保険契約を振り返る。

税理士や経営コンサルの仕事をしていると、
顧問先に保険のことを訊ねられることも多いものです。
みなさんも、自分(経営者の場合には会社も含めて)がどんな保険に入っているか
正しく認識してますでしょうか?
今日はみんながわかりにくい、保険について。

人生は、山あり谷あり。

なぜ保険はわかりにくいのか。

本来保険というのは、非常にシンプルなものです。
・支払った保険料に対して保険事故があった場合、どれだけの補償があるのか。
・一定の年齢までのものなのか、一生涯のものなのか。
・解約や満期の時に返戻があるか掛け捨てか。
これくらいの差です。

このように表現するとわかりやすいのですが、
これをいろんなケースで使いやすいように、
受取りのタイミングをずらしたり、
補償金額を変動させたり、
返戻率を変えてみたりしているため、
わかりにくくなっているのです。

保険について考えるときの基本原則は、
保険というのは、どこまで行っても「保険」であるということ。
将来の不安に対して、
・どんな事柄に対して
・どのタイミングで
・どれだけの補償が必要なのか。
それを自分自身の人生に照らして適切に設計して加入するものです。

そんな意味で、保険に入る段階で
綿密なライフプランを描かずに加入しているのはおかしなことですし、
そんな形で契約させた保険代理店にも大きな問題があります。

実際、ライフプランの事をちゃんとわかって保険を売っている人は
相当少ないイメージです。
保険業界の問題提起はまた別の機会に譲るとしまして、
今日はそんなわかりにくい保険の内容を定期的に振り返りましょう、というお話しです。

どんな保険に入っているか、忘れる。

優秀かつ人格優れた保険屋さんが、
ちゃんとライフプランを一緒に考えてくださったうえで、
自分も理解し納得したうえで加入した保険であるとしても、
一度加入してしまうと「これで大丈夫」と思ってしまうからでしょうか、
すぐに
「自分がどんな保険にどれだけ入っているか」
ということを忘れてしまいます。

かくいう私もそうです。
私は保険の知識をある程度もっていますし、
ライフプランについてはおそらくほとんどの保険募集人よりも
きっちり話しができるだろうと思うのですが、
そんな私でも、少し時間が経つと
自分がどんな保険にどれだけ加入しているか、ということについては
正確に思い出せません。

こんな私ですらそうなのですから、
おそらく世の中のほとんどの方がそんな状態なんだろうと思います。
ですから、少なくとも1年に1回は、
自分の入っている保険について改めて振り返るようにするべきです。

保険料はいくら支払っていて、
どんなタイミングでいくら保険がおりるのか。
そして解約するタイミングがあるのなら、それはいつなのか。

これらのことを、
「なぜこの構成でこれだけの保険に入っているのか」
ということを理解できている状態で把握する、
というレベルで振り返りましょう。

自力で難しい場合には、
改めてお世話になっている保険代理店や保険の担当者の人に説明を聞いてもいいと思います。
家計のうちに占める金額もハンパないうえ、
家族の将来を支えるためのものですから、
それくらいしてもバチはあたらないと思うのです。

表題の「保険を振り返る」というのは、
保険内容を見直して変更する、という意味よりも、
まずは「内容を正しく把握する」という意味を多く含んでいるのです。

ライフプランは変わる

定期的に保険を振り返る必要がある、もう一つの理由は、
人間、ライフプランは変わる、
ということです。

保険を設計し加入したのは、
その加入時のライフプランに基づいて加入しているはずです。
しかしそれからあなたの人生は変わっていませんか?

子供の数が当時の想定よりも多かったり少なかったり、
住宅を購入してローンがあったり、
サラリーマンをやめて経営者になっていたり、
そこまでではないにしても、会社を変わって給与や福利厚生の内容に変化があったり。

数をあげるとキリがないほど、
ライフプランは変化します。

ですから、定期的に保険の状況を把握して、
「今」を起点にしたライフプランに照らして適正かどうかを
改めて考え直す必要があるのです。

私はある意味プロでもありますから、
エクセルで1年ごとに区切った
時系列のライフプラン・ファイナンシャルプラン表を作成していますし、
10年後の個人の貸借対照表を作成しています。
その貸借対照表も、
自分が生きてる場合と死んでしまった場合で作っています。

これを1年に1回以上は確認して微調整しています。
そして妻にこれを見せて、
「ほらね、大丈夫」
と安心してもらっています。

保険は将来の安心を買っているもの。
でも、「買ったから安心」ではなく、
「本当にこれで安心なんだっけ?」ということを家庭内で共有することが大切です。
ですから1年に一度は自身のライフプランを見直して、
必要であれば保険の設計をし直しましょう。

いつもお話ししているように、
経営者の方にとっては、会社経営と家庭経営は車の両輪です。
保険を売りつけるようなことをしない真摯なライフプランナーを一人、
身近にもっておくことも大切なことであろうと思います。

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