USBメモリは使わない!

今、世間をにぎわしている尼崎市のUSBメモリ問題。
これをきっかけに、小零細企業でもUSBメモリを使わないようになることを祈ります。

家の引き出しから出てきたUSBメモリ。フタをあけたら、錆びていた(笑)。

USBメモリはなくすもの。

今回の尼崎市問題では、
46万人の全市民分のデータが入ったUSBメモリを紛失(その後発見)したわけですが、
これは本当に恐ろしいことですよね。

おそらく今頃、機密データを扱っている会社を中心に
「うちの会社はどうなってるんだ!」
と大騒ぎになっていることだろうと思います。

そしていろんな対策が打たれることになるでしょう。

このようなことが起こらないように、社内規定を厳格化、
などという会社もたくさん出てくることだろうと思います。

しかし対策の方向性としてそれは根本的なものではありません。
今回の紛失事件でも、業務委託を受けていた会社に社内規定はちゃんと整備されていて、
そのうえで発生しているようですので。

要は社内規定を作ろうが作るまいが、
最後はそれを扱う人間の意識の問題。

自動車事故と同じで、そのような紛失をするのは
「自分には起こらないこと」と考えてしまって、
「まぁ大丈夫だろう」という考えに至ってしまう人は、一定数いるということを
前提として考えておくべきだろうと思います。

最悪を想定するのが危機管理の基本。
ということは結論としては、
「USBメモリは一切使用しない」
という方向性しかありえないのかなと。

データ増殖の温床

私もかつてはUSBメモリを使用していました。
世の中で一般的に使用されるようになったのは
20数年前とほどと記憶しています。

その時は、こんな小さなところにこれほどのデータが!
しかも使いやすい!
ということで衝撃を受けました。

しかしその最初の段階から、
「これは紛失したら大変なことになるな」
と感じていたのも事実。

そしてもう一つ当初から抱えていた問題は、
「データが増殖する」という問題です。

USBメモリでデータを持ち歩く時はもちろん、
元データをコピーしてUSBメモリに貼り付けるわけですが、
それは閲覧のためだけでなく、
そのまま加工することが普通にあります。

ということはUSBのデータが最新で、元データは古いもの、
ということになります。
その加工後のデータを元のデータの場所に上書き保存すれば問題はないのでしょうが、
それを忘れて元データを加工してしまうと、
もうどれが最新の状態かわからなくなります。

これを防ぐためには、元データを切り取ってUSBメモリに貼り付ける
ということになるのでしょうが、
紛失したら最後ですし、
紛失しなくともメモリが壊れてしまったら最後です。

となると、まずは元データをどこかにバックアップをとっておいて・・
ということになり、どんどん面倒なことになっていきます。

いずれにしても、どれが本当のものかわからないデータが増殖し、
そのそれぞれの内容が更新されるようなことになると、
これを本来の状態にすることは、
とんでもない手間と時間を要することになってしまうのです。

USBは不便だからやめた

私はもうずいぶん前からUSBメモリを使用していません。
もちろんその理由の一つは機密事項の紛失に備えてということもありますが、
それ以前に「そもそも不便だから」です。

今はデータを移動させるのに
DropboxやGoogleDriveやOneDriveのようなクラウドが利用できますし、
少数のファイルであれば、
チャットツールなどに貼り付けるなどということも可能です。

「Dropboxとか、セキュリティが不安」
とおっしゃる方もおられますが、
例えば超零細企業が自社で構築するサーバが
Dropboxよりも堅牢であるとは、到底思えませんし、
メジャーどころのクラウドから漏洩するよりも、
USBを紛失する方が、圧倒的にリスクは高いんじゃないかと思います。

そして何よりも、便利なのです。

USBメモリを適切に運用するためには、先の増殖防止も含めて考えると、
・データをUSBに移動する前にバックアップを取ること
・データをUSBに移動したら元データは削除すること
・データをUSBから本来の場所に戻したらUSBの中身は完全に削除すること
これに加えて
・カバンなどからUSBを取り出す
・パソコンの端子に刺す、抜く
という作業が必要なわけです。
特に後者は、使用しているPCがデスクトップで
その本体が机の下とか裏側とかに置いてある場合は、意外と億劫です。

あれほど画期的と思えたUSBメモリも今となっては、
とても面倒なものなのです。

そして先ほどUSBメモリの事故をなくすための本質的な対策は、
「USBメモリを一切使用しない」
という風に書きましたが、
実はこれでも抜本的対策とはなりません。

というのも、「使用不可」にしたとしても、
個人的に持ち込んで使用することがあり得るからです。
どれだけ使用禁止を唱えたところで、
個人的に持ち込まれてしまっては骨抜きです。

だから対策としてやるべきことは、
「使用禁止とする」
という一方で、
「より便利な仕組みを構築する」
ということなのだろうと思います。

人間誰でも、楽な方・便利な方に流れますから、
前述のような面倒さを抱えるUSBメモリよりも便利なものが使用できるのであれば、
誰もUSBメモリを使おうと思わないでしょう。

「USBの代わりになる仕組みを構築する」
では足りません。
「より便利な」がポイントなのだろうと思います。

いずれにしても、もはやUSBメモリは前世のもの。
小零細企業でもいち早く脱却されることをオススメします。
紛失による情報漏洩防止のため、
そしてなによりも、
より便利な社内環境の整備のために。

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