粗利率が高ければいいわけではない。

現在、原材料費が何もかも高騰し、
粗利率が低下している会社が非常に多いことかと思います。
こういった見方から、粗利率の高さは、
会社が儲かる指標の一つとされますが、
粗利率が高ければ、それだけで儲かるわけではありません。

売上だけで考えるのは、論外。

粗利率の話しをするまえに、
今でも売上高の金額で、
会社が儲かっているかを判断しているような経営者が散見されます。

それこそ20年くらい前にはそんな方が結構おられましたが、
この令和の世の中になっても、まだおられます(笑)。

当然のことながら、売上高は、
顧客に商品・サービスを「いくらで売ったか」という事実に過ぎません。
それで儲かっているかどうかなどというのは、まったく別物です。

特に昨今のように、原材料費がどんどん上昇しているような局面では、
売上ではなく、どれだけの粗利益が稼げているかが要チェックですし、
販売する商品・製品の種類によって粗利率が大きくかわるような事業では、
どの商品が売れているかによって、全く話が変わってきます。

「今月は売り上げがしっかりあがっているから大丈夫」と思っていたら、
粗利率の低い商品ばかりでフタを開けたら赤字でした、
なんてことになれば、目も当てられないことですが、
実際にある話しでもあります。

「売れますか?」と「儲かりますか?」は
完全に別物と切り離して考えましょう。
というか、売上金額で自社の利益を図ろうとすることはやめましょう。

どれだけの売上をあげるか、ではなく
どれだけの粗利益をあげるのか、
ということの方が遥かに重要です。

粗利率が高ければ儲かるのか?

それでは、粗利率が高ければそれで儲かるのか、というと
これまた別問題です。
例えば、
①粗利率80%で販売金額100万円
より
②粗利率50%で販売金額140万円
であれば、粗利益はそれぞれ、
①80万円、
②70万円となりますので、
①の方が儲かる商品と考えがちです。

しかし必ずしも、そうとは限りません。

ここに「時間」の観念が抜け落ちているからです。
例えば①の商品を作って販売するまでに、10時間かかる一方、
②の商品は5時間で済むとします。
するとそれぞれ1時間当たり粗利益は、
①が80万円÷10時間=8万円、
②が70万円÷5時間=14万円、となり、
②の方が儲かる仕事となります。

①の仕事か②の仕事、どちらかしかすることができなくて、
しかもヒマで時間がアホほど余っている、
という条件であれば、①の仕事の方が儲かる、
という考え方もあるでしょう。

しかし①のような仕事を優先的に行っていると、
すぐに時間がいっぱいになって、
儲からない仕事に必死に時間を投入している、
という状態になります。
あなたの会社、心当たりありませんか?
儲かっていないのに忙しいという会社は、
基本的にこの体質です。

人間1日一人当たり24時間というのは変わらない事実。
その中でさらに8時間という決められた範囲で仕事をするということを考えるならば、
1時間あたりでより稼げる仕事をする、
または今の仕事をどうすれば今より効率的にできるか考える、
ということが大切になります。

どの仕事で、どれだけ稼ぐのか。

損益計画を立てるときに、
経費に関しては結構細かく考えるのに、
売上を細分化しない方が、結構おられます。

しかし前述のとおり、粗利率はその事業内容どころか、
販売する商品によっても大きく異なります。
ですから、どんな仕事をどれだけ行うことで、
どれだけの粗利益をたたき出すのか、ということを
考える必要があります。

そしてさらに、そこに時間の要素を入れて
計画を立てておられるかたはほとんどいないでしょう。

めちゃ細かく設定する必要はありませんが、
計画した粗利益をあげるために、
今の組織体制では時間的に絶対達成できない、
しかも社員雇用の予定がない、ということでは、
その計画は最初から破綻していることになります。

ですから、その粗利益をあげるためにはどれだけの時間が必要か、ということを
計画段階である程度考慮する必要があります。

計画段階ですから、まだその売上の内容やその構成比を
変更することはいくらでもできます。

どれだけの時間働くことで、どれだけの成果をあげようとしているのか。
そのためには、どんな仕事でどれだけ稼ぐ必要があるのか。
そして時間当たり粗利益をさらに向上するために、
どんな施策を打つことができるのか。
こういったことを考える必要があるのです。

売上が多少増えても一人の労働時間がそれほど変わらない仕事では
この考え方の重要性は低めですが、
いわゆる労働集約型の仕事では、この発想は圧倒的に重要です。
ぜひ、損益計算書に時間の観念を導入してみましょう。

そこまで難しければ、時間について意識してみるところから
始めてみるべきだろうと思います。

仕事がまわらなくなったら、とりあえず全員の力を結集して頑張りましょう、
ということでは、
あっという間にブラック企業が出来上がってしまうのです。

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