「FIRE 甘くない」←当たり前。

昨日の日経新聞に、「FIRE 甘くない」という見出しの記事が載りました。
しかし、こんなことは当たり前。
今更か!という感覚です。

以前このブログで「私はFIREしません」というテーマの記事を書いていますが、
私はこの「FIRE」という発想が好きではありません。

改めて、「FIRE」とは

まずは「FIRE」という言葉について。
FIREとは、「Finance Independence、Retire Early」
の頭文字をとったものです。

つまり、
「経済的に独立(自立)して、早期にリタイアする」
ということですね。

このFIREというのがやたらと持ち上げられ、
今もそのような風潮が強めかなと思います。
youtubeなどでも、実際にそれを実現した若者や、
コンサルタントなどが登場して、
「あなたもFIREしましょう!」と煽ってきます。

仕組みとしては、今稼いだお金を貯蓄に回すのではなく、
積極的に金融資産などに投資し、
「お金に働かせて」増やし、
さっさと仕事をやめてしまって、リタイアしてからは、
その金融資産などの利回り収入で食っていくというものです。

利回りだけで生活するわけですから、
必然的にリタイアするまでに相当の資産形成を行う必要があります。

楽な儲け話などあろうはずがない

昨日の新聞記事は、
お金を増やすために金融資産に投資をしたものの、
その資産価格が下落し、
元本を大きく下回ってしまっている人たちがいる、
というものです。

でもそれ、当然ですよね。
金融資産への投資ですから、
相場が上がることもあれば、下がることもあります。

しかしFIREを煽ってくる人たちは、そこの部分を語りませんし、
説明があるとしても、ほんの少し触れる程度で、
そのリスクを声高に発信することをしません。

まぁそんな説明がなくても、
当然のように気付くべきコトではありますが。

これも以前のマンション不動産投資のお話しのときに書きましたが、
苦労せず、リスクも背負わず、誰でも楽に稼げるものなど、
あろうはずがありません。

人間誰もがそういった情報にアンテナを張って生きていますから、
楽に儲けられる、ということを知った途端、
そこには人と資金が殺到し、
結果としてあっという間に儲からない投資に変貌し、
最終的にはリスクの方が高い商品・事業へと堕ちていきます。

それでもなお、そのような商品の販売手数料を稼ごうとする
悪意のある人たちが、こういった業界にはたくさんいてますから、
結果として大損をする人たちが出てきてしまうのです。

これではFIREに向けての資産形成どころか、
資産を大きく毀損してしまうことになってしまいます。

人任せで儲かるうまい話しなど、あろうはずがない。
このように考えるのがまずは前提です。

そしてもしそれでもやるのであれば、
人任せではなく、
自分で投資についてしっかり勉強をして、実行をしていくことが大切。
自分の判断で出した損であれば、まだ納得はいくでしょうし。

それでもなかなか投資で儲けるというのは難しいものです。
片手間でやって安易に儲かるほど、甘いものではないということを
知っておきましょう。
損をして資産を失っても、誰も責任を取ってはくれません。

金融を学ぶより実業を

少し以前から、「子供にもお金の勉強を」ということで、
学校などで、「お金に働かせる」として
投資について教えているような光景を
見かけることがあります。

もちろんお金は大切です。
お金について知っておくべきコトを知っておくことは、
今後の人生を大きく左右しますから、
ぜひお金についての授業は
子供のうちからしていただきたいものです。

しかし、だからといってそれが
「金融資産への投資」ではないだろう、
と思います。

まずはお金の大切さを知るところからですから、
お金を稼ぐということが、いかに大変かということを知るところからでしょうし、
そうやって稼いだお金をいかに大切に使うか、無駄にしないか、
ということが基本でしょう。

そのうえで次の段階としては、
同じ「お金に働かせる」にしても、
投資してほったらかしの金融資産ではなく、
「投資して事業を行って回収し、増やす」
という実業の部分から理解をさせることの方が
よっぽど大切だと思います。

金融の仕組みなど、後からいくらでも勉強できます。
「考え方が古い!」と言われるかも知れませんが、
子供のうちから楽して稼ぐことを教えるよりも、
ちゃんと自ら価値を生み出して稼ぐ、ということを
しっかりと身につけて欲しいなと思います。

少なくとも私は、自分の子供にそのように望みます。

金融資産については、稼げる、ということよりも、
「リスクがあるからだまされるな!」
ということをしっかり伝えたいものです。

Ritireの定義は?

FIREを考えるにあたって、
「リタイア」とはどういった状態のことを言うのか、
その定義を個々がどのように定めるのか、ということは
大きな意味を持ちます。

なぜならリタイアしたからといって、
完全にリタイアする必要はないからです。

以前のブログでも書きましたが、
人間、完全に仕事から離れ、社会から離れてしまうと
ボケるのも早くなりますし、
人生の充実を失ってしまいます。

何も完全にリタイアして、
生活費を完全に利回りに頼る必要はありません。

社会との繋がりを維持し、
人生をより豊かなものにするために、
自分の本当にやりたいことで社会に関わり、
その活動を通して収益をあげる、
ということも視野に入れると、いっきに自由度は高まります。

FIREするまでに必要な貯蓄資産も少なくて済みますし、
万一利回り収益がストップしたとしても、
もう片方の収益があれば、安心感があるでしょう。

これらのことから、もしFIREするとしても、
100%リタイアのFIREではなく、
半分程度仕事を残した状態でのそれを目指すのが理想じゃないかと、
私個人的には思っています。

仕事を通しての収益だけに生活を委ねるわけではないので、
仕事の種類も量も、すべて自分の裁量で行うことができるでしょう。

リスクヘッジは大切

これまで散々、金融資産投資を批判してきましたが、
それを全否定しているわけではありません。
リスクを顧みず、金融資産に踊らされる人がいるからこその忠告であり、
また、なんの責任も持たないくせに、自らの手数料を得るがために
金融資産を押しつけてくる邪悪な人がいるからこその忠告です。

実際には資産形成において
「どのようなポートフォリオを作り上げるか」
ということは、とても大切な視点です。

一つの資産に偏りがあると、
その資産が価値を失ったときに、
大ダメージを被ってしまいます。

そのようにならないために、
リスクを分散する目的で、自分の資産を、
金融資産を含めた様々な投資資産などに分散して保有することは重要です。

もちろんその場合でも
それぞれの資産に関するリスクについては熟知しておく必要はあります。

しかし、分散する余裕を持っているのであれば、
これからの不安定な時代を生きて行くには、
資産を分散保有しておくことをオススメします。

為替リスクなども考慮すれば、
日本円以外の通貨やその他資産を絡ませるのもありでしょう。

しかし私の方から、
「現状であれば、このような分散保有がベストだよ」
とお伝えすることはありません。
自分で勉強し、いろんな人の話しを参考にし、
最終的には自分の責任と意志でもって、
自分自身の将来を守り、
より豊かなものとしていただければと思います。

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