「錯覚資産」が売上を生む。

良い商品を作れば売れる、ということではないということは、
皆さんよく理解されていることだろうと思います。

自身の商品・サービスが優れているということを、
多くの消費者・生活者に知ってもらう、
認識してもらう必要があるのです。

錯覚資産が必要なわけ

最近読んだある本で、このように
「信用できる、仕事ができる、品質が良い」と消費者が思い込む状態を積み重ねることを、
「錯覚資産」と呼んでいました。

消費者に「思い込ませる」「錯覚させる」というのは、
なんだか消費者をだましているようで気が引けるのですが、
現実みなさんの周りでも、
うちの商品より品質が良くないのに、めちゃ売れている
ということをたくさん経験されていると思います。

そういう意味で消費者は
実際の商品の品質がどうであるか、ということよりも、
それ以外の要素でもって、
その商品の品質を判断し、
信用をし、
購買活動をしているのです。

間違えて欲しくないことは、
「じゃあ、顧客をだまして錯覚させて、商品を売ればいい」
と言っているわけではないということです。

ただ残念ながら、能力があるから売れる、良い商品だから売れる、
というわけではないというのが現実。

ですから、大切なのは、その商品の本当の姿はさておいて、
消費者に
「良い商品だ」
と認識してもらう必要があるということです。


たいして良くもない商品を
過剰に良い商品と思いこませることは、
ある種詐欺に近いものがあります。

だからそれが詐欺にならないためには、
その商品が本当に良い商品であればいいのです。
良い商品を作るだけ作って、
結局それよりも品質の悪い他社のものがよく売れる、
というのは悔しいですよね。

そう思うのであれば、
自社もちゃんと「錯覚資産」を積み重ねる活動をしましょうよ、
ということです。

ブランドはその代表。

錯覚資産とは、本来のその商品の品質とは関係のない部分をアピールすることで、
あたかもその商品が素晴らしいものであると認識させることです。

錯覚資産が積みあがれば、
人は勝手にその商品を信用し、
良い品質のものと思い込んでくれます。

要は、錯覚資産がその商品の価値を、
その実力以上に引き上げてくれるのです。
「ブランド」というものが、
この錯覚資産の代表的なものです。

ブランドイメージには様々なものがあります。
例えば「創業200年」などというのは明確なブランドイメージです。
しかし冷静に考えたら、
創業が長いからといって、他の会社より品質が優れているとは限りません。

「ブランド」というのは、
その商品に下駄を履かせて、
その商品の信用度を高めて、
より高額な価値を有するものと感じさせるものです。

実際にはそれより安くてもっと品質のいい商品は存在するはず。
でもみんな、ブランド商品を購入するのです。

これがまさに「錯覚資産」。

人で言えば、例えば学歴なんかがそうでしょう。
本当に仕事が出来るかどうかはわからないけれども、
学歴がいいだけで、なんだかその人は仕事ができる気がする。
「学歴の良さ」という一部分が、
その人から感じとれる能力全体を引き上げるのです。

まさに錯覚ですよね。

錯覚資産は上方スパイラルを生み出す。

錯覚資産が本当に錯覚であって、
本人や会社が、それに見合う能力や商品力を高めようとしないと、
すぐに馬脚を現してしまいますから、
その錯覚が永続することはありません。

しかし、錯覚資産は多くの場合、
上方スパイラルを生み出します。

先ほどの学歴の例でいうと、
学歴が良いと、それだけでその人の能力に対する信用が生まれ、
その人の能力にかかわらず、仕事を与えられる機会が生じます。
そしてその与えられた環境のもと誠実に仕事を行えば、
その経験がその人の能力を高め、実際のその人への信用は増大し、
その人の錯覚資産をもさらに引き上げることとなります。
そしてそれがまたさらに上の仕事を与えられる環境を生み出し、
さらなる能力向上へとつながるのです。

こうやって、錯覚資産を有する人と有しない人とでは、
同じ努力をしているという前提つきですが、
どんどん大きな差が開いていくことになります。

会社も同じこと。
売上という成果のうえに錯覚資産(ブランド、と置き換えてもいいでしょう)がのっかっていると、
消費者はその錯覚によって、より高い満足度を得ることができるようになり、
消費者本人がリピーターとなったり、口コミで他の人に広めてくれたりします。
そうして次の商品の販売や仕事の機会を与えられることで、
またその会社の商品力は向上していって、
次の商品の販売につながっていくのです。

少し長くなってきましたので、このテーマ、明日にわたってお話ししたいと思います。
ということで、今日はここまで!

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