全米マーケティング協会もそれぞれの定義をしていますので、
興味のある人はぜひ一度調べてみてください。
頭が痛くなりますから(笑)。

「協会」と名のつくところからの公の発信ですから、ある意味法律と同じで、
解釈によって間違った伝わり方をしてはいけない、ということで、
どうしてもこんなことになってしまうのでしょう。

なかなか一言で言い表すことは難しいものだからこそ
こんな表現になってしまうわけですが、
私はフィリップ・コトラーの次の定義が好きです。

「マーケティングとは、個人や集団が、
 製品および価値の創造と交換を通じて、
 そのニーズや欲求を満たす
 社会的・管理的プロセスである」

これでも充分にガチガチですが、
提供するものが「価値である」
ということと、
人々のニーズを満たすために「いかに社会と関わり、いかに管理するのか」
ということが表現されていて、
マーケティングを通して行うべきことが
最も明確になっているのではないかと思います。

自分が楽しいことを広める活動。

事業というものは、
それが社会から求められるものであって、
そこから生まれる「使命」のようなものから生み出されるものです。

そして、経営者や会社が「したいこと」であるべきものです。

つまり本来の事業は、
その事業を行っている会社からすれば、
広く社会に広めるべきものであるし、
世の中に広く伝えていきたいものであるはずです。

「こんな商品(またはサービス)、世の中に必要だよね!」
とか
「この商品、めちゃ面白いでしょ!だからみんなにも知って欲しいんだよ!」
といった風に、
世の中に広めたくてしょうがないものであるはずでし、
世の中に広めてこそ意味があるものであるはずです。

ですからマーケティングは、そもそも、
広めるべき価値がある!広めたい価値がある!というものを
いかに多くの人に知ってもらって体感・体験してもらうのか、
という活動であるはずです。

そうやって価値が伝わることで初めて、
その商品・サービスがその存在意義を発揮できるわけですから。

広めたくてしょうがない、
だからこそこれを最大限効果的に広めたい。
その方法論としてのマーケティング、
です。

そしてそうやって多くの人の元に届くことで、
結果として会社が儲かるのです。

これがマーケティングの本来あるべき姿であろうかと思うのです。

なぜマーケティングが「仕事」になってしまうのか

ではなぜ、マーケティングが
面白くないものになってしまうのでしょう?

理念経営に対する意識が強い方ほど、
マーケティングを突き詰めた話しを聞くと、
少し引いてしまったり、身構えてしまったりします。

これは「マーケティングの本質」を
・いかに稼ぐか
ということや、
・いかに競争相手を出し抜くか
というものであると考えてしまうからなのだろうと思います。

自身の商品をみんなに知ってもらいたくて、
ただ純粋にそれを多くの人に知ってもらうための手法を学ぶ、
ということであれば、
非常にシンプルなことだろうと思います。

しかし、ここに
「稼ぐこと」や「競争」や「比較」といったような要素が絡んでくると、
物事が一気に複雑なものとなってきます。

もちろん事業は事業である以上、
そこには競争相手はいますし、
稼ぐことが必要であることは間違いではありません。
しかし、それ自体が「目的」ということになってしまうことに
大きな問題があるように思うのです。

自身の商品・サービスが、そもそも自分が広めたいと思っているものでなく、
稼ぐことが目的となってしまうと、マーケティングはすべて、
「稼ぐために行う過程」
になってしまいます。

マーケティングに関わる社員も、
「稼ぐためのマシン」
と化してしまいます。

稼ぐのが好きな人はそれでいいでしょうが、そうでない人は、
なんだか自分が儲けるために人をだましているみたいに感じてしまうことになってしまうのです。

しかし、先ほどお話しした通り、
事業の本質が社会に価値を提供するというものであるならば、
マーケティングはその価値をそれを求める人に届けて喜んでいただくための過程であって、
1円でも多く稼ぐために行うものではないのです。


目的をどこに据えるかということ一つで、
マーケティングに対するものの見方は180度変わってきます。

だからこそ、
自社の存在が、自社の商品の存在が、何のためであるかということを改めて整理して、
経営者自身が自分の腹に落とし込むことと、
それを全社員に正しく伝えることが大切であると考えます。

そして今行おうとしているこのマーケティング活動は、
一人でも多くの人を幸せにしたり、
一人でも多くの人に喜んでもらうための活動なのだよ、ということを
しっかりと社員一人一人に理解してもらうことが、とても大切であると考えます。

そうすればマーケティングはとても幸せな活動であると
感じられるようになると、思うのです。

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