自分で、自らを陳腐化させる。

ビジネスシナリオ・事業領域のお話しをするときにいつも、
変わらないことは退化である、とお話ししています。
放っておくと、陳腐化しますから。
だから変わり続ける必要があります。

競争力の衰えは、陳腐化でもある。

外部環境が変わっていく中で、
自ら変化しなければ、ビジネスはどんどんと競争力を失います。

時代が変わることで市場環境が変わる、という影響もありますが、
業界の中でこれまで新しいとされてきたことが、
模倣・発展していく中で、陳腐化することによる影響もあります。

これはもう、どうしようもないことですよね。
少し前に「パクる」ということの大切さをお話ししましたが、
パクるのはこちらから一方的なものでなく、
「これ、いいな」「これ、面白いな」と思われたら、
相手方からも当たり前のようにパクられるのです。

つまりどんな画期的なモノ・コトであっても、
情報が行きかうスピードがとてつもなく早い現在においては、
一瞬で模倣され、あっという間に行きわたり、
その「これ、いいな」は当たり前のものになって、競争力を失います。
つまり、陳腐化です。

そんな意味で陳腐化は、
それが商品であれサービスであれ仕組みであれ、なんであっても、
それが完成・発表・運用された瞬間から始まるのです。

そしてそれをそのまま放置しておくと陳腐化はどんどん進み、
少し前まで「先進的」「画期的」と思われていたものが、
「古いモノ」となってしまうのです。

自らの力で陳腐化させよう。

前述のとおり、どんなものでも
この世に生まれた瞬間から陳腐化が進むわけですが、
それを社内的に放置しておくと外部が進歩していくことにより、
「古い」と言われるようになります。

ですから陳腐化しないための唯一の方法は、
まさにピータードラッカーが言っている通り、
「自らの製品、サービス、プロセスを陳腐化させることが、競争相手による陳腐化を防ぐ唯一の手立てである」
ということ。

自ら陳腐化させる、というのはどういうことかというと、
外部が模倣をする前に、それを自ら変化・変革させることで、
社内的に古いものとしてしまう、ということです。

画期的な商品を生み出して、それでよし、としている会社が、
特に小零細企業では多いだろうと思います。
しかし「それでよし」ではいずれ古くなります。

そうではなく自ら手を加えて、改善を積み重ねることで、
自らの手で陳腐化させていく。
そうすることで、その商品は常に他社に追いつかれない存在として
あり続けるのです。

これが実現できている会社の経営者さんは、皆さんこうおっしゃいます。
「別にマネをされてもいいよ。その間にさらに進歩してるから」
「別にマネをされてもいいよ。それで市場が広がるから、うちにとってもいいことだし」
こんなセリフが言える経営者であり続けたいものです。

作りこみ、だけでなく改善を。

ある商品であったりサービスであったりを進化させるとき、
その商品・サービスに、どんどんと作りこんでいくことになります。
このように自分たちのこだわりを詰め込んで、
作りこみを深めていくことはとても大切です。
というか、絶対に必要です。

しかし一つ注意点は、「作りこむ」ということは、
独りよがりになってしまうおそれがあるということ。

商品・サービスは常に顧客の方向に向いているからこそ、
それは顧客から支持され、
その結果として利益をもたらしてくれるのです。

ですから、「作りこむ」という作業は行いつつも、
常に顧客の声に耳を傾け、
それをその都度商品に反映させていく、「改善」という作業が
欠かせません。

もちろん顧客の声が常に正しいわけではありません。
むしろその全てを真に受けて商品に反映させていると、
どんどん軸がブレていってしまいます。
そうならないように、ちゃんとその商品・サービスの軸は
自社のこだわりとして明確にもちつつ、
その軸をはずさない形で顧客の声を取り入れて、
陳腐化しないように、自ら進化させていくことが必要です。

顧客の声と自らのこだわり。
商品・サービスを常にこれらで磨き、そして時には付け加え、
その商品・サービスの魅力を維持する努力を
積み重ねていただけたらと思います。

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