パクることの大切さ。

かつて、私のまわりで「TTP」という言葉がはやりました。
ちょうど「TPP」が取り沙汰されていたような時ですので、ずいぶん前ですね。
そして最近あまりそのような話しを聞かなくなった(ように思う)ので、改めて。

パクるの三段活用。

人間、そのほとんどは天才ではありませんから、
誰しも、いきなり天からの啓示を受けるわけではありません。

ですから経営において、変なプライドを抱えて、
「自分の完全オリジナルのものしか、やらない!」
みたいなのは、足枷でしかありません。

人から「パクる」ということが大切ですし、
とても話しが早いのです。

「パクる」というと人聞きが悪いと思われるかもしれません。
 「リスペクトしてるんだ」
 「インスピレーションを受けてるだけだ」
 「オマージュだ」
いろんな主張があるかもしれませんが、
その元ネタがある以上、程度問題はあれそれはパクりですので、
このブログでは「パクる」で統一します(笑)

そもそも経営は創作物でもなんでもありませんから、
パクること自体が問題ではありません。
その品格の問題ですよね。
パクるときには、その元ネタを提供してくださった方に尊敬の念を示しつつ、
「使わせていただく」という思考が大切だと思っています。

そしてこの「パクる」には3段活用があります。
・TTP(徹底的にパクる)
・TKP(ちょっと変えてパクる)
・OKP(大きく変えてパクる)
結局パクり続けているわけですが、
ちょっとずつそこに自分のオリジナリティ部分が増えて行ってるのが
ポイントです。

まずは、そのままパクる。

それでは、経営における具体的なパクり方ですが、
まずは、「そっくりそのままパクる」ということが大切です。

TTP(徹底的にパクる)とはこの意味です。

人間どうもプライドが邪魔をして、
人のやっていることをそのまま取り入れることには
若干の抵抗があります。

または
「そのまま取り入れては申し訳ない」
という思いがあるのかもしれません。

しかし、他の経営者の話しを聞いて、
「これいいな、うちでもやってみよう」
と思ったときに、
そこに最初からオリジナリティを加えてやろうとすると、
その意気は買いますが、どうしてもスピード感に欠けます。
結果として、
「やろうやろうと思っているけど、いつまでも導入されない」
なんてことにもなりかねません。

そしてまた別の切り口では、
そのマネしようとしていることの完成度が高いものであればあるほど、
その一つ一つにちゃんと意味があってできあがっています。
ですのでその一部を変えてしまうと
それが、全体の崩壊につながって、
パクることの意味がなくなってしまう、
ということもあります。

この二つの意味から、まずは徹底的に、
そのままパクりましょう。

特にセミナー・講演・本などから得られるものは、
パクられること、採用されること前提に発信されているわけですから、
どんどんそのままパクりましょう。
できるだけ忠実に。
しかし、ちゃんと敬意を払いつつ。

成果が出ているときや、賞賛されたときに、
「これは誰々の〇〇を取り入れたんですけどね」
とさらっと話せることが大切なんだろうと思います。

.次に、ちょっと変えてみる。

そのまま徹底的にパクってみたときに、
いろいろ課題問題が浮き彫りになるだろうと思います。

「これは、うちには向いてないわ」
とそもそも社風に合わないとか、文化的に違うと感じた場合には、
基本的にその時点でやめてしまっていいかと思います。

逆にいうと、それ以外の場合は、
すぐに諦めてやめてしまうのはNGです。

結果が出るまでには時間がかかるのは当たり前。
1ヶ月やそこらで投げ出していては、
何一つ身に付いていきません。

むしろまず徹底的にパクることで見えてきた、
「ここはこういう風にした方がいいな」とか
「ここの部分はいらないな」とかいう部分を、
「それじゃ、こうしよう」
と少しずつ改善にかけていくのです。

これが、ちょっと変えてパクる(TKP)ということ。

この時点でそのパクったものに自社の成分が少し混じりますから、
ほんのちょっとオリジナリティが含まれるものとなります。

この「ちょっと変える」というのがまた、大切です。
まずはTTPが大事であることに変わりはありませんが、
それをそのまま、というのでは芸がありません。

会社が違えば、同じ業界であったとしても、全く別物。
だから自社に合った形での取り入れ方というのが、
必ずあります。

TTPで終わらせるのではなく、
これをTKPへと変化させていくのです。

そして、大きく変えてパクる。

最後に、大きく変えてパクる(OKP)です。

ここに到達するのは2つの方向性があると思っていて、
まずはTKPからの延長線上、としてのOKPです。

先ほどお話しした通り、TKPはTTPの改善のこと。
そして改善とは、たった一度だけで終わるものではありませんよね。
改善は継続的になされることで、
その組織は常によりよい状態に変化していくことができます。

ですから最初はTTPだったものをTKPとして、
ちょっとずつ継続的に変化をさせていくうちに、
気が付けば、最初の状態とは似ても似つかないものに
育っています。

これが一つのOKPのあり方です。
気が付けばすでに、「大きく変わっていた」
ということですね。

そしてもう一つは、
パクる段階で最初から大きく変える、
ということ。

原則はTTP、そのまま徹底的にパクるところからですが、
TTP・TKPに慣れてくると、
徐々にどのようにパクれば自社に馴染むか、
ということが最初からわかるようになります。

すると最初から「大きく変えてパクる」
ということができるようになります。

また、そのパクるものが、
いわゆる「仕組み」のような全体論的なものでなく、
アイデアのような、そもそもが「パーツ」である場合には、
最初からそのパーツに自社の別のものを融合することができます。

「あ、そのアイデア面白いな」
と思ったら、
「このアイデア、うちの会社だったら、うちのこれとくっつけたらうまくいきそうだな」
と考えて、
最初からオリジナリティあふれる状態でパクることが出来るのです。

よく、「イノベーションは既存のものの掛け算から生まれる」
と言われています。
そこから考えると、他社からパクったものに、自社の要素を掛け合わせたら、
それはすでに、イノベーションかもしれないのです。

すべてのものを、イチから生み出すことは不可能に近いですし、
できるとしても、非効率極まりないものです。
「車輪の再発明」をする必要はありません。
車輪はすでに発明されているのですから、
それはそれで、そのまま拝借すればいいのです。

そしてその先に、
きっとイノベーションがあるのだろうと思います。

タイトルとURLをコピーしました