自らの「遊び心」に忠実であれ。

今日のタイトル、
「自らの『遊び心』に忠実であれ」
というのは、
現 株式会社ポケモン 代表取締役社長 石原恒和氏の言葉です。
これほど大きな会社の社長の言葉ですが、
小零細企業の経営者こそ、大切にしなければならない言葉だと思います。

作り手の「遊び心」に寄りかかる。

みなさんご存じの「ポケットモンスター」は、
当初、任天堂より発売されたゲームです。
その後、任天堂が自社で行っていたライセンス管理業務がパンクし、
その権利関係を集約する場所として別会社に切り離され、
その時から今に到るまで、石原恒和氏がこの会社の社長を務めています。

社長を務めながら、事実上ポケモンのプロジェクトリーダーとして
第一線で走り続けている彼がとあるTV番組で、
この会社のプロデューサーとして常に心がけていることとして、
次のようなことを話されていました。

顧客を楽しませるためには、
作り手が飽きてしまったらダメ。
自らの遊び心に忠実であり続けることが大切だ

そして驚くことに、
マーケティングはまったく行っていないそうです。

市場におもねるのではなく、
自分自身の遊び心にひたすらよりかかる。
この経営方法で、ポケモンの世界を
これほどまでに成長させてきたのです。

このブログで何度もお話ししていることでもありますが、
事業領域や今後の事業展開を考えるときに、
「やりたいこと」という要素はとても大切です。

特に小零細企業は、
経営者初めその組織に属する人の特性を
その経営に色濃く反映させることができるのが強みですから、
自分たちのやりたいことを、とことん追求していくことが、
その会社の独自性を醸成させていくことにつながります。

人間やはり、本当に自分のやりたいことや、
自分自身が楽しめることだからこそ、
その事業に本気で情熱を注ぎ込むことができるのです。
だから自身の事業領域で
いかに自分たちが楽しむか、
いかに喜べるかということを
基軸にして事業のあり方を考えていくことが
大切だと思います。

そしてその組織が、
そういった人たちで構成されていくことで、
方向性が合致し、
より勢いのある力を発揮するのだろうと思うのです。

楽しませようとすると、空回る。

ポケモンのようなゲームやイベント事業のように、
顧客を楽しませることを事業としている会社ばかりではありません。
というか、ほとんどの会社が
「顧客を楽しませる」という基軸ではないでしょう。

私のような税理士業・コンサル業も、
楽しませる仕事ではありません。
しかしどんな仕事でも、
「顧客に喜んでもらう」
という点は共通かと思います。

このウェブサイトのプロフィール記載の通り、
私は学生時代からバンド演奏(Drums)を趣味としています。
この2年ほどはコロナ禍で全く何もできていませんが、
それまでは、独立後も毎年1度はライブを開催したり、ライブに参加したり、
ということをしてきました。

そんな中で経験として学んだことは、
観客に楽しんでもらうためには、
自分自身が楽しまなければならない、
ということです。

演奏中に観客がイマイチ盛り上がりに欠けているときに、
無理をして、「観客に楽しんでもらわないと!」と思って演奏すると、
相当高い確率で、空回りします。

これは、実は観客に喜んでもらおうとしているのではなく、
観客にこびているから。

ですから仕事においても、顧客に喜んでもらおうと思うならば、
顧客におもねるのではなく、
純粋に顧客に喜んでもらいたいという気持ちで
自分たちは何ができるのか、ということを考えること、
そしてその過程を、自分たちが楽しむこと。

これが大切なのではないかと思います。

自分たちがその提供している商品サービスに飽きてしまっていたら、
それによって顧客が喜んでくれるわけはありません。
ですから「遊び心」というものは、
経営においてとても大切なことなのです。

マーケティングにもちゃんと沿っている。

前述のとおり、石原恒和氏は
「マーケティングはしていない」
と言っていますが、
確かに、顧客がどんなことを求めているかとかいった市場調査や、
ターゲッティングなどは行っていないのだろうと思います。

ターゲッティングは顧客創造の入口ですから
それを無視しているのはマーケのあり方として
「?」となってしまうのですが、
実はそうではなくて、
実際はマーケティングと同じ事が行われていることがわかります。

「自らの遊び心」をひたすら追求している、ということは、
自分自身をターゲット、もっというと
ペルソナとして事業展開をしている、
ということです。

徹底的に自分自身を喜ばせることで、
自分自身と同じ価値観を有する消費者が
徹底的に楽しめるように作り込んでいるのです。

ですから、
その「自分自身」がよっぽどマニアックで
そこに市場性がないという状態でなければ、
これはマーケティングとして成立するのです。

そして自分自身が体験して喜べるように、
その商品やサービスを作り込んでいくのです。

ただここで注意すべきは、
その「作り込む過程」を楽しんでいるというだけではいかん
ということです。

大切なのは、その商品・サービスの提供を通して
顧客が驚いたり喜んだりする様を見て、
自分が楽しめるか、という視点です。

過程を楽しむだけであれば、
それは提供者の自己満足・マスタベーションでしかありません。

顧客が驚くだろう、喜ぶだろう姿を想像して、ワクワクする。
自分が顧客だったとしたら最高に楽しめる。
そんな事業を作りこんでいくことです。

代表的な顧客である自分自身が最高に喜ぶだろう状態を作り、
それが結果として顧客に大きな価値を提供することにつながり、
それが大きな独自性を生み出し、
その大きな独自性に基づく大きな価値が、利益を生み出すのです。

結局自分自身が楽しくなかったら、
いいものなんて生まれませんし、
顧客を喜ばせることにはつながりません。

もし今の仕事のあり方に飽きてきていたり、
なんだか楽しくないな、と感じているのであれば、
根底から考え直す必要があります。

「どうしたらもっと自分自身が楽しめるのか」
「そんな事業のあり方はどういったものなのか」
ぜひそこに立ち返って考えなおしていただけたらと思います。

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