自身のライフプランを考えるときに、
自分の家庭が、どのような財産状態にあるのかということを知っておくことは大切です。
そのために私がやっていることでもある、「個人の貸借対照表」を作ってみましょう。
いろんな作り方があるかと思いますが、今日ご紹介するのは、谷口流です。
![](https://i0.wp.com/miraisouzou.jp/wp-content/uploads/2022/04/DSC_0982.jpg?resize=1024%2C576&ssl=1)
目次
・貸借対照表とは
貸借対照表とは、事業経営をされている方でしたら当然のようにご存じかと思いますが、
企業(または事業)のある一時点での財産状態を明らかにする表です。
具体的には表の左側に資産、右側に負債と純資産が表示されます。
資産の総額から負債の総額を差し引いたものが純資産ですから、
左の総額と右の総額は必ず一致します(下図参照)。
![](https://i0.wp.com/miraisouzou.jp/wp-content/uploads/2022/04/無題-1.jpg?resize=480%2C334&ssl=1)
要は、いまどれだけの資産をもっていて、またどれだけの負債を抱えているのか。
そしていまそれを精算したとしたら、手元にどれだけの財産が残るのか。
これがわかるように、表示されている表です。
経営者に説明するときにはまた別の説明の仕方をするのですが、
今回は個人向けということで、このような説明の方がわかりやすいと思います。
※企業向けの説明はこちら
なんのために作成するのか
それではなぜ個人の貸借対照表を作成するのをオススメしているのか、
その目的ですが、
今、いったいうちの家計は、どれだけの財産を持っているのか。
そしてこれが将来どのようになっているのか(またはどのようにしていくのか)。
ということを、具体的に数字でわかるようにしておくことで、
自分の家の家計は、現在そして将来、大丈夫なのか、
大丈夫でないならどのようにするべきなのか
ということを知るためです。
あくまで自身のファイナンシャルプランのために作成する、
という認識をもっておいていただければと思います。
現状の作成の仕方
それでは具体的にまずは、現状の貸借対照表を作成してみましょう。
最初に表の左側、資産の部から作成していきます。
金額の単位ですが、およその状況をつかむのが目的ですから、
円単位である必要は全くありません。
ざっくりでいいのです、ざっくりで。
ですから私は普段使い慣れている千円単位で作成しています。
経営者の方はぜひ千円単位に慣れるという意味でも千円単位で作成しましょう。
事業で使用する外部作成資料は千円単位が多いですからね。
そして表記はすべておよその時価で行います。
以下、先に掲げた図を参考にしながら読み進めていただけたらと思います。
①現預金
今日現在、普通預金・定期預金などすべて含めていくらの金額があるのか、
ということを、記載していきます。
預金合計でも良いですが、
どこの通帳にどれだけあるかということを家族で共有するため、
口座ごとに記載するのがオススメです。
多すぎて面倒だ、という方ほど、
あとに残される人のために詳しく記載するべきでしょう。
②有価証券
有価証券とは、株式や投資信託などのことですね。
銘柄が動くことも多いでしょうから、
ここは証券会社名と現状のおよその時価を記載すればそれで足りると思います。
③土地建物。
この表は、あくまでライフプラン・ファイナンシャルプランのために作成していますから、
ここに表記されるべきは自身の生活のために「換金化」されるものであるべきです。
自宅も確かに財産ではありますが、
そこに住み続けることを前提に考えるならば、それは生活資金のあてにはできませんから、
ここには表示しないのが、私の作り方です。
自宅以外で、不要となったら換金化することが可能な不動産を、
およその時価で記載しましょう。
保守的に見て、やや少なめでの記載がオススメです。
まったく検討がつかない場合、不動産屋さんなどのサイトで周辺の価格を調べます。
④保険積立金
これは現在加入している保険で、
解約返戻金・満期返戻金のあるものです。
今日現在解約するとしたらいくらの金額になるのか、
それを記載するのが一般的です。
ただ私は自分のものを作成する場合、
少し違った書き方をしています。
例えば現在時点では、これまでの掛け金の40%しか返戻されないけれど、
このままかけ続けたら10年後には掛け金に対して100%返戻されるような保険の場合です。
確かに今は掛け金の40%しか戻りませんが、
中途解約することを前提にしていないと考えれば、
現状、掛け金の100%を積み立てているのと同じこととなります。
ですからこういった保険の場合私は、
現在の解約返戻金相当額ではなく、
現在までの掛け金総額をここに記載するようにしています。
⑥小規模企業共済
これは、小規模事業者または経営者が自身の退職金のために積み立てていく共済金です。
40ヶ月以上掛けていれば基本元本割れしませんので、
これも現在までの掛け金総額を記載しましょう。
年に一回、これまでの掛け金の状況通知が送られてきますので、
ちゃんと確認して現状を把握しておくことが大切です。
⑦退職積立金
経営者の場合、会社で自分の退職金を
保険などといったカタチで積み立てていることが多いと思います。
退職金は退職しないともらえないもので、現時点では家計外のものですが、
積み立てられているのは確かなものですから、
最終的な返戻率に応じて、
これまでの掛け金総額×返戻率で計算した金額をこちらに記載します。
あまり良くないことですが、会社の状況がよろしくなくて、
退職金がもらえるかどうか微妙ということでしたら、
あてにしない、という意味でこれを記載しない、という判断もアリです。
⑧その他
上記以外に財産があれば、
それをおよその時価で記載します。
あくまでファイナンシャルプランが目的ですから、
換金する意志のあるもので、現実に換金性のあるものだけを記載するようにしましょう。
少し長くなりましたが以上で資産の部、終了です。次に負債の部。
①住宅ローン
これはわかりやすいですね。
現在の住宅ローン残高を記載します。
②車ローン
これも同様。車のローンがあれば記載しましょう
③その他
住宅や車以外に、返済しなければいけない個人的な借入がある場合は
ここに記載しましょう。
スマホの分割払いなども厳密にはこれに該当しますが、
金額の重要性が乏しいので、記載する必要はまったくなしです。
負債はこれでおしまい。シンプルですね。
ただ負債には一つ、大きな落とし穴があって、
これ以外にも誰かの保証人になっていて、
その借入がこちらにまわってくる可能性が高いようでしたら、
それもこちらに記載しておくのがいいかと思います。
他人の保証人になっていることを家族に明らかにするのは、なかなか気持ち的に難しいですが、
お亡くなりになったときに、その保証人としての地位も、
相続人(つまりご家族)に相続されてしまいます。
ご家族からすればいきなり全く存在の知らない借金の返済を被ってしまうことになる恐れがあり、
「その存在を知っていれば事前に相続放棄という手段をとることもできたのに」、
というトラブルが意外と見受けられます。
ですから、ここは、しっかりと明らかにしておくべきかと思います。
これで資産の合計と負債の合計があきらかになりました。
その差額が今のあなたの家計の純資産です。
これが将来どうなっていくのか。そしてもしあなたに万一のことが生じたときにはどうなるのか。
このあたりを明日のブログでお話しできればと思います。