マーケティングを考えるときに、商品と顧客についてはよく考えますが、
売り手である自分自身について、意外と考えていないことが多いように思います。
マーケティングにおける、売り手について。
マーケティングの全体像
マーケティングとは何か、ということになるとこれは
いろんな人がいろんな定義を展開していて、
明確な回答がないような話しではありません。
「マーケティング協会」とかいうところの定義しているものなど、
特に意味がわかりません(笑)。
私個人的に最も気に入っているのが、
フィリップ・コトラーによる次の定義です。
「マーケティングとは、個人や集団が、
製品および価値の創造と交換を通じて、
そのニーズや欲求を満たす社会的・
管理的プロセスである」
要は、事業者が顧客に「価値」を届ける商品を開発し、
その商品と対価を交換して、
その価値を求める顧客の求めるものを満たす、
この活動をマネジメントする、
ということですね。
登場人物は
「売り手」と「商品(価値)」と「買い手」
の3者です。
つまりマーケティングとは、
売り手が商品(価値)を通して、その価値を求める買い手の元に
その価値が真っすぐ届くようにする活動のことを言う、
と私なりに解釈しています。
そしてこう考えたときに冒頭に述べたように、
買い手(ターゲット)はどんな人か、
その人にどのような価値を届けるのか、
というところに焦点が当たりがちです。
しかし、そこには必ず売り手が存在することを
忘れてはいけません。
「売り手」とは誰なのか
マーケティングにおける「売り手」というものを考えるときに、
まず最初に考えなければならないことは、
「売り手とは誰だ!」
ということですね。
つまり売り手の定義づけです。
まぁ普通に考えると商品を売る会社・事業者、ということになるのでしょうが、
そうなると、例えば直接販売に関わらない事務社員や清掃社員なども
売り手に含まれる、ということになります。
そして、この考え方はとても正しい考え方です。
おそらくその社員本人は自分たちが「売り手」だとは思っていませんが、
自分達の仕事・活動が会社にどのように影響を及ぼして、
それがどのように顧客に影響するのか、
それを意識するのとそうでないのとでは、
まったく仕事への取り組み方が変わってきます。
製造に携わっている人などもっと重要で、
自身の作っている商品の向こう側に
顧客の姿を感じながら仕事をするのとそうでないのとでは、
ものづくりに向き合う姿勢そのものが変わってきます。
そんな意味でやはり売り手とは
「会社全体」「事業者全体」なのです。
そして業界によっては、
会社の外部にまで売り手の範囲は広がります。
例えば工務店における協力業者が最もわかりやすいでしょう。
会社内の人間ではありませんが、
間違いなく、その会社の商品を顧客に届ける売り手としての役割を果たしています。
このようにまずは、自社における売り手とは誰なのか、
ということを明確に定義づけし、
それが定まったら、
そんな私たち(売り手)はどんな人であるべきなのか、
ということを考える必要がある、
ということになります。
ターゲットに自社の提供しようとする価値を届ける私たちは、
どんな人たちである必要があるのか。
そんな考え方で売り手のあり方というものを考えてみましょう。
売り手は商品の一部を構成する。
このブログでも何度か触れていますが
「商品」というものの定義もいろいろです。
最も狭義な定義は、その「製品」そのものを指します。
製品にサービスを付加したものがその次の狭義の商品です。
ここに「時間×空間」という、商品の届け方が付加されたものがその次。
そして最も広義の「商品」とは、
その商品を届ける提供者(パフォーマー)を含めたものとなります。
・どんな製品に
・どんなサービスをのっけて、
・どんな場所で
・どんな時間を過ごしてもらい、
・それをどんな人が提供するのか
ということですね。
そんなわけで、前述のマーケティングにおける「売り手」は、
広い意味では「商品」に含まれてくるのです。
売り手がその商品の価値の一部を構成するわけですから、
確かにその通りですよね。
ターゲットに商品を通して価値を届ける、
その価値を届けるにふさわしい、売り手でないといけないということです。
そしてその売り手の在りようにも、様々な切り口があります。
どんな技術をもっているのか。
どんな知識をもっているのか。
どんな資格をもっているのか。
どんな振る舞いをする人であるのか。
その人のマインドはどんな人なのか。
etc・・・
これらを、その商品を通して届ける価値に合った形で
自社にとっての理想的な売り手というものを定義づけるのです。
それが定まることでようやく、
社員さんをどのように育成すべきかということが決まるのです。
このように考えていくと、
売り手である自分自身をどのような存在にしていくのか、ということは、
意外と深いことがわかっていただけると思います。
テーマは、いかに自社の提供する価値に相応しいものとするのか。
ぜひその視点を持っていただけたらと思います。