ライフプランの切り口「生・病・老・死」

自身のライフプランを考えるとき、「生・病・老・死」で考えるとわかりやすく、
漏れがなくなります。

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・「生病老死」とは

ご存じのとおり、もともとこれは仏教から来ている言葉で、
「四苦」と呼ばれるものです。
「四苦八苦」の、あの「四苦」です。

人間生まれてから死ぬまでの間で逃れることの出来ない、
根源的な苦しみのことです。

つまりヒトは人生の間でこういった苦しみ(問題)やリスクと
必ず向き合わなければいけないわけです。
そして「逃れることができない」ので、
これらはあらゆる全てのヒトにもれなく訪れます。

それをライフプラン的な発想で考えると、
そういった苦しみとリスクがそこにあるのがわかっているのであれば、
それを想定して備えましょう、
と、こうなります。

『生』

まずはこれ、「生」です。
ライフプランは「ライフ」に関する計画ですので、
まずは生きている間がどうなのか、
ということが言わずもがな、とても大切です。

生きている間に、どんなことがあるでしょう?

人それぞれ、自分の生きたいライフスタイルがあるでしょうし、
結婚しているか、これからするのか、はたまたするつもりがないのか、
子供はいるのか、いないのか、これから増える予定なのか、
子供がいるとして、その子供達は何歳で、将来にわたってどんな支出が必要になるのか、
家を持っているのか、これから買うのか、そんなつもりはないのか、
家があるとして、その家は終の棲家なのか、
そしてそもそも本人は、今何歳なのか。

何が言いたいかと言えば、
人はみんな生き方が違うということ。
これからの人生は人それぞれ全て異なりますから、
一つの枠組みに当てはめて考えることはできません。

自身の人生設計は自分の意志で、時系列で思い描いてみて、
どのタイミングでどのようなお金がどれほど必要になるのか、
エクセルで作ってみましょう。

ちなみに四苦に含まれるこの「生」、
私はずっと、
「生きていること自体が苦であって、それが修行」
という意味だと思ってましたが、調べてみるとそうではありませんでした。
この私の解釈も、あながち間違いではないと思うのですが。

生きていると必ずしんどいこと、大変なこと、たくさんあります。
それをいかに前向きに変換して、苦しみだらけの世の中を楽しく生きるのか。
そんなことが問われているように思います。

『病』

ライフプランから話しが逸れてしまいましたので、元に戻します。

次に「病」です。
病気になったらどうしよう?ということですね。
ちなみにこの「病」には、事故による怪我なども含めて考えましょう。

人間、自分は大丈夫と思っていても、
思わぬ病気にかかってしまうものです。
私も9年ほど前でしょうか、思わぬ病気にかかって2週間以上の入院と
さらに2週間の通院を余儀なくされました。
それは、奈良県で私が初症例。
日本で年間1200万人に一人という、
宝くじに当たるよりも遙かにレアな病気でした(笑)。

ほんと、何があるかわかりませんよ。
そんな思いもしない病や怪我に、どのような備えをしておくか。
これが大切です。

傷病・入院・手術の保険に加入しておくことは当然です。
しかし加入しすぎても意味がないので、
そこは信用できるライフプランナーに判断してもらいましょう。

そしてこのあと出てくる「死」の問題がありますが、
実はそれよりもややこしいのは、
「死にきれなかったとき」です。

その状況によっては保険もおりないし、
そのあとの医療費の心配があるし、
かといって、一切働くこともできない。

経営者は自分自身がそのような状況に陥ったときのことも考えて、
ぜひリスクヘッジをしておきましょう。

『老』

人は、誰しも老います。
そして「老」には、いろんなテーマがあります。

一つは「余生」。
日本の多くの会社には「定年」という制度があり、
まだ心身共に元気であっても、退職を余儀なくされます。
そんな余生を、いかに過ごすのか。
「老」の中でも非常に前向きな部分ですね。

多分これからの世の中、医療の発達によって、
なかなか人間死なせてもらえなくなります。

当たり前に90歳まで生きることになるでしょう。
70歳を引退と考えても20年あります。
この20年をどんな20年にするのか、
その時を迎えるまでにいろいろ思いを巡らすのいいかと思います。

次に、「老後の生活費用」です。
退職をして無職になると、基本的には年金だけの生活となります。
年金はその財源がない場合でも税金から補填されますから、
年金をもらえない、ということは日本がなくなることとほぼ同義です。
そんな意味で私は、『年金がもらえなくなる、などということはない』と考える派ですが、
そうかといって、基本的にこれに頼るというのはあまり考えていません。

ですから、介護費用を含めてどれだけの老後資金が必要なのか、
それをどのように工面するのか、
これはぜひとも考えておかねばならないことです。

そして最後に、「健康寿命」。
先ほど、
「人間しなせてもらえなくなる」
と言いましたが、
ただ長生きすることよりも、
健康寿命をいかに延ばすかということの方が圧倒的に大切です。

健康であれば、働けます。
働くことができれば、年金が削られたりしても、生きていけます。
ですから「健康」であることが、
老後に向けての最大のリスクヘッジなのです。

老後も仕事を続けることは、老後の生活安定につながりますが、
仕事を続けることそれ自体が健康寿命を延ばすことにもつながります。
ですから私は70歳くらいで老害とならないよう第一線から身を引く予定ですが、
80歳くらいまでは自分が楽しめる何がしかの仕事を
ダラダラと続けることができたらいいなと思っています。

どんな仕事をするかは、まったくわかりません。
なんせ30年以上先で、どんな世の中になってるかわかりませんから。
でも、今の生き方・働き方が、何らかのカタチでそこにつながっていると考えているので、
よりその幅が広がっているように、今の生き方を大切にしたいなと思います。

『死』

最後にこれですね。
自身が死んでしまったときに、
残された人たちは、どんなことになってしまうのでしょう?

小零細企業の経営者の場合には、
「残された人たち」は、家族だけではありません。
会社の従業員、お客様も「残された人たち」です。
これらの人たちが困らないように、備えておく必要があります。

家族に対しては、自分が死んでからの生活はどうなるのか。
そこで不自由なことにならないように、きちんと備えておきましょう、
ということです。

そして会社の従業員に対しては、
自分に何かあったときに会社がどのようになってしまうのか想定し、
それでも従業員の生活が困ることのないよう、
準備をしておくことが大切です。

会社の状況は会社によってそれぞれです。
ですからライフプラン同様、会社によってその準備のあり方も様々です。
未来創造では、私がいなくなっても
今いる社員だけで最低限の収益が確保できるよう、
事業構造を変化させていくことを考えています。

そして次にお客様。
税理士業のお客様については、私の死亡で路頭に迷わないよう、
複数のパートナー税理士と提携して、税理士法人の形態をとっています。
もちろんこれで万全というわけでは全くありませんが、
最低限のセーフティネットにはなるかなと。

さて皆さんの業種業態では、どのような対策が考えられるでしょう?
いずれにしても一朝一夕で準備できることではありませんから、
すぐにでも準備を始めましょう。

特に多額の借入金を抱えている事業の場合は要注意です。
会社で加入している保険だけでチャラにできるのか、
それができない場合にはどう対応するのか。
ファイナンシャルプランナーだけでなく税務のプロも交えて、
真剣に考えて頂きたいところです。

さて、「生・病・老・死」を切り口に、
ツラツラとライフプランについてお話ししてきましたが、
ライフプランも他の様々なプランニングと同様、
全ての問題を一挙解決などというのは困難です。

まずはどこにどのような問題があるのかをリストアップし、
優先順位の高いものから手をつけていきましょう。

そして対策に時間を要するものは、
一日でも早く着手することが大切です。

「老」だけはいつ訪れるかわかっていますが、
「病」と「死」はあるときいきなり、降りかかります。

面倒なことかもしれませんが、目をそらさずにその現実を正面から受け止めて、
守るべき人をしっかりと守っていただけたらと思うのです。

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